卒業パーティーにて
新作投稿開始です!
今回も毎日21時更新予定です
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塚原卜伝
真剣での立会い19戦、戦場に出ること37度、立ち合いにて敵を討ち取ること212人。
実戦で受けた傷は6か所の矢傷のみ、木刀での打ち合いでは無傷で数百戦一度の負けも無し。
生涯無敗の伝説、後世にて剣聖と呼ばれた剣豪、武芸者、兵法家、武辺者。
そんな日本戦国時代最強の怪物は、異世界で孫娘(仮)を困らせていた。
「お、おじい様!お待ちください、私は大丈夫ですから!」
「ほっほっほっ、安心せい。ワシがちゃんと始末してやるでな」
勝手にこの老人に孫娘と呼ばれている侯爵令嬢フローリア・ジェスターは焦り、困り切っていた。
王国とよばれるこの国の貴族子息、令嬢は必ず入学する貴族学院。
名前こそ貴族学院だが優秀であれば平民も受け入れ、卒業できればエリートコースに乗れる華々しい門出の式典、この学院の卒業式にて愚か者どもが騒ぎを起こしたのだ。
騒ぎを起こしたのは私の婚約者である第二王子殿下とその愛人の男爵令嬢と取り巻き一同。
真実の愛だの私の罪だの、そもそも私の黒髪黒目が気持ち悪いだのお前が悪いから婚約破棄だと騒ぎだしたのだ。
はっきり言ってアホどもの寝言なんぞ気にしている余裕がない。
もっと言えば上座で慌てる国王陛下ご夫妻のことすら気にしている余裕がないのだ。
よりにもよってこんな日に!
「ほう、なかなか面白いことを喚く小童どもじゃ」
あぁ、終わった・・・。後方の家族席から声がしたときに、私はとほひ眼差しで美しいシャンデリアを見上げた。
もう帰っちゃおうかな?なんて思たんだけど、家族席の方から「お待ちください、ボクデン殿!」っていうお父様の必死な声が聞こえてきて現実に帰ってきた。帰ってきたくなかったけど。
「おじい様、ホントに大丈夫ですから!」
私も必死に家族席からユラユラとこちらへ向かってくる人影に叫ぶ。
こっちを向けだの無礼者だの言ってるアホどもは二の次だ。
「おうおう、そんな悲しそうな顔をするでない。おじいちゃんがこれで解決してやるでな」
そう言った自称祖父は腰のカタナをポンと叩いた。
ワフクと呼ばれる服を模した上衣とゆったりしたボトムス。腰にいつもさしているカタナと呼ばれる剣。
いや、あれカタナじゃない。
私の顔が一気に青から白くなるのを感じる。カタナと逆に刃を下にして腰に金具で吊り下げる大振りな剣。
オオダチだ。
この自称祖父と出会った半年前のあの日、この老人が振るった剣。
100人以上の盗賊に襲われた私たちを守った剣。
そして50人以上の盗賊を切り殺した剣。
頭と顔を真っ白にした私に最悪の武器を腰に下げた自称祖父は笑顔でこう言った。
「こいつがあれば全部切ってしまえるでの。それで問題解決じゃ!」
全く解決しない問題を横に置いて私はこの老人との出会いを思い出していた。
そう、あの日のことを。未だになんか騒いでる王子共を放置して。
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