侯爵領・領主館にて
毎日21時更新を目指して頑張ります!
前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」は第2章を投稿開始です!
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是非ご覧ください。
おおよそ半月かけて無事に領地に戻ったのだが、その数日後に国王陛下からの使者が領主館を訪れた。
当家が陛下に残してきた課題を考えるとずいぶん早い回答だ。
応接室に私とボクデン様が入ると、すでにお父様と使者殿が待っておられた。
おじい様たちは隣の部屋に入りこちらの声だけ聴いている。
「来たか。お待たせしてすまぬな、使者殿。娘も来たのでお話しを伺おう」
お父様が使者の方にお話しするよう促す。
「はっ、それでは国王陛下からジェスター侯爵家の皆様へ急ぎのご連絡を申し上げます」
連絡?どういうこと?お父様の怪訝な顔になる。
「ジェスター侯爵様よりいただいたお話しにつきましては現在も王宮にて審議確認中でございます。本日は別件で参りました」
お父様はうなずいて先を促す。
「先日、ジェスター侯爵様方が王城を出られた後、王妃、第二王子、シーウェス侯爵、カーライル侯爵をはじめその手先となって愚挙に及んだものは全て捕らえられました」
「恐れ多くも国王陛下のおわす部屋に剣を抜いて侵入したのだから当然だろうな」
「はっ!王太子殿下はジェスター侯爵様よりいただいた文書を元に事態を把握、クーデターの恐れありとして先ほどの者どもを国家反逆罪容疑での拘束としておりました」
・・・しておりました?
「しかし、恥ずかしながら翌日夜明け前に拘束していた近衛騎士、兵士らと共に逃亡いたしました」
「馬鹿なのか?」
お父様が思わずつぶやく。
「面目次第も無く・・・。見張りについていた騎士、兵士の中に王妃派の者が混ざっていたらしく、他の見張りを殺害して逃亡しております」
「ふむ、私が想定していた事態の中で最も下らぬ状況のようだ。それで、王妃どもはどうなった?それと騎士・兵士が信用出来るものと出来ないものの判別は終わったのかね?」
「逃亡が判明した後すぐにシーウェス侯爵邸、カーライル侯爵邸に兵を送りましたが既にもぬけの殻。それぞれの領地へ逃亡したようです」
面倒なことになった。
王国の地理を簡単に説明すると、王国は半島国家だ。
大陸から二本の脚のように並び向かい合って北側の大陸から南側の海に向かって二つの半島が突き出ている。
東側の半島が王国、西側の半島が共和国、両方の半島がつながる大陸部分が魔の森で、その北側が帝国だ。
王都は南端にあり、北に我がジェスター家、東にカーライル、西にシーウェスが配置されている。
つまりシーウェスとカーライルが結託しているこの状況では王都と我が領地が分断される可能性もあり、下手な動きが取れない。
まぁ、当家は独立してしまう手もあるのだけれど。
「そして信用できる騎士・兵士なのですが・・・」
「判別できないか」
「はい。あまりにシーウェス、カーライルの両家に任せていた年月が長く疑えばキリがない状態です。王太子殿下が自ら集めていた少数の騎士をロイヤルナイツと呼称して王族の皆様の警護にあたらせておりますが、少数故に手が足りぬ有様です」
「ふむ」
お父様が顎に手を当てて考え込む。
「そこで国王陛下からのお願いなのですが・・・」
言い辛そうに使者殿が困り顔になっている。
「・・・言ってみたまえ」
ため息交じりにお父様が応える。
「はっ、ジェスター侯爵家の皆様におかれましては王国安定のため逆賊シーウェス、カーライルの両家を討伐するのにご助力いただきたくお願いに参りました!」
覚悟を決めたのか一気に叫んだ使者殿。
は?
呆然とするお父様と私に使者殿が続ける。
「それと、できれば早急に王城へお越しいただき王族の方の警護もお願いできればと・・・」
「本当に馬鹿なのか・・・」
お父様のつぶやきだけがむなしく響いた。
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