王城・城門にて
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前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」も公開中です。
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是非ご覧ください。
お父様が陛下に領地へ帰ると宣言した後、私たちは急ぎ王城を出て城門前の広場に展開している騎士団と合流した。
「お嬢様、ご無事ですか?」
侍女のメアリが心配そうに走ってきた。
「私は大丈夫!」
そう答えると隣で血まみれの短めの太刀(ワキザシとボクデン様は呼んでいた)を布で拭っているボクデン様も笑ってメアリに応じる。
「わしがついておるでな?少々邪魔が入ったが問題ないぞ?」
少々?城門までの間に私たちを捉えようとしたシーウェス家派閥と思われる騎士数十人はボクデン様が全員倒してしまった。全員戦闘不能だが命に別状はない。
「あれでは誰も騎士には戻れまい?誰かに我らと敵対する恐怖を伝えてもらわねばな」
なぜ殺さないのか尋ねたお父様へにやりと返事したボクデン様の方が怖いと思うのだけど。
城門前にいる衛兵や近衛騎士は距離を保ってこちらに近づいてこようとしない。
「姉上、父上もボクデン先生もご無事で何よりです」
ライアンが騎士数人を引き連れてこちらに向かってきた。
「ライアン、状況は?」
「すでにタウンハウスは引き払いました。おじい様とおばあ様は使用人たちを連れて先行して領地へ出発しました。途中で追いつくと思いますが、アルベルト団長と500程度の騎士をつけてあります」
「アルベルトがあちらに付いて行ったか。それなら安心だが、意外だな?」
お父様が首をかしげています。
アルベルト・タリスはジェスター侯爵家の騎士団長だが私とライアンの姉弟をかわいがり、何より優先してくれる。というか無理してでも一緒にいようと言うことを聞かない。そんなアルベルトがいないのは確かに意外だ。
「今回はボクデン先生がついているから大丈夫だろうと言っておじい様たちの護衛に回りました。こちらに残った馬車には母上がいます。姉上は馬車へ。ボクデン先生、メアリとカルロを連れて場所の護衛をお願いできますか?」
「うむ、よかろう」
段取りを整えすぐに出発だ。
「ジェスター侯爵」
私たちを追って城門から出てきたのはアシュケル侯爵だった。
アシュケル侯爵家は6大侯爵家の中でも異色の存在だ。
建国王を財政面で支援した商家がその起こりで、今でも王国最大の商会を経営している。
表向きは政治、軍事には口出ししない。しかし、魔の森を挟んで隣接する巨大な覇権主義国家「帝国」、「帝国」と隣接し我が「王国」と海を挟んで向かい合う特殊な政治形態を持つ「共和国」、その両方とパイプを持つ稀有な人物でもある。
「アシュケル侯爵、見送りかね?」
父が穏やかに応える。
「ずいぶん派手にやったね?しばらく王国は混乱するだろうね」
「私が問題を起こした訳じゃない。シーウェスとカーライルの問題、そしてそれを王家がどうするかということだろう」
お父様がわざとらしく肩をすくめる。
「王家が正しい判断をすれば君たちは「王国」に残ってくれるのかい?」
少し声量を下げ、衛兵たちに聞こえないようにアシュケル侯爵が聞く。
お父様は笑顔のまま少し首をかしげて応える。
「私は王国の臣だ。何を言っているか分からないな」
「・・・そうか。私の思い過ごしならいいのだけれどね」
「ところで私の商会はいつになったらジェスター侯爵領で商売ができるのだろうかね?」
緊張した口調から少し落ち着いた口調に変えてアシュケル侯爵が聞いた。
「おや?そんな申請が来ていたかな?すまん、少々バタついて失念したかもしれん。領地に戻ったら確認して手紙を出すよ」
「ふむ、お手数だがよろしく頼む。今後はジェスター侯爵領との取引が増えそうな予感があるんだ」
アシュケル侯爵が何を考えているのか読めない表情で告げた。
お父様はアシュケル侯爵に「商売人のカンかね?」などと和やかに言葉を交わしたのち、別れを告げた。
アシュケル侯爵が城門側に引き下がりこちらに小さく手を振る。
「皆配置につけ、出発する」
お父様の命令で騎士団が動き出す。
この日、私たちは王都を脱出した。
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また次のお話しでお会いしましょう。




