王城・謁見室にて 王国side
「第二王子殿下は廃嫡の上で幽閉、それ以外は身分に応じて平民落ち、労働奴隷、死罪が妥当でしょうな」
そうジェスター侯爵に告げられ、余は声を失った。
六大侯爵家の内ジェスター家は娘を第二王子の婚約者に、他家は次男、三男を側近にしていたため口々にジェスター侯爵に抗議している。
「侯爵、気持ちは分かるが、厳しすぎないだろうか?」
「王太子殿下はそのようにお考えで?」
王太子が絞り出した言葉はジェスター侯爵の氷のような声の前に霧散した。
何か言わねば第二王子の未来が閉ざされてしまう。
「しばし待て、侯爵。今回の件に携わったものの処遇はもう少し吟味させてくれ」
「今回の件とは、どこまででしょう?」
侯爵はおかしなことを言い出す。
「陛下、我が父である先代侯爵と我が娘が襲撃を受けた件はお忘れですか?」
マズイ。忘れていたわけではないが、この件とは別であろう!
「いや、分かっておるが婚約破棄とは別件であろう?襲撃事件については別で調査いたす故」
「なるほど。それでは婚約破棄について精査した後、襲撃事件にかかわりがあった場合はさらに処分を行うということですね?」
侯爵はそう言いながら手に持っていた封筒から紙束を差し出す。
「これは?」
「当家で捕らえた盗賊の証言とその証言の調査結果です」
余がその紙束を受け取ることができずにいると横から王太子が紙束を受け取り中を確認し始めた。
王太子が紙束を見ながら呟いた。
「あの愚か者どもめ!」
王妃とシーウェス侯爵家が関与していると昨日の使者は言っていたが・・・。
まだ何かあるのか?何かあるなら何故半年も放っておいたのだ?
そう思ったとき、会議室のドアが開け放たれた。
「動くな!」
完全武装の騎士十名ほどを引き連れ、にやけ顔のシーウェス侯爵と王妃、そして第二王子が会議室になだれ込んでくる。
何ということだ!愚かにもほどがある。
そう思った時だった。
ゴキャッ!
嫌な音が響いた。
音の方を見やるとおかしな方向に首の折れた騎士。
その騎士がゆっくりと崩れ落ちる。
崩れ落ちた後ろから現れたのは先ほどまでジェスター侯爵の後ろに控えていたはずのボクデン・ツカハラ。
「おじい様!」
叫ぶフローリア嬢の方を見ると隣の侯爵同様、既に魔力を腕にまとわせ戦闘準備が終わっている。
「安心せい、この程度の木偶の坊などいくらいても同じことよ」
ニヤリと恐ろしい笑みを浮かべるボクデン・ツカハラ。
ボクデン・ツカハラは魔法収納から短めの太刀を取り出し駆け出す。
騎士が身にまとう鎧の隙間へその剣を突き刺していく。
「ひぃい!」
悲鳴を上げたのは王妃か第二王子か。
気づいたときに立っていたのは王妃と第二王子、シーウェス侯爵のみであった。
これが建国王様が恐れた日ノ本の戦士か。
ボクデン・ツカハラは三人を背後から蹴り飛ばし会議室に入れ、扉を閉じた。
「貴様らには聞きたいことがある故、今しばらくその首は体にくっつけておいてやろう」
日ノ本の戦士の声を聞きながら思った。
愚か者どもが。
それ以外に言葉は出なかった。




