再び、王城・会議室にて 王国side
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前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」も公開中です。
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是非ご覧ください。
「なんてことをしてくれたのじゃ!」
国王の怒声が響く。
騒動翌日の午後、ジェスター侯爵家から一通の書状をもって使者が来た。
国王を始めとした面々はこの日も朝から対策会議を開いており、そこへジェスター侯爵家から使者が訪れたのだ。
使者に立ったのは侍従見習いのカルロであった。
「ジェスター侯爵フランツより、頂戴したお手紙2通についてご回答申し上げます」
「2通だと?」
昨夜の会議で第二王子の有責とする自分、王太子達と第二王子を擁護し、ジェスター侯爵家に責任を押し付ける王妃達に意見は分かれた。最後はそんなに言うなら王家とは別で手紙を出せと言った。しかし、王の自分が出すものと別で本当に出すなどと思っていなかった。
唖然とする第二王子有責派と対照的に王妃達第二王子擁護派はカルロに厳しい声を上げる。
「使者だと、ふざけるな!なぜジェスター侯爵が自ら来ない?来て謝罪するのが筋だろうが!」
「黙れ!少し静かにいたせ。使者殿、ご苦労である。侯爵からの返事を聞かせてもらおう」
一喝した後にカルロに問いかける国王。
「はっ。ジェスター侯爵家当主フランツより国王陛下へはこちらの書状を預かっております」
懐から恭しく取り出した書状を王宮侍従長へ手渡す。
書状は王宮侍従長から国王へ。
「ふむ。ジェスター侯爵からは余の手紙についてはおおむね理解した。詳細を詰めるために別途会談の場を持ちたいとのことだ」
書状に目を走らせながら国王がその場にいる者に告げる。
「ん?」
書状の一点で国王の目が留まる。
「使者殿、「王妃らへの返事は口頭にて使者が伝える、その点もご検討を」とこの手紙にあるのだが」
「はい、差し支えなければこの場でお伝えいたしますが?」
「・・・うむ、申せ」
正直、聞きたくなかったがやむを得ず国王が応える。
「それでは、当家当主フランツ・ジェスターより王妃様、第二王子殿下、シーウェス家及びカーライル家にご回答申し上げる」
カルロは一息ついて対象者たちを見回すと一気に言い放った。
「当家は貴殿らが今回の件の首謀者であると認識している。また、半年前、当家領地と王都を結ぶ街道にて当家先代侯爵ゲオルグ及び当家令嬢フローリアを盗賊に襲わせ害そうとしたことは、証拠の確保も行い明白な事実として立証可能である。このような状況にもかかわらず、あのような世迷言の文面を送り付けるなど言語同断。当家は国王陛下に事態の収拾を図るよう強く要請する。お聞き届けいただけぬ場合、当家はそれ相応の手段をもって事に当たる。お覚悟いただきたい」
「ふざけるな!近衛騎士、こや・・・」
「動くな!」
王妃の兄であるシーウェス侯爵が近衛騎士を動かそうとしたとき、国王が大声で命じた。
「シーウェス侯爵、そなたは王国軍の長であっても近衛の指揮権はあるまい?しかも余の話しをロクに聞かずにジェスター家を挑発してこのザマか?」
その場が静まり返る。
「余の命令に従えぬ者に軍を預けるわけにはいかぬ。シーウェス侯爵、そなたから王国軍の指揮権をはく奪する。カーライル侯爵も同様に近衛師団長の任を解く」
二人の侯爵があまりのことに息をのむ。
「私は陛下のご意向を無視など・・・」
「王妃らに同調して余がしたためた手紙の他に手紙を出し、それに署名しておれば同罪よ」
カーライル侯爵を黙らせる国王。
「王国軍は宰相のコレイル侯爵預かりとし、近衛は王太子が預かるように」
「「ははっ!」」
「お待ちください、それではジェスター侯爵の思うつぼです!軍を長年預かってきた2家から軍を取り上げて喜ぶのは奴らです!」
第二王子が叫ぶ。
「黙れよ愚弟。お前たちが王国を建国以来最大の危機に陥れた自覚はないのか?」
冷ややかに王太子が告げる。
2家の当主が俯き、第二王子は黙り込む。
「全く、本当に同じ血が流れているとは思えんな」
王太子は母である王妃を見る。王妃は顔を青くして震えていた。
「使者殿、ジェスター侯爵は王家と戦争をするつもりかね?」
疲れた表情で国王がカルロに聞いた。
「・・・私は何か申し上げられる立場にありません」
「非公式で良い。何の確約もいらぬし責任も問わぬ。何か答えてはくれぬか?
カルロの答えに再度国王が問いかける。
「・・・ジェスター侯爵家が戦をするのであれば使者だの会談だのと申し上げず、すぐに軍を動かすと思います。ご当主様は国王陛下との会談を要望しております」
「そなたが言うようにジェスター侯爵が2つの手紙に対しそれぞれの対応を考えてくれているのなら、王国は生き延びる術があるか」
国王がつぶやく。
「お待ちください、父上!たかが田舎の侯爵家一つに何を恐れているのですか?今こそ王家の威信を示すときです!」
叫ぶ第2王子に国王は冷ややかに告げる。
「お前は昨夜の王太子の話しを聞いていなかったのか?ジェスター侯爵家と戦をして勝てる訳がなかろう。あ奴らは今でも戦い続けている精鋭であるぞ。仮に勝てたとしても国はボロボロになろう。そんなことをして何の意味がある?だから余はジェスター侯爵にお前有責の婚約破棄と慰謝料で済ませて欲しいと頼んだのだ。お前の廃嫡までは阻止するために動いたのだが・・・」
静かに告げる。
「無駄だったな」
国王の言葉がむなしく会議場に響いた。
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