13.非公開の交際報告
帰宅後、私は「絶対に漏らすな」を開いた。
でじた るん[報告があります。]
海月しずく[振られましたか?]
黒羽ネネ[付き合った?]
獄道める[押し倒した?]
でじた るん[付き合うことになりました。]
数秒後、画面が祝福のスタンプで埋まった。
黒羽ネネ[勝った!]
海月しずく[おめでとうございます。]
獄道める[祝杯だー! 酒持ってこーい!]
でじた るん[だから未成年です。]
私は続けた。
でじた るん[それと、彼のお母さんがみみか師匠でした。]
チャットが止まった。
黒羽ネネ[は?]
海月しずく[申し訳ありません。意味を理解できません。]
獄道める[は?????]
姫宮みみか[妾も今日知った。]
黒羽ネネ[師匠がラスボスだったってこと?]
でじた るん[ラスボスではありません。]
海月しずく[では、彼がVtuberを嫌う理由は?]
姫宮みみか[妾が可愛いからじゃな♡]
でじた るん[だいたい合っています。]
その夜、臨時のボイスチャットは三時間以上続いた。ただし、すべて配信の裏側だけの話だ。学校名も、彼の名前も、師匠の本名も外には出さない。私たちの交際を配信のネタにもしない。私の恋愛は、リスナーのためのコンテンツではない。でじた民を騙したいわけではない。ただ、応援してくれる人たちを必要もなく傷つけず、彼の生活も守りたかった。
――翌日の配信で、私はいつもどおりに笑った。
『でじた民のみんな~! 今日も一緒に、るんるんしてる~?』
《るんるーん!》
《今日もかわいい》
《なんか機嫌いい?》
《いいことあった?》
「何もありません」とは言わなかった。
『みんなに会えたから、うれしいだけだよ!』
それも嘘ではなかった。




