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運命の恋の隣で  作者:
はじまりの気配
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第5話 強がりの裏側

「大丈夫か?」


レオンハルトが心配そうにシンシアを見る。


「大丈夫です。失礼します。」


シンシアはその場を離れた。


誰もいない中庭、桜の下でうずくまる。


(好きで聖女になったわけじゃないのに……)


桜と同じ色の髪、緑の瞳。

それだけで、初代聖女ルミナの生まれ変わりだと言われ続けた旧王国。


たまたま、その容姿で生まれただけなのに。

何の力も持たない、ただの少女なのに。


暖かな風が吹く。


顔を上げると、レオンハルトがいた。


「やっぱりな。」


「……どうして……」


「昔からそうだった。お前は嫌な感情を隠す。人前では絶対に見せない。」


どこか懐かしむような声だった。


「……レオン」


思わず、昔のように呼んでしまう。


(もう、あの時とは立場が違うのに)


聖女と護衛から、

貴族令嬢と王族へ。


「……俺の前では強がるな。」


一歩、距離が近づく。


「俺は――お前の騎士だ。」


シンシアの心が、ゆっくりとほどけていく。


「……ありがとう、レオン。」


胸の奥が、少しだけ軽くなった。

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