十乗
【まずね。君はちゃんと加護を理解しているの?】■が問いかける。
「指定した相手の加護を使える。いわばコピーだろ?」
【はぁ。駄目駄目じゃん。君の絶加は触れた相手の絶加をコピーできる。ちなみにストックできるのは二つね。】
駄目駄目じゃないだろ…惜しいじゃん…。
「じゃあ!アズマ!私の絶加を試しにコピーしてみてください!」リンが出した手に触れる。
「えーっと…。リンの絶加は…。」
「自分の魔力および魔法の攻撃力を五倍にします!」リンは自慢げに言う。
「俺さ…魔法使えないんですけど…。」俺は申し訳なさを込めて言う。
「はっ!すいません私としたことがっ…。」リンは何度も頭を下げる。
「いやいや、気にしないで!」
【大丈夫、使えるヨ。】■が見下すような顔で言った。
「え?」
【東君がコピーできるのは絶加だけではない。】まさかの事実を言う。
「でもストック二つじゃ意味がないんじゃ…。」俺は思ったことをそのまま言った。
【ストック二つは絶加の話だよ。他は自分のものにできるヨ。】
「「はぁぁぁぁぁ?!」」俺とリンは声を揃えて叫ぶ。
【ハッハッハッハッ。いい反応だね。ということで、今からすること分かるよね?】
「へ…?」
【私の知っている魔法をじゃんじゃん撃つから全部覚えてもらいまぁ〜す☆】
「嘘でしょ?」さらっととんでもないことを言いやがったな…。
【本当だよん。】
クソがっ…。
「あ、あの!私にも教えてください!強くなりたいです!」
「リン…。」リンの放った言葉に感銘を受ける。そうだ…こんな所で嫌になってるんじゃだめだ!日本に帰ってアニメを見る!新しく始まるものも観れなくなってしまう…!
「リン!頑張ろう!」手をグーにして突き出す。
「あの…これは何ですか?」突き出された手に対してどうすればいいのか分かっていないようだった。
「グータッチだよ!ほら!」リンは理解した様子で応える。
「はい!」
【よっしゃあ!次だ次!まだ四分の一だからなぁ!戦争を終わらせるんだろ?!このペースじゃあ戦争が終わる前に国が終わるぞ!】
魔法のコピーが始まり二時間が過ぎた。■はとてつもなくスパルタで休憩無しの二時間でようやく四分の一に到達した程度だった。
「ちょっと待ってくれ!流石にキツイ…。リンを見てやってくれ…流石に死ぬ…。」リンはコピー能力がないためひたすら魔法を見ながら撃つを繰り返し、五つ程の魔法しか得られていなかった。
【大丈夫さ!君達に常時、回復魔法と魔力回復を付与しているからな!無限に特訓できるぞ!ここからは十倍の速さで行くぞ!】おいおいおい、正気じゃないだろそれ…。
「ていうか!全部覚えたって、使うとは限らないだろ!」俺は思わず本音をぶつけると■の動きが止まった。
【そういえばそうだ…。特に使える魔法を厳選すればよかった……。】え?はい?
【ごめんねぇ。】
「殺す!お前マジで殺す!!!」さっき覚えた魔法を発動する。
【待って待って待って待って!!本当に待ってくださいっ…。】なんでそんなに慌てるんだ…?もしや喰らったら何かあるのか…?
「ふはははははは!喰らえ!ゾンネケルン…!」火属性魔法の最上級魔法を放つ。
【ヤバイ!ガチでヤバイ!】そう言いながら慌てふためく■は一瞬で移動してみせた。
■に当たらず、進んでいった魔法は特訓をしていた洞窟の八割以上削ってしまった。
「すげぇ。流石は最上級魔法…。」なんなら、ここの階層の奥の奥辺りまで壊れてる…。
【東!お前な!殺す気かぁ?】まぁそりゃあ最上級魔法撃ったらキレるか…。でもそこまで怒るか…?
【あのな!君がさっきコピーしたリンちゃんの絶加!その影響なんだよ!】
「と言われても…。」
【君のコピーはただコピーするだけじゃないんだよ…。コピーした絶加の効果を十乗するんだ…!】
「は?じゅ、十乗?!つまりはさっきの魔法の威力は…。」
【九百七十六万五千六百二十五倍の威力になっているんだよ…。】■が衝撃の事実を口にする。
「はぁ?なんでそんなんになるんだよ!てかよくここは無事だったな。」
【それはね私がここ一帯を守ったからね。他は跡形もなく消え去っているよ。多分ダンジョンの修復効果も機能しないよ、コレ…。】
「え、ごめんなさい。」俺は単純に謝る。
【気にしないでいいよ。それより魔法を厳選したから覚えてもらうよ。その次は剣術。】
「え…はい…。」
「九百七十六万五千六百二十五倍…?へ…?」今だにリンは困惑していた。
勇者戦争なのに戦争していませんがもうすぐダンジョンを抜け、戦争が始まりますのでお楽しみに。




