無断
俺はゆっくりと歩みを進める。視界がかすみ、今でも倒れそうだった。
「待ってろよ…リン…すぐに助けてやる…!」このまま倒れたらまずいので、お姫様抱っこからおんぶに変える。
最初からこうすれば良かった…。
「にしても…今何階層だ…?」■が言っていた第百四階層から相当歩いてきたが脱出の目星がつかない。
「ずっと同じところを回ってるだけとか…?なんちゃって。」
【そうだよ♪】
「ん?は?」
【また会えたねぇ。東君。】さっき聞いたぞこの声…。
「おい!どうなってんだよ!」俺のふざけた仮説について怒り気味で聞いた。
【だ、か、ら、君の言う通りずっと回っているだ、け。】
「その言い方…腹っ…立、つ…。」■にキレて力を使い切ってしまい俺は意識を失った。
「アズマ様!」【東くぅん〜。】
「起きてください!」【起きとぅえ〜。】
天使の声と悪魔、(というかムカつく)の声が聞こえてくる。
「あれ…?リン、大丈夫なのか…?!」
「アズマ様こそ!無理しないでください!」
起き上がった俺はリンに抱きつかれる。すんげぇ泣いてる…。
「ほらぁ〜、女の子泣かせちゃ駄目でしょっ。」
「その声どっかで聞いたことあるような…。」
もしかして…。
「■でぇ〜すっ!」やっぱりか…。
「お前がリンを助けてくれたのか?」それならありがたいけど…。
「リンちゃんだけじゃなく東君、君も助けたヨ。」人差し指を立てながら自慢気に話す。
「俺も?」
「そうですよ!■さんがいなかったら私たち死んでいました!」泣きやんだリンが言う。
「それに関しては礼を言う。でもな!ここからの脱出方法くらい教えろよ!」俺は床を叩く。
「それと師匠は…。」そこまで言った途端空気が悪くなる。
「見つかってなくて…。」リンが申し訳なさそうに言う。そして俺は立ち上がったがすぐにふらつき倒れてしまう
「東君!だめよ。」■が俺を止める。
「なんでだよ!」■が肩に手を置いてきたので振り払う。
「あなたは能力覚醒直後に加え、全身に負荷がかかり過ぎている。無断召喚、格上の相手との戦闘、あなたは休んだほうがいい。」何言って…俺はまだ…やらなきゃ…。それに、
「無断召喚…?どういうことだ?」■が言った言葉に対し問いかける。
「本当はね、異世界からの勇者召喚はセントラルの承認を得たうえで、勇者に負担がないように特別な準備をしなければいけないんだよ。あなたは無断召喚されたから特別な準備が行えていない。」■が答えた。
「召喚には後遺症が残るかもとしか聞いてないけど…。」
「あなたは極秘で召喚された存在だからね。知られなくなかったんだよ。おそらく君のノイズは後遺症によるものだよ。」
「治らないのか?」
「えぇ。当たり前よ。」■はさっきまでのふざけ具合が嘘みたいに真剣な表情で、淡々と答えた。
「リン…お前は知って…。」ずっと黙っていたリンに問いかける。
「アズマ様が非合法の召喚で来たのは今、初めて知りました…。父が…本当に申し訳ありませんっ…。」リンは頭を下げる。
「リンは悪くないよ。頭を上げて。」
「アズマ様…。」頭を上げたリンの頭を撫でる。
「安心して、リンのためにも俺はイーストを守る。でも悪いけど王は守らないかもしれない。」
「はい。構いません。」リンは覚悟を決めた表情で深くうなずく
「それと、呼び捨てでいいよ様は性に合わん。これからもよろしくな!リン!」俺は右手を差し出す。
「はいっ!アズマ!」リンも手を出し握手を交わす。
「青春だねぇ。」
「お前はどういうポジションなんだよ。」俺は■を軽く叩く。
「はははは!いいじゃないか!そんなことより、君は強くなりたいんだろ?」
「当たり前だ。リンたちを守るため自分を守るため力が必要だ。」俺は拳を強く握る。
「あぁ、分かったならば…」
【強くなるための手助けをしてやろう。】声色を変え両手を広げた。
「この場に及んでカッコつけんなよ。でも、よろしく頼む。」
ここまで来たら■でも王でもなんだって利用してこの腐った戦争を終わらせてやるよ…!
勇者召喚時に行う特別なことというのは絶加使用によるものです。
長かったけど、いよいよ本格的に始まりますね。というか、東君とリンちゃんは結婚するの?




