喪失
「■■■様!起きてください!■■■様!」
リンが誰かの名前を呼ぶ。そして俺は目を開いた。目を開いた先の景色は壮絶なものだった。一人のリンが化け物と対峙していたのだ。
「■■■様!良かった!目覚めっ…。」誰かを気にかけたリンが化け物に隙を突かれる。
「大丈夫か?!」俺はリンのもとに駆け寄る。
するとリンはダイヤモンドのような目を輝かせながら「はい…大丈夫ですよ…!」と笑みを見せる。
「そんな怪我して大丈夫なわけないだろ!」足元に落ちている誰かの剣を借り、俺は立ち上がる。
「リンは休んでろ。俺が何とかしてみる。」するとリンは心配したような目で俺を見る。
「で、でも…ここは…!」彼女の話を聞く前に俺は剣を構える。
「おらぁぁぁぁぁ!」俺は化け物に斬りかかる。なんだこの違和感…。もっと有効な技があったような…。
「■■■様!四象景律を使わないんですか?!このままでは死んでしまいます!!」リンが先ほどから誰に言っているかは分からないがその四象景律とやらには覚えがある気がする…。
「し、四象景律-所…。納沙布、金刀比羅、珸瑤瑁、四島のかけ橋…。」剣を構え頭の中にあった言葉を並べる。
「■■■様!ここの魔物は…!」
リンが魔物と言った奴が襲ってくると同時に剣を振るう。するとガァン!と鉄と鉄がぶつかったような轟音が響き、俺は跳ね返されてしまう。
「■■■様っ!大丈夫ですか?!」リンが片腕を押さえながら近づいてくる。
あ…後ろに…!跳ね返されたときの衝撃なのか、声が出ない。口を何度も動かしたが、無駄に終わる。リンが気づいた頃には魔物の攻撃をくらっていた…。
「あれ…?俺何をして…なんでこんな所に…?てか、ここは…?」
「■■■様!」あの時、リンが言った名前を思い出そうとするが、思い出せない…。あれは俺なのか…?
「俺は誰なんだ…?」リンのことはわかる…。四象景律も思い出した…。けど、俺は誰か、それだけがはっきりしなかった。
「師匠はどこに…行ったんだ…?」周りを見渡すが師匠の姿は見当たらない…。
「あ…。」リンが気絶し今度はコチラに近づいてくる。死ぬのか…。自分が何か分からずに…。時が非常にゆっくりに感じた。
【■■■よ。聞こえるか。】突如頭に誰かの声が響く。
「誰だ…?」
【少女を守りたいか?生き残りたいか?自分の名を思い出したいか?】質問を無視して"ソイツ"は話し続ける。
「お前は誰なんだよっ!!」俺は切れながらも再び聞く。
【私か…ふはははははは!いいだろう教えてやろう。私は■だ。】■?何言って…。
【ここは神層だ。階層で言うと…第百四階層だ。】
「は?百四階層?!なんで…。百階層までじゃ…。」
【誰も百層にたどり着いたことがないだけだろう。そんなことよりもお前はどうしたいんだ?】確かにそうだ…。最高到達階層が六十とかだったんだ…。百層以上あってもおかしくはないか…。で、問題はどうしたいか?そんなの…。
「生き残りたいに決まってる…!全員で!」
【ふはははははは!いいだろう!では教えてやろう。お前の力を…!】なんでいちいち笑うんだ…。でも…。
「俺の力ってどういうことだ?」
【魔物だって絶加を有しているのだ。】
「何言って…。」
【いいか!東よ!!貴様の絶対的加護、それは…!】俺は目を見開いた。加護を持っていたということだけではない。名前…そうだ…俺の名前は東なんだ…!
【■■の■を動かしたのはお前が初めてだ。その名誉を称え私から祝福を授けよう。】
祝福…?
【そのうちわかるさ…。またいつか話せることを楽しみにしているぞ。】
「グォォォォォォォォォォォ!!」■の声が消えた瞬間、魔物が襲ってくる。俺は怯まず魔物に触れた。
「■■■。加護、凝視。なるほどな見た相手を拘束させる、か…。悪くないな。」俺はリンをお姫様抱っこする。
俺は前を見つめた。ただ見つめた。
「グルルルッ…。」どうやら魔物は近づけないようだ。
「これはいいな!」俺はただ前へ進んだ。魔物が見守る中、あの日みたいにただ進んだ。
未知の階層:第百四階層。東、リン脱出。
前回と今回で出てきた■には至って簡単な言葉しか入りません。予想してみてね。




