慈愛
エゴン・パールンによるイースト侵入は失敗に終わった後、刻一刻とノースの北靖騎士団及び北の勇者パーティーはイーストへと侵攻していった。
「ナオ、準備できたな。後は頼む。」
ゲンは険しい表情をしながら私のもとを後にした。
「神のイカヅチ、空を暗闇へと誘い我々の敵を滅殺せよ。神の加護を、怒りを、力を…!ディバイン……ライトニング…!」
僧侶の魔法。名を"奇跡"。最上級奇跡である神官を僧侶であるナオ・ヤシーは全て扱うことができる。奇跡の中で最強の攻撃がディバイン・ライトニング。この奇跡はイースト全域を覆い、多くの死者を出す、筈だった……。
ーー反転ーー
雷が降る筈だったイーストには慈愛の雨が降り注いだ。
「え……な、んで…。」
イースト護衛騎士団副団長。シン・ジェクト。彼は神をも否定する"反逆者"。本来、多くの死者が出るはずだったが彼は犠牲者を大いに減らすことに成功した…!
………数時間前
「エゴン・パールン!お前の目的は何だ!」
チギリにより拘束されたエゴンに私は尋問をしていた。
「………。」
「本当に沈黙を貫くでいいのか?」
私は数本の剣をちらつかせる。
「私は指揮官を殺して…国の機能を停止させようとしただけです。」
エゴンは私に不満な目を向ける。
「偵察からあったが何か怪しい事をしようとしているんじゃないのか?」
「ワルパフちゃん♡ここは私に任せなさい。」
オカママが入室してきた。彼?は投げキッスをし自信満々な表情をしていた。
「分かった。部屋の前で待ってるから何かあったら言ってくれ。」
「ろんもち♡」
オカママはそう言ってウインクをした。
………数分後
「ワルパフちゃん、エゴンちゃんから話があるって。」
私は部屋に入る。そこには涙を流しながらも覚悟を決めている表情をしたエゴンがいた。
「ゲンさんを助けてあげてください…!!ご存知の通り、お宅の東の勇者が魔法使いを殺して彼はもう止まらない…!どうにかして!ゲンさんを止めてくださいっ!」
その後、ノースがしようとしている作戦、誰がどこに向かうかを教えてくれた。
「エゴン、お前の願い叶えられるように努めよう。」
「ははっ…。そこは絶対って言ってくださいよ…。」
エゴンは呆れたように言った。
「オカママ。エゴンの監視をお願いしてもいいか?」
「ろんもちよ♡」
また、訳のわからないことを……。そう思いながらも私は部屋を後にした。
「………ということだ。シン、ナオ・ヤシーの奇跡の対処を頼めるか?」
「分かりました。そこの配置だったら、もう向かって待ち伏せしたほうが良さそうですね。」
「そうだな。頼んだぞ。」
「任せてください。」
シンは準備のため、すぐに部屋を後にした。
「よし、私も始めよう。これは……」
総力戦だ…!
そして現在に至る…!
「エゴン……裏切り……。」
「いや、あなたのリーダーを思ってのことですよっ!」
四象景律、花…!椿。
「やはり、作戦変更して正解だな。ナイスッタイミンッグゥ…!」
タンクのタイグ・モルか……。
「面倒くさいのが来たっ!」
「本望ッ!!ナオやれ!」
「パワーネクスト。」
なんだ…?攻撃じゃない……。バフかなんかか…?
「クラッシュ・ブレッド!!!」
そうか…!クシュ・バースもいるのか……。俺は咄嗟に剣で防ぐが大きな打撃を受けてしまう。
「って……あれ?これ、めっちゃ飛ばされてね…?」
「もう一発ッス!」
「よしっ!邪魔は飛ばした!お前ら攻め行くぞぉぉ!」
タイグ等は直進して行った。
俺は空高く打ち上げられたあげく、遠くに飛ばされてしまった。通信魔法の圏外にもなってるし……戻るより飛んだ先の防衛に回る方が効率がいいか……。
それに…!
「頼れる人が来てるんでねっ!」
頼みましたよ……!リン様、シオンさん…!
俺はひたすら飛ばされるしかなかった。
「リン様。シンの要望でこっちに来とけって言われましたけど、何もないですよね?」
「エゴンの情報としてはここを通るとのことですが……。」
敵を警戒し私は辺りを見渡していた。
「サンディック…!」
「リン様!」
突如、魔法がとんでくる。シオン様が飛んできた魔法を弾いてくれなければ危なかった。
「おぉ〜!アイツ、中々なタイミングだな…!」
「タイグさん…。感心してる場合じゃないッス…。」
「見て……王女が…いる……。」
「よしっ!じゃあ、あの男が護衛騎士団かなんかか!」
あの人達は…北の勇者パーティー…!
「リン様…。来たようですね…。」
「いきましょう!戦争を終わらせるため……。」
北の勇者パーティー。タイグ・モル、ナオ・ヤシー、クシュ・バース
VS
イースト第三王女。スターリン・イースト、イースト護衛騎士団第一支部長。シオン
イースト対ノース。どの国との対戦でも起こらなかった不測の事態が訪れる対戦となる……!
東北侵犯、開戦。




