東南合併国ライン跡地-②
「さて、フイナの働きで兵士を一掃出来たわけだ。そろそろ作戦を始めようか!」ユイガさんは指を鳴らす。
「さっきまでのは何だったんですか……?」リンは苦笑いをしながら聞いた。
確かに、作戦なんて立てるような人には見えない……。
「さきのウエストとの戦いと今回の戦い。何が違うか分かりますか?」コウさんが問いかける。
「使える軍の数とかですか?」リンは顎に手を置きながら答えた。
「確かにそれもありますね。ですがもう一つあります。それは………」
コウさんは一瞬間を空けて言った。
「合併ラインが使えることです。」
合併ライン正しくは東南合併国ライン。それは東南間を結ぶもので小さな町や店が並ぶ予定だった。数年前に結ばれた東南協定に合わせ建設が始まったが、半年前サウスが協定を破り侵攻を開始。その時には、合併ラインの建設は中止になった。半年間、戦火を交えていたが一ヶ月前に捕虜になりかけた子供を先代東の勇者が庇い、戦いは幕を閉じた。
それで今は森林に囲まれた状態になっているわけだが……それが何の影響を与えるんだ……?
「取り敢えず、分担します。」コウさんは掛けているメガネを直す。
「まず、第一、第五支部と第二支部の兵士はここ周辺で防衛、一部を侵攻させます。その間に僕とアズマ君そして、リン様は迂回してサウスを目指します。」コウさんは作戦の内容を説明した。
「あ、あの…それでどうするんですか?あ、いや!べ、ベベベ別にコウさんの作戦を否定しているというわけでは……ごめんなさい!!」フイナさんが質問したかと思えば、謝り始めた……。情緒が不安定だな……。
「謝らなくて大丈夫ですよ。まず、僕達の役割。それはサウスの各所を攻撃して戦意喪失を図る。あるいは都市機能を崩壊させる。それなら勇者と魔法の才能が秀でているリン様で事足りるかと。」
コウさんはここで一息つき、眼鏡を直した。
「おそらく敵は全てとは言わずとも、ほとんどの兵をこちらに向かわせていると思います。なので指揮能力、戦闘能力にて最強と言っても過言でないユイガさんと戦闘技術の高いフナイを配置しました。何か異論、案があればどうぞ。」コウさんは少し誇らしげな表情を浮かべていた。
「はい。」すごい…!というような空気感の中で俺は手を挙げた。
「アズマ君何か不満がありましたか?」コウさんは不思議そうに聞いた。
「俺を南の勇者と……ナミ・アイビーと戦わせてください……!!」俺はただひたすらにコウさんの目を見た。
「別にあなたの作戦を否定しているわけではない。むしろ尊敬しています。でも!これだけは……!譲りたくない……せめて話す機会だけでも!」俺はコウさんに話を続けた。
「君は南の勇者に勝てるのかい?」
辺りの時間が止まったように感じた。そのなかで俺は答えた。
「勝ちません………!止めます………!」
「いいよ。ただし、陣形は変えない。移動中あるいはサウスにて応戦した時のみに限る。それでいいならね。」
予想外の返事と条件に困惑しながらも俺は「はい……」と答えた。
「それと、さっきから震えているそこの兵士君。君裏切ってるよね?さっきらから挙動不審で止まらない汗、震える足。どう思います?ユイガさん。」後ろにいた兵士に対してコウさんがいきなり言って、ユイガさんに対応を求めた。
「白状しろ。」ユイガさんがゴミをみるような目で言い放った。
「ヒィィィ!!も、申し訳ありません!!!」そう言って兵士は逃げ始める。
「フイナ、捕らえろ。」ユイガさんが指示を出した。
「かしこまりました……。」フイナさんは一瞬にて兵士を捕まえた。
「君には洗いざらい話してもらいますよ。できるだけ早めに。」
「目しか笑ってない……」コウさんの様子にリンは少し怯えていた。




