開戦前夜
ミナミが去ってから俺はちーと共にダンジョンを脱出してから一日。俺は自室に籠もっていた。
「俺があの時、アビリティのことを言わなかったら……いや、でも結局戦うことに……。マジで何なんだよ…何で俺らが戦わないといけないんだ……。」俺は拳を強く握り締めた。
「戦争する必要なんて………」するとコンコンッとノックが俺の言葉を遮る。
「アズマ様。サウス軍の進行が思っていたよりも早いようで明日の早朝には出発するそうです。でも行かなくても……」リンが俺の様子を気にしてくれていたらしい。でも……
「大丈夫、ちゃんと行くよ。」ミナミとちゃんと話したい。ちゃんと話さなきゃいけない、友達として。
「勇者様がまもなく到着するそうです!」
「分かった。下がれ。」
「失礼いたします!」若い兵は頭を下げ簡易テントを後にする。
「勇者不在の中、ウエストに勝利したイーストを潰し手駒に入れることが出来ればノースへの勝利も濃厚。実に……濃ッ……!!厚ッ………!」
難攻不落南ノ軍勢。通称〈難南〉総隊長〈初見殺し(ファーストキラー)〉バッシ・カイシ。
「今回の戦いで厄介なのは難南だ。」ワルパフさんが突然聞いてきた。
「いや、知りませんよ。」
「そういうことじゃない!難攻不落南ノ軍勢。通称、難南だ。こいつらは戦闘のプロフェショナルと言っても過言ではない。個々の戦闘能力で言えばトップクラスだ。」
なるほど、略して難南になるのか。
「皆には申し訳ないのだが、今回私は参戦できない。」
「そんな事、聞いてませんよ?!」第四支部長であるローリエが困惑した様子を見せる。
「旧ウエストにて王の演説会と今後の方針会議が行われるため、護衛につかなければならないんだ。すまない。それと、いきなりで悪いがローリエにもついてもらう。」
「あの……それって、戦力足りるんですかね……?ゴンドラ様もいらっしゃいませんよね…?」リンが手を挙げ聞く。
「イラフは今、ノースで戦闘及び調査中の兵士のもとに援軍として向かっている。」ワルパフさんはバツが悪そうに話す。
「じゃあ、俺達以外に誰が行くんだよ。」シオンさんが言う。
「安心してくれ。第一、第二、第五支部が参加する。」ワルパフさんはドヤりながら言う。
「最強と名高い第一支部を参加させるんすか?」シオンさんは心配そうに聞いた。
「陛下からは許可をもらっている。それにそのくらいしないと勝てない相手だ。」
「あの…第一支部ってそんなにすごいんですか…?」俺は何も知らなかったので聞いた。
「おいおい……誰かアズマに教えてないのか……。」ワルパフさんは呆れたように言った。
「えっとですね。第一支部はイーストの六つの支部のなかで最強と言われているんですよ。第一支部長は騎士団長のワルパフ様とも渡り合える噂があるんですよ。」リンが第一支部について説明した。
「まぁ、性格に難ありって感じなんだけどな……。」ワルパフさんは困った様子で呟いた。
「とにかく!頼んだぞ!」
「責任押し付けて……」
「いない!!」ワルパフさんは俺の言葉を遮った。
「ナミ君。君の超絶濃厚な力を見せつけて、く、れ、よ。」バッシさんは僕の肩を叩く。
「はい。もちろんです。」
もう終わらせる。あの国への復讐も。この戦争も……。




