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異世界転生したら、ヒロインが全員ボケだった件  作者: 関澤諭


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9/14

戦おうとするほど壊れていく

 街の外。


 気づけば、また似たような状況になっていた。


 目の前には黒ローブの男。

 後ろにはヒロインたち。

 そして、その間に立たされている俺。


---


「今度こそ終わりだ」


 黒ローブが低く言う。


---


「それ前も聞いた!!」


---


「今回は違う」


---


「毎回言ってる!!」


---


 空気が張り詰める。


 風が止まる。


 これはもう完全に戦闘の流れだった。


---


 ――いい加減、ちゃんと戦う。


---


「全員、準備しろ」


---


 振り返る。


---


 アリスは微笑んでいる。

 ユイは無表情。

 ミナは楽しそう。

 エリナは真剣。

 ミルフィーナはキラキラしている。

 シオンは静かに立っている。


---


 頼む。


 今回は普通にいこう。


---


「いくぞ!!」


---


 その瞬間。


---


「ちょっといいですか♡」


---


「やっぱり来た!!」


---


 アリスだった。


---


「戦う前に確認したいことがあります♡」


---


「今やるな!!」


---


「この戦い、何のためですか♡」


---


 黒ローブが止まる。


---


「……何?」


---


「目的が曖昧だと、良い結果になりません♡」


---


「会議始めるな!!」


---


 しかし。


---


「……確かに」


---


「乗るな!!」


---


 黒ローブが考え始めた。


---


「俺は……何のために……」


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「知らんのか!!」


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 ミナが手を上げる。


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「はいはい!」


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「なんだ!!」


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「とりあえず名前教えて?」


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「なんでだ!!」


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「呼びにくいし」


---


 黒ローブは少し迷ってから言った。


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「……ゼルグ」


---


「名乗った!!」


---


「よろしく!」


---


「友達じゃねぇ!!」


---


 ユイが言う。


---


「情報は必要」


---


「それっぽく言うな!!」


---


 エリナが前に出る。


---


「では確認します」


---


「やめろ!!」


---


「あなたは本当に敵ですか?」


---


 沈黙。


---


「……分からない」


---


「どういうことだ!!」


---


「命令された……だが……」


---


「誰に?」


---


「……分からない」


---


「またそれか!!」


---


 ミルフィーナが言う。


---


「じゃあ悪い人じゃないかも!」


---


「判断が軽い!!」


---


 シオンが静かに言う。


---


「この世界では、理由はあとからついてくる」


---


「怖いこと言うな!!」


---


 悠斗は頭を押さえた。


---


「もういい!!」


---


 全員が見る。


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「一回落ち着け!!」


---


「賛成です♡」


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「いいね」


---


「休憩!」


---


「戦闘中だぞ!!」


---


 結果。


---


 全員座った。


---


 敵も含めて。


---


「なんでだよ!!」


---


 円になって座る。


 完全に会議だった。


---


「議題を決めましょう♡」


---


「いらない!!」


---


「戦うかどうか」


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「それ今決めるのかよ!!」


---


 ゼルグが小さく言う。


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「……戦いたくはない」


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「終わりじゃねぇか!!」


---


 ミナが立ち上がる。


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「じゃあ解散!」


---


「軽い!!」


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 エリナが頷く。


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「争いがなくなるのは良いことです」


---


「結果だけな!!」


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 ミルフィーナが手を上げる。


---


「仲間?」


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「違う!!」


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 ユイが言う。


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「流れ的にはそう」


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「流れで決めるな!!」


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 シオンが静かに呟く。


---


「こうやって、境界が曖昧になる」


---


 その言葉だけ、妙に重かった。


---


 悠斗は空を見上げる。


---


 青い。


 何も変わらない。


---


「……戦うって、なんだっけ」


---


 誰も答えなかった。


---


 ただ。


---


 ゼルグは、その場に残っていた。


---


 敵なのか、味方なのかも分からないまま。


---


 ――この世界では、“決着”すらまともに成立しない。

第9話を読んでいただきありがとうございます。

今回は「戦おうとするほど戦いが成立しない」という、この世界らしさを強めた回でした。

結果として、戦闘のはずが会議になり、そのまま終わるという形になっています。

また、敵であるはずの存在も曖昧になっていくなど、

この世界の“境界のゆるさ”も少しずつ見えてきました。

とはいえ、基本はこれまで通りコメディ全開で進んでいきます。

ここからさらにカオスと違和感が広がっていくので、気軽に楽しんでいただければ嬉しいです。

引き続き読んでいただけると嬉しいです。

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