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異世界転生したら、ヒロインが全員ボケだった件  作者: 関澤諭


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5/14

ヒロインは魔法少女で、年齢の概念が壊れている

 その日の夜。


 佐藤悠斗は、焚き火の前で静かに座っていた。


 ヒロインは四人。

 これ以上増えないことを、心の底から祈っていた。


 アリスは鍋をかき混ぜている。

 ユイは無言でそれを観察している。

 ミナはその横で勝手に味見している。

 エリナは静かに座り、どこか落ち着いた顔をしていた。


 異様にまとまっている。


 いや、まとまっているように見えるだけで、全員おかしいのは変わらない。


---


「悠斗♡」


「なんだ」


「家族会議しましょう♡」


「何のだ」


「結婚式の♡」


「まだ続いてたのかその話!」


---


「悠斗」


「なんだ」


「このままだとまた増える」


「もうやめろ」


---


「悠斗ー」


「なんだ」


「明日街行こうよ!」


「それは賛成だ!」


「ドレス見たい!」


「そっちか!!」


---


 話が終わらない。


 終わる気配がない。


---


 その時だった。


 空に、星とは違う光が浮かんだ。


 ひとつ。


 いや、動いている。


---


「なんだあれ」


---


 光はどんどん近づいてくる。


 そして――


---


 ドンッ!!


---


 派手に弾けた。


 キラキラとした光が周囲に降り注ぐ。


---


「演出が派手すぎるだろ!!」


---


 光の中心から、少女が現れた。


 ふわふわの衣装。

 リボン。

 ステッキ。


---


「魔法少女……?」


---


「ふふん!」


 少女はポーズを決めた。


「正義と愛の魔法少女! ミルフィーナちゃん参上です!」


---


「テンションが高い!!」


---


「お兄さん!」


「誰だよ!」


---


「助けてください!」


「展開が早い!」


---


「悪い魔王に追われてるんです!」


---


 全員の視線が後ろへ向く。


---


 コーヒーを飲んでいる魔王。


---


「俺か?」


「お前しかいないだろ!!」


---


「違います!」


 ミルフィーナが慌てて言う。


「もっと悪そうな魔王です!」


「もっと悪そうってなんだよ!!」


---


 魔王が腕を組む。


「心外だな」


「お前は悪い側で合ってるだろ!!」


---


 ミルフィーナは悠斗を見上げる。


「お願いします!」


「何を」


「一緒に戦ってください!」


「なんで俺!?」


---


「だって強そうなので!」


「どこが!!」


---


 ユイが呟く。


「第五ヒロイン」


「確定させるな!!」


---


 アリスが笑う。


「かわいいですね♡」


---


 ミナが笑う。


「いいじゃん!」


---


 エリナが真顔で言う。


「彼女は危険かもしれません」


「やっとまともな意見!」


---


「年齢が分かりません」


「そこ!?」


---


「えへへ」


 ミルフィーナが笑う。


「見た目は13歳!」


---


「でも実年齢は……」


---


「分かりません!」


「終わってる!!」


---


 魔王が頷く。


「面白い」


「楽しむな!!」


---


 賢者が言う。


「不老不死の可能性があります」


「さらっとヤバいこと言うな!!」


---


「とにかく!」


 ミルフィーナが叫ぶ。


「一緒に来てください!」


「もう限界なんだけど!!」


---


 その時だった。


---


「ククク……見つけたぞ」


---


 低い声が響いた。


---


 空気が変わる。


---


「来た!」


 ミルフィーナが叫ぶ。


---


 森の奥から影が現れる。


 黒いローブ。


 明らかに敵。


---


「本物の魔王か?」


「知らん」


「知らんのかよ!!」


---


「逃げましょう!」


「戦わないのか!?」


---


「まだ準備できてないですし!」


「雑すぎる!!」


---


 結局。


 全員で走ることになった。


---


 ヒロイン五人。


 ドラゴン一匹。


 ゴーレム一体。


 魔王一人。


 賢者一人。


---


 完全に大所帯だった。


---


 走りながら、悠斗は思う。


---


 この世界は確実におかしい。


---


 そして――


---


 ヒロインは、まだ増える。

第5話を読んでいただきありがとうございます。

ついにヒロインが5人になりました。

今回は“魔法少女”という、また一段ズレた方向からの参戦です。

人数が増えるほど会話のカオスも加速していきますが、その分だけ悠斗の苦労も増えていきます。

また、今回は少しだけ“敵っぽい存在”も登場しました。

今後はコメディの中に、ほんの少しずつ世界の違和感も混ぜていく予定です。

引き続き、気軽に楽しんでいただけると嬉しいです。

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