会議してたら街が二つになった
街が揺れていた。
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建物が増え。
人が同じ言葉を繰り返し。
景色そのものが不安定になっている。
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「今日はいい天気ですね」
「今日はいい天気ですね」
「今日はいい天気ですね」
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「怖ぇよ!!」
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悠斗は叫ぶ。
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だが。
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その瞬間。
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街が“ズレた”。
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「……え?」
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目の前の建物が、横に滑った。
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いや、違う。
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もう一つ現れた。
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「増えたぁぁぁぁ!?」
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同じ建物。
同じ人。
同じ景色。
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街が、二つ並んでいた。
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「意味分かんねぇ!!」
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ミルフィーナが叫ぶ。
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「コピーだ!」
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「嫌な増え方しかしないな!!」
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ユイが静かに言う。
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「揃えきれなくなってる」
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「世界の処理落ちみたいに言うな!!」
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ミナが笑う。
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「じゃあ二つ目の街で遊ぼうよ!」
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「状況を楽しむな!!」
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エリナが真剣な顔をしていた。
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「危険です」
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「やっとまともなこと言った!」
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「街が二つあると、宿代が二倍になる可能性があります」
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「そこ!?」
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アリスがにこにこしている。
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「でも選択肢が増えましたね♡」
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「前向きすぎる!!」
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シオンだけが空を見ていた。
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「……限界が近い」
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「何のだよ」
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「世界の」
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怖い言い方をする。
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その時だった。
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「会議しよう」
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「誰だよ!?」
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ゼルグだった。
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普通に混ざってきた。
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「なんでいるんだよ!!」
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「こういう時は会議だろ」
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「馴染むな!!」
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だが。
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「確かに必要ですね♡」
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「乗るな!!」
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結果。
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街の真ん中で会議が始まった。
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「なんでだよ!!」
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円になって座る。
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しかも。
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二つの街の住人が、同時に集まってきた。
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「今日はいい天気ですね」
「今日はいい天気ですね」
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「圧がすごい!!」
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悠斗は頭を押さえる。
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「とにかく整理するぞ!」
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「今どうなってる!?」
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ユイが指を立てる。
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「街が二つ」
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「見れば分かる!!」
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エリナ。
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「世界が不安定です」
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「それも分かる!!」
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ミナ。
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「なんか面白い!」
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「お前だけだよ!!」
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ミルフィーナ。
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「変身した方がいい?」
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「関係ない!!」
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アリス。
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「悠斗さんが原因ですね♡」
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「さらっと重いこと言うな!!」
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全員の視線が悠斗に集まる。
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「……」
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「いや待て」
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「なんで俺のせいなんだよ」
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シオンが静かに言う。
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「異物だから」
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「便利ワードみたいに使うな!!」
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「悠斗が認識すると、ズレる」
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「つまり?」
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「世界が、“揃えられなくなる”」
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その瞬間。
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ゴゴゴゴゴ……。
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街がさらに揺れた。
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「うわっ!?」
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二つの街が。
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少しずつズレ始める。
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建物同士が重なる。
人が混ざる。
景色が歪む。
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「まずいですね♡」
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「お前が言うと軽い!!」
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すると。
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二つの街の住人たちが、同時にこちらを見た。
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「原因を排除します」
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「急に一致するな!!」
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全員、同じ顔。
同じ声。
同じ動き。
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怖すぎる。
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「来るぞ!!」
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悠斗が叫ぶ。
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だが。
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「会議を続けましょう♡」
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「今!?」
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アリスだった。
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「まず問題点を整理します♡」
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「敵来てる!!」
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「慌てると良くありません♡」
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「お前だけだよ冷静なの!!」
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ミナが立ち上がる。
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「じゃあ私、陽動する!」
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「頼んだ!」
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「やっほーーー!!」
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ミナが全力で走る。
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住人たちの半分が追いかけた。
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「効いてる!?」
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ユイが呟く。
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「ズレた」
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「それだ!!」
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悠斗はハッとする。
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「揃ってるから危険なんだ!」
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「なら――」
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悠斗は叫んだ。
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「全員好き勝手に動け!!」
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一瞬、静かになる。
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そして。
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世界が、ズレた。
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住人たちの動きが止まる。
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景色が揺れる。
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街の境界が崩れる。
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「効いてる!!」
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シオンが初めて少しだけ笑った。
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「……正解」
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「初めて褒められた気がする!!」
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その瞬間。
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二つあった街が。
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ゆっくり、一つに戻っていった。
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静かに。
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まるで最初から何もなかったみたいに。
第16話を読んでいただきありがとうございます。
今回は「揃えようとする世界」と「ズレによって崩れる世界」をさらに強く描いた回でした。
悠斗の存在が、少しずつこの世界の“揃う流れ”を壊し始めています。
とはいえ、やっていることは街の真ん中で会議だったりするので、相変わらずカオスです。
ここからさらに物語は加速していきます




