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異世界転生したら、ヒロインが全員ボケだった件  作者: 関澤諭


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16/18

会議してたら街が二つになった

 街が揺れていた。


---


 建物が増え。


 人が同じ言葉を繰り返し。


 景色そのものが不安定になっている。


---


「今日はいい天気ですね」


「今日はいい天気ですね」


「今日はいい天気ですね」


---


「怖ぇよ!!」


---


 悠斗は叫ぶ。


---


 だが。


---


 その瞬間。


---


 街が“ズレた”。


---


「……え?」


---


 目の前の建物が、横に滑った。


---


 いや、違う。


---


 もう一つ現れた。


---


「増えたぁぁぁぁ!?」


---


 同じ建物。


 同じ人。


 同じ景色。


---


 街が、二つ並んでいた。


---


「意味分かんねぇ!!」


---


 ミルフィーナが叫ぶ。


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「コピーだ!」


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「嫌な増え方しかしないな!!」


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 ユイが静かに言う。


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「揃えきれなくなってる」


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「世界の処理落ちみたいに言うな!!」


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 ミナが笑う。


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「じゃあ二つ目の街で遊ぼうよ!」


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「状況を楽しむな!!」


---


 エリナが真剣な顔をしていた。


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「危険です」


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「やっとまともなこと言った!」


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「街が二つあると、宿代が二倍になる可能性があります」


---


「そこ!?」


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 アリスがにこにこしている。


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「でも選択肢が増えましたね♡」


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「前向きすぎる!!」


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 シオンだけが空を見ていた。


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「……限界が近い」


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「何のだよ」


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「世界の」


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 怖い言い方をする。


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 その時だった。


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「会議しよう」


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「誰だよ!?」


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 ゼルグだった。


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 普通に混ざってきた。


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「なんでいるんだよ!!」


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「こういう時は会議だろ」


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「馴染むな!!」


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 だが。


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「確かに必要ですね♡」


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「乗るな!!」


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 結果。


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 街の真ん中で会議が始まった。


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「なんでだよ!!」


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 円になって座る。


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 しかも。


---


 二つの街の住人が、同時に集まってきた。


---


「今日はいい天気ですね」


「今日はいい天気ですね」


---


「圧がすごい!!」


---


 悠斗は頭を押さえる。


---


「とにかく整理するぞ!」


---


「今どうなってる!?」


---


 ユイが指を立てる。


---


「街が二つ」


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「見れば分かる!!」


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 エリナ。


---


「世界が不安定です」


---


「それも分かる!!」


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 ミナ。


---


「なんか面白い!」


---


「お前だけだよ!!」


---


 ミルフィーナ。


---


「変身した方がいい?」


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「関係ない!!」


---


 アリス。


---


「悠斗さんが原因ですね♡」


---


「さらっと重いこと言うな!!」


---


 全員の視線が悠斗に集まる。


---


「……」


---


「いや待て」


---


「なんで俺のせいなんだよ」


---


 シオンが静かに言う。


---


「異物だから」


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「便利ワードみたいに使うな!!」


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「悠斗が認識すると、ズレる」


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「つまり?」


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「世界が、“揃えられなくなる”」


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 その瞬間。


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 ゴゴゴゴゴ……。


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 街がさらに揺れた。


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「うわっ!?」


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 二つの街が。


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 少しずつズレ始める。


---


 建物同士が重なる。


 人が混ざる。


 景色が歪む。


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「まずいですね♡」


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「お前が言うと軽い!!」


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 すると。


---


 二つの街の住人たちが、同時にこちらを見た。


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「原因を排除します」


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「急に一致するな!!」


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 全員、同じ顔。


 同じ声。


 同じ動き。


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 怖すぎる。


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「来るぞ!!」


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 悠斗が叫ぶ。


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 だが。


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「会議を続けましょう♡」


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「今!?」


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 アリスだった。


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「まず問題点を整理します♡」


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「敵来てる!!」


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「慌てると良くありません♡」


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「お前だけだよ冷静なの!!」


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 ミナが立ち上がる。


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「じゃあ私、陽動する!」


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「頼んだ!」


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「やっほーーー!!」


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 ミナが全力で走る。


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 住人たちの半分が追いかけた。


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「効いてる!?」


---


 ユイが呟く。


---


「ズレた」


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「それだ!!」


---


 悠斗はハッとする。


---


「揃ってるから危険なんだ!」


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「なら――」


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 悠斗は叫んだ。


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「全員好き勝手に動け!!」


---


 一瞬、静かになる。


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 そして。


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 世界が、ズレた。


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 住人たちの動きが止まる。


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 景色が揺れる。


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 街の境界が崩れる。


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「効いてる!!」


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 シオンが初めて少しだけ笑った。


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「……正解」


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「初めて褒められた気がする!!」


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 その瞬間。


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 二つあった街が。


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 ゆっくり、一つに戻っていった。


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 静かに。


---


 まるで最初から何もなかったみたいに。

第16話を読んでいただきありがとうございます。

今回は「揃えようとする世界」と「ズレによって崩れる世界」をさらに強く描いた回でした。

悠斗の存在が、少しずつこの世界の“揃う流れ”を壊し始めています。

とはいえ、やっていることは街の真ん中で会議だったりするので、相変わらずカオスです。

ここからさらに物語は加速していきます

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