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とても大きいお客様の件

レンツ・EC・ウェインとのやり取りから一日が過ぎた翌日の事。

俺は屋上に呼び出されていた。相手はアオイである。


「良かった今回は無事に辿り着いたみたいだね」

「学校の屋上までが、まるで迷宮みたいな表現だな」


だが、アオイの気持ちも察することはできる。アオイと会うときには毎度倒れている俺だから。

しかし、今日は体調も万全である上に天気も良い。


「今度こそユーゴ君にしっかりと確認したいこと…」


アオイが何か大切なことを言い出そうとした所で、またも邪魔者が入る。

しかも、今回の邪魔者は非常にデカい。


「とっいうわけでお迎えにあがりました。レンツ・EC・ウェインです」

「とっいうわけじゃない。ここは敵陣だぞ分かっているのか」


俺達の目の前に現れたのは先日ブラックボックスの謎のシステムと魔法の力で通信を行ったレンツ・EC・ウェインである。

いつか屋敷に招くと言いながら、その翌日には目の前に現れたのであった。


彼が乗っているのはおそらくオリジナルのエクセリオンであろう。先日撃退した巨大兵器よりは若干小柄であるが、武装が凝っている様子がみられる。


しかし、これだけの巨体が近づいているのに気が付かないほどに俺は気を取られていたのか?

いや、レンツが全く殺気や敵意の類を発していない事が反応を遅らせたのだろうか?


今ここで戦えば学園が崩壊することは避けられないだろう。


ここに到着するまで正規軍が対応できなかったことを考えるとSGAと同じくこちらのレーダーの上を行くステルスシステムが搭載されていると予測される。


だが、これだけの大きな機体が見過ごされるのは納得がいかない部分が多い。


「さて、こちらからの要求は彼一人を一日お貸願いたいだけなのですが…何か手続きは必要ですか?」

「いきなり人をモノ扱いとはな」

「モノ扱いではないのですが、やはり話を通すべき人に通しておいた方がご返却の際によいかと」

「その表現をモノ扱いと言っている」


言い方は気になるが、悪気は一切感じない。やはりこの人間はどこかネジが飛んでいる様だ。

だが、普通の思考回路ではこの様な少年が軍の機体の設計を任されるわけもないと思えば少々納得がいく。


「うーん手荒な真似をしたくはないのですが…」


レンツの注意は傍にいたアオイに向いた様だ。


「このような美しい女性もパイロット候補とは…パイロットをお辞めになってアイドルにでもなられた方が世界平和に貢献できそうですね」


ネジはぶっ飛んでいる様だが、そこの価値観は激しく同意ができる。


「お嬢さん。どうか彼氏を1日お貸し願えませんか?」

「何を言ってるの、ユーゴ君に何をするつもり?」

「私のお友達になって頂きたいと思いまして」


そうこうしている間に関東軍の正規軍が集結して来た。


「このままでは被害が出てしまいますね…やむを得ません」


レンツは謎の球体で俺とアオイを拘束する。

俺には回避する手段があるが、アオイを助けられるか確証がない。

幸い、レンツが俺達に手を出す未来は見えない。

この場は大人しくしている事がアオイを守る最善の方法であると判断した。


「よくよく考えれば、貴方を1人でご招待するよりも姫君をお連れした方が確実でしたね」

「わざとらしい、元々それが狙いだろ?」

「いえいえ、偶然の産物ですよ…所で翼の機体は持ってこれますか?」

「軍の重要機密を簡単に持ち出せるわけ無いだろ」

「それもそうですね」


正規軍が迫る中で、余裕のレンツ。


「一応警告しますね、僕は貴軍の学徒兵2人を人質にしております。危害を加えられなければ、1日後にはお返ししますのでどうかお見逃し頂ければと思います」


軍からの返答は無いが見慣れた2体が飛び出して来た。

アサヒのケイバースとマイのラファーエルである。


「全く、紅い閃光は捕まるのが趣味なのか?」

「アオイと2人っきりでフラグ立てまくりなのが毎度素敵だけど…そろそろ回収できたかしら?」


「待て2人とも」


迫り来る2機を制したのは蒼い機動兵器。スミト大尉の乗るブルーブレイバーであった。


「おっとこれはこれは、伝説の蒼い雷の方ですね」

「君の目的はなんだ」

「僕はこのお二人と友達になろうとしているだけですが?」

「関西軍の新型で乗り込んで来てそんな妄言を信じろと言うのか?」

「詳しくはバダムスに聞いて下さい」

「また奴の手先か」


その時スミト大尉に軍からの司令が入る。

目標の捕獲、不可能であれば破壊。可能な限りの人質の救出。


「馬鹿な?学生を見殺しにするつもりですか?」

「学生よりも、あの機体だ」

「…了解」



「大丈夫ですよ。スミト大尉」

「あぁ…俺達が先にユーゴとアオイを助ければ済む話だ」

「2人とも…分かった、俺が可能な限り敵を引きつけるから頼むぞ」


スミト大尉は、ブルーブレイバーの遠隔思念兵器、ウィングビットを展開してエクセリオンに迫る。


「やれやれ、伝説のパイロットに僕が叶うわけないじゃないですか」

「余裕だな?」

「簡単にはやられないと思いますが…せっかくなのでこの隙に翼の機体を取ってきて下さい」

「え?」


そう言ってレンツは俺を降ろした。


「姫君をお預かりしている限りあなたは来ますよね」

「間違いではない」

「通信によると軍はあなた方の保護よりも僕の機体を捕獲したいみたいなので時間は稼げますから」


全く何を考えているのかは理解出来ないが、先程のバダムスと言う名前から恐らくSGAの司令であるバダムス・ウィンの事だろう。

今の俺にできるのはセルドラルで彼を追うことである。


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