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魔法の力で巨大兵器をぶった切る件

 不思議とこの敵からは敵意を感じない。攻撃は正確で、動きこそ遅いが気を抜けば直ぐに撃墜される恐れがある。だがこちらには巨大兵器に対する決定打がない。

 防御フィールドと装甲に打つ手がない状況が続く。

 今駆けつけている軍の本隊が援軍に現れてもなす術が無いのも懸念材料だ。


 そこに緊急通信が研究チームから入る。相手はミナト先輩だ。


 今回テストしていた新型エンジンを搭載した機体が稼働したとの事だ。新型のエンジンがあるからどうという訳では無いが実弾とレーザー兵器が効かない以上、この新型の性質が活きる可能性がある。


 武装した試験機を直接持ってくるとの事だったので、俺はアオイに許可をとって一旦前線を離脱する。

 テストもろくにしていない代物だが、現状は新システムにかけるしかない。


 本日2回目の後退をすると直ぐにその機体と合流できた。


「こちらルーキーズ小隊、ユーゴ・アマギです」

「ユーちゃん」

「え?」

「タカコ・ミヤザキです」

「タカ!なんでそんな所に?」

「端的に伝えると、私が大学生で、研究班で、機体が動いて、まともに動かせるのが私だけで、ユーちゃんを知ってるから名乗り出たで通じる?」

「あぁ十分だ」


 昔から変わらない。伝える時は端的に伝える彼女。

 タカコ・ミヤザキは俺と同じ施設で育った。その時から兄妹の様な間柄で歳は二つほど離れていたが、まさかこの場で再会するとは。


「グラビィティドライブを用いても敵を撃破するのは無理よ」


 先日とあるルートからもたらされたコアクリスタルを用いて稼働する反重力エンジンがグラビィティドライブである。

 既存のバッテリーエネルギーとは異なるエネルギーを生成でき、我が軍のエネルギー問題の解決に一躍を担ってくれる事を期待されるエネルギーである。


 ただ…つい先日まで電力エネルギー等をどう蓄積するかを研究していたチームが何故この様な飛躍した理論を扱いだしたのか…その技術をもたらしたとあるルートが非常に気になるが今はそれ所ではない。


「何となくは分かっているがやはりただのアンチレーザーフィールドではないと?」

「そもそもそこが間違い。あれはアンチレーザーフィールドでは無く、可変型のエネルギー屈折フィールドよ」


 俺の魔法の【ディストーション】と同じか原理だが空間を捻じ曲げて魔法と違い弾くものに応じて展開するフィールドの性質を変化させる必要がある様だ。

 

 巨大兵器のフィールドの突破口は、異なる性質のエネルギーによる同時攻撃である。


「そこで、このプログラムを利用するの」

「スパイラルブレーカー?」


 グラビィティドライブから供給されるエネルギーを打ち出すグラビィティライフルとセルドラルのレーザーライフルのエネルギーを同時に螺旋状に照射して交互に2つの異なるエネルギーをぶつけ続けて敵のフィールドを突破する作戦である。


「2人の位置取りがズレれば、エネルギーが重なって重力とレーザーの混合体として弾かれてしまうかもしれないから1発勝負よ」

「実践は大丈夫なのか?」

「私には技量なんてないからユーちゃんを信じてタイミングを合わせるだけ、他のフォローは全部任せるわ」


 ほぼ自分は何もせず合わせるだけど言い切る根拠の無い自信…と言うか俺に対する過信。タカの精神の強さも昔から変わらない。

 ぶっつけ本番のプログラムだが、現状はその作戦にかけるしかない。


 セルドラルでグラビィティドライブ試験機を無理やり引き上げて戦線に復帰した。


 硬直状態が続いている戦況に復帰してアオイに通信を入れる。


「援軍と共に一か八かの攻撃を仕掛ける」


 アオイにプログラムの情報を流すと瞬時にアオイは判断した。


「任せるよ」

「了解」


 セルドラルはそのまま巨大兵器に突貫するつもりだったが、タカはセルドラルから一旦離れて独自の動きを行う。

 本当にエンジュニアコースの研究生なのだろうか?と目を疑う動きだった。

 俺は周囲のミサイルを全て撃ち落とし、タカの位置取りを援護する。


 巨大機動兵器の胸部から放たれる巨大なレーザー砲を確認すると俺達2人のタイミングが合った。


「ここよ」

「了解」

「スパイラルブレーカー発動」

 2人が指定された距離感でプログラムを起動すると機体は自動でポジションを調整して狙撃体制に

 2機からそれぞの砲撃が螺旋状に放たれた。


「ユーゴの動きにピッタリと合わせて連携攻撃…しかしこのままでは…」


 離れて見ていたトーマもその動きのフィット具合いに驚きと同時に何かを察知した。


 スパイラルブレーカーは巨大兵器のフィールドを貫通しダメージが与えるがその巨大さに恥じない装甲で耐える。

 その間に試験機のシステムがオーバーロードして機能を停止してしまった。

 軽い爆発と共に試験機が落下する。


「タカ!」

「ユーちゃん今がチャンス押し込んで」

「だが」


 迷って助けようとした所に高速で接近する機体が俺より先に試験機を救った。

 飛行形態に変形したトーマのタケミカヅチである。


「この機体は任せて、君はアレを。君になら突破できる」


 まるでこの状況を予測していたかの様なタイミングでの飛び出した。やはりトーマは魔法の素質がある。


「サガ、ソニックトランスフルドライブ」

「了解、ソニックトランスシステムフルドライブスタート、臨界点まで60セコンド」


 機体の熱量と言う熱量が独特の周波数の音と共にエネルギーに変換される。エネルギーの充足を確認するとスロットルを全開にした。

 突貫するセルドラルを危険視した巨大兵器は全砲門をセルドラルに向ける。敵も一流のパイロットかも知れないが、反応速度は早くない。対応できる範囲の攻撃だが、敢えて狙いやすい様に直線的に攻める。


【ハイパー・コンプレッション】


 コンプレッションの上位魔法を発動させレーザーソードにエネルギーを流し込む。

 レーザーソードの刀身はレーザーの粒子を加速させる事で破壊力を向上することができる。

【ハイパー・コンプレッション】で粒子の速度を極限まで加速させる。

 粒子が加速している為、瞬時に膨大なエネルギーが消費される。発動にはソニックトランスシステムが必須であるがそのレーザーソードは膨大なエネルギー量となる。今のセルドラルにできる最大の攻撃である。


 全てのミサイルとレーザーの砲門でセルドラルを攻撃してくれるがこれこそが勝機である。


「行くぞサガ!【ミラージュ・ダイブ】」


 全ての砲撃を直撃するかの如く突撃する。

 まだ【ミラージュ・ダイブ】を知らないルーキーズ小隊の面々は唖然とする。恐らく俺が撃墜された様にも見えただろう。


 だが、トーマだけは何かを察知していたかの様に叫んだ。


「いけーーユーゴ」


 ミサイルが爆散した直後にセルドラルは再構成され、巨大兵器の胸部にレーザーソードを向ける。

 スパイラルブレーカーのダメージと全砲門の砲撃でフィールドが機能していなかったのかセルドラルの突貫をさえぎるものは無い。

 レーザーソードは何の抵抗も受ける事無く、巨大兵器の機体を切り裂いた…

 いや、切り裂くと言うよりもその部分を消滅されているかの如く真っ二つにした。


 そして追撃にレーザーソードを数回振ると巨大機動兵器は崩壊して爆散した。


「セルドラルって規格外過ぎないか?量産できたら戦争が終わりそうなレベルで…」

「ユーゴくんだからできるテクニックとかそう言う次元じゃなさそうだよね」


 ゴウとアオイは目の前で起こった超常現象に唖然としていた。


「良くやったユーゴ」

「機体のエネルギーはギリギリだけどな」

「あれは堕天閃光斬と名付けてはどうだろうか?」


 ちょっと待て、どこに堕天騎士の要素があった?

 ミラージュ・ダイブからの斬撃ならばプログラム名はミラージュ・スラッシュと言った所か?

 ハイパー・コンプレッションを用いたレーザーソードならば単純にハイパー・レーザーソードとかで十分ではないか?

 ゴウといいアサヒといい…何故構成が分からなくなるようなプログラム名を付けたがるのだろうか?


「トーマ!タカは無事か?」

「大丈夫だよ。戦いの救世主はちゃんと守ったよ」

「流石ユーちゃんだね。昔っからここ一番での集中力が違う!偉いぞ」


 何故かここに来てお姉さん気取りなコメントをオープンチャンネルで伝えてくるタカ。その言葉にいち早く反応したのはアオイだった。


「ユーちゃん?昔っから?」

「なんと、学園アイドルに対するのは、学園モノにおける最大の障壁!幼馴染」

「マイちゃん。オープンチャンネルで変な事を言わないで」


 皆は状況が分かって居ないため、タカの事を全員に適切に紹介した。

 つもりだが…。

 アサヒを除くメンバーは何か誤解した様な受け取り方をしているとも取れる。


「ユーゴくん、無事撃破おめでとう。」

「ありがとうございます。ミナト先輩。先輩とミヤザキ先輩のお陰で戦線を突破出来ました…が…」

「分かっているわ…でも詳しくはまだ話せないの」

「まだと言う事は、近々ですか?」


 ミナト先輩は俺の疑問を既に把握している様子だ。だが軍の重要機密の為に簡単には教えられないらしい。1年前にアヴュー・ウィン達SGAに奪われたコアクリスタルとそれに関する新技術。1年前は開発にに2年はかかると言われていた新技術の突然の完成。

 疑問が生じないはずもない。


 遅れて軍の輸送機が到着した。

 アオイはタカに対して色々と聞きたがって居たようだが、チームのリーダーとして、本隊の指揮官に状況報告に向かった。俺達は回収等を任務とする事も多かったが、今回は本隊で行うらしい。やはり謎の巨大兵器は気になる様だ。



 どうにか新手の巨大兵器を退けた俺達だが、関西帝国の恐るべき兵器の実態を知るのは回収から1週間経ってからだった。


今回も「ロボット大戦を魔法の力で無双する件」をご覧頂きありがとうございます。

ブックマークやご評価を頂きモチベーション全開で執筆に勤しんでおりますが、残念な文才でやっておりますので更新は非常に遅くて申し訳ありません。


今回も新キャラ登場ですが、描き切れるか非常に不安です。しかしこの作品のベースとなったゲームの制作に協力してくれた仲間の為にも全キャラ登場させたいと思います。

次回はいよいよゲーム上で最強だったキャラを登場させます。

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