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魔法の力で瞬間移動をする件

 アヴュー・ウィンとの戦闘は一瞬の気の緩みも許さない状況だった。

 機体性能の差もあるがそれ以上に彼の持っている戦闘に対するセンスは並外れたものがある。


「ミラージュ・トレースを使ってやっとか…化け物だな」

「機体性能差を差し引けば反応速度ではこちらが有利」

「残念だが、それは疲弊したらこちらが負けると言う意味だよな」

「正論」


 魔法と言うアドバンテージがあっても恐らく機動兵器での戦闘経験値に差が有るのだろう。

 歳はそんなに離れている様には見えないのにどう言った環境で育てばここまでになるのか疑問だ。


「この驚異はここで断ち切る」


 アヴュー・ウィンの機体がセルドラルに迫りレーザーソードで斬りかかると回し蹴りへのコンボに繋げる。

 ソードを受け止め、蹴りに対してはあえて貰う。追撃の熱線兵器ヒートワイヤーをウィングシールドで受け流す。


「先が見えている、奴と同じか」


 奴とはスミトさんの事だろう。ある程度の技量になると相手がどれ程のものが分かるのか

 通るはずの攻撃が尽く通らない気持ち悪さの様なものがある様だ。


「ウィングシールド損傷も各システム異常無し」

「このままでは不味いな……あれを試して見るか」


 俺は新システムと魔法を使うため、セルドラルをアヴュー・ウィンのZEROタイプと急速に距離を詰める。


「シールドウィング展開」

「警告、目標高出力兵器展開」


「アンチレーザーフィールドは既に見せて貰った。だが、こいつは防げない」


 アヴュー・ウィンはウィングシールドによるアンチレーザーフィールドの展開を突破の賭けと見たのだろう。

 フィールドを貫通可能な高出力兵器を選択する。

 ZEROタイプは背部に接続された2つの砲身を腋窩部を通して前方に向け、二門のレーザーを照射した。

 ろくなチャージもしていないにも関わらず高出力レーザーランチャーを遥かに上回るレーザーがセルドラルに迫る。


「推定出力アンチレーザーフィールドを貫通し機体に深刻なダメージを予測回避推奨」

「分かってる」


 だが俺はあえて突進の勢いを緩めない。


 ZEROタイプの砲撃は展開されたウィングシールドのアンチレーザーフィールドを容易く貫通し、すっぽりとセルドラルを包んだ。


「勝機を焦ったか……勝負あったな」


 照射が終わった後にはセルドラルの残骸も何も残らなかった。


「何も残らない…そんな馬鹿な…」


 アヴュー・ウィンはセルドラルの中破程度の予測であったが、完全に消滅するのは有り得ないと考えた…そして彼の予感は的中した。

 セルドラルは目の前に姿を現し、アヴュー・ウィンの機体をレーザーソードで斬り付けた。

 即座に反応し致命傷は避けた様だがそれなりのダメージを与えた。


「馬鹿な、一体何が起こった」

「賭けは俺の勝ちですね」


 このセルドラルの挙動は俺が魔術師として開発した最大の魔法である空間転移魔法によるものである。


 俺自身がこの世界にやって来た根本とも関わる現象がこの魔法の正体である。


 この世界は俺が本来居た世界とは同一の世界であるが、時代が違うという仮説を立てていた。

 そしてなぜこの世界にやって来たのかを考えれば転移魔法の開発中の失敗であったことが挙げられた。


 つまり空間移動のつもりでいた魔法が実際は未来に転移していたと考えた。

 本来は過去に転移を目指してした俺からすれば大失敗の魔法であったがこの性質は機械で処理する事で一定の安定性をもたらす事が出来たのだ。


 この魔法は転移と言うよりも、1度自分達を構成する物質を完全に解体して指定した時間後に再構築を行う魔法である。

 ミラージュ・トレースを用いて攻撃が予測できればそれを素通しした後に機体を再構成すれば、攻撃を回避する事が出来たのだ。


 通常の魔法とは違い分解と構築を同時に処理する魔法故に負担は大きい為、乱用は出来ないが一瞬が勝負を分けるエースパイロットとの戦いでは非常に有効なカードであった。


 俺はこの魔法を「ミラージュ・ダイブ」と名付けた。


 ミラージュ・ダイブは相手の使った兵器が高出力であればある程、攻撃後の隙をつけ、効果的に運用できると考えている。


「この技術は……」

「偶然の産物です」


 アヴュー機との戦闘に気づいた味方の軍勢も引き返してきた。

 流石にもっと早く来て欲しいところだが、アヴュー・ウィンが万全な状態で戦闘空域に一般兵が来られるとかえって戦いにくいのも事実である為黙っておこう


「戦闘継続に支障あり…敵機の援軍ありか。引き際だな」

「助けてくれたり、敵対したり忙しい人ですね」

「まさか…ここまでとはな…本当は連れて帰るつもりだったがここは退かせて貰う」


 アヴューは機体を離脱させた…

 追撃するエネルギーも危うい状況であったので助かったのはこちらも同じ事である。

 兎に角疲労もピークに達した…やはりまだ子供の体で高等魔法の連発は体に応える様だ。


 そう言えば…明日は学校だったか…起きれるかな…

本当に毎回間が空いてしまいますが本業の合間にちょこちょこ構想を練り直して書いてます。

今回は核心に迫る魔法の検索ではの為に1話を使いました。短めですけど…

次は一先ず学苑パートに戻りたいと思います。

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