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魔法の力で戦域を制圧する件

「こちらルーキーズ小隊所属天城ユーゴです」

「大物ルーキーの紅い閃光の天城ユーゴか、援軍感謝する」


 俺は今、関西軍の進行部隊の迎撃の為防衛ラインの最前線に合流しようとしていた。

 敵が航空部隊を投入している為、飛行戦闘が可能であるセルドラルの参戦が指示された。


 しかし、あのよく分からん2つ名がまさか戦場まで流行って居るとは……


 当初の予定通り俺は対空部隊として編入された。

 飛行可能な機動兵器が生産されたが一部のパイロットを除き、空戦に関しては、従来通りの戦闘機型を使った方が戦績は良かった。

機体が出来上がっても肝心のパイロットが追いついていないのが現状である。

今回の戦域に置いてもセルドラル以外の味方対空部隊は全て戦闘機型である。


 敵軍と接触するが多くの機体は前方に火力を集中している為、やり過ごして後方から仕掛けるだけで撃墜は容易である。


 俺のセルドラルはシールドウィングと【コンプレッション】の組み合わせで自在に軌道を変えることが出来る。

敵機の射程内で上昇し、回り込む事で即座に後ろをとる事ができた。


「こちらは本命では無いようだな、部隊に厚みが無い……」


 直線軌道しか描けない戦闘機はセルドラルからすれば訓練用の的も同然であり、難なく対応する事が出来た。

空戦での敵機の撃墜は相手の死に直結し易い。今更そんな事を言うつもりも無いが、気分の良いものでもない。技量がついた反面、背負う責任と言う奴かも知れない。


 考えて見れば、この世界の戦い方にも慣れたものだ。魔法の扱いと機体の操縦イメージするという点が似ている事もあり、かなりの適応が出来た。格闘戦闘は苦手意識があったが、【ミラージュ・トレース】をものにして未来予知が可能となった事でアサヒのカウンター戦法をものに出来た。近接戦闘は既に得意の領域に入りつつある。

 そしてセルドラルの仕上がりも上々である……等々SGAや未確認の宇宙の勢力とも戦える状況になってきたかもしれない。


 そんな考えに浸っていると友軍からの援軍要請が入る。


「友軍の前線の予定防衛ラインまでの後退を確認」

「地上部隊が本命か?サガ、1番動きの良い奴を割り出せるか?」

「【ミラージュ・トレース】とのリンクで可能」



 空の編隊を退け、【ミラージュ・トレース】を発動する。


 敵軍の一機の機動兵器が押し込んできている……他の量産型とは形状が異なる機体だが明らかに動きが良い。


 友軍機に通信を入れると空域を離れ、地上部隊でも俺は動きの良い機体に向かった。


「関西軍の新型か?」

「タイプはカスタム機と推定」

「それなりのパイロットだろうな……奴抑える」


「飛行型だと?だが……蒼き雷ではないな」


 敵機の声が聞こえて来た為、俺も答える


「蒼き雷とやりたければ、まずは俺を倒すんだな」

「子供なのか」

「これ以上進ませる訳にはいかない、止まってもらう」

「何も知らない子供が、貴様らの悪行は私がここで絶って見せる」


 とても熱いパイロットらしい。機体は射撃を重視した中距離用仕様と言った所であろうか?


「我が名は浅井ナガトモ!参る」


 なんだと!これは古代に流行った名乗りと言う奴か。敵に対して自分の身分を示し、正々堂々と戦う姿勢を見せるとか見せないとか……

 だが……隙だらけである……


 容赦なくレーザーライフルを放つが敵機はレーザーソードで撃ち落とした。


「レーザーストライクか……やるな」


 飛び交うレーザーを切り落とす技術はレーザーストライクと呼ばれている。レーザーを撃ち落とす事は、レーザーソードの刀身を固定するフィールドを用いれば可能である。しかし、実弾よりも弾速の早いレーザーライフルを撃ち落とすには、相応の技量と反応速度が要求される。


「貴様、名乗りも挙げずに攻めてくるなど」

「そちらの道理に従う義理もない」

「許し難い、作法を忘れた戦などただの殺し合いではないか!大義が無いのか貴様には」


 俺はレーザーライフルを数発撃ち込むと両手にレーザーソードを構えて斬り込んだ。

 敵機もレーザーソードでこちらの攻撃を受け止めると間合いを離して、レーザーライフルで反撃をしてくる。まさかの2連式であったが、レーザーソードを二刀流で構えていた為、こちらもレーザーストライクでやり過ごす事が出来た。


「マシンガンでは無いようだが……」

「一撃ずつが通常のレーザーライフルと同等の威力を有している。レーザーシールド対策と推定」

「そうだろうな……サガ、シールドウィングをアンチレーザーフォーメーションで展開」

「了解」


 敵の武装は2連式のレーザーライフルとやや長めのレーザーソードを確認した。エネルギー消費の多そうな機体ではあるがここ迄押し込んでいて更にスミト大尉とやろうとしている所から推測すると

余程のアホなのか、それとも関西軍の機体のエネルギー効率及び最大量はこちらと比にならないものなのか……


 敵のレーザーライフルを展開した複数のシールドウィングがレーザーシールドを展開し防御したが、2連式の場合は干渉した部位からの貫通の危険がある。

だが1発をレーザーシールドで防ぎ貫通したレーザーを切り払えば、もう片手にライフルを構えて反撃が打ち込める。


 反撃で体勢を崩した敵機に間合いを詰める再チャンスが巡ってきた。

 ブーストで接近して行くと瞬時にロングタイプのレーザーソードが振られる。最小限で裁きながら、振られた腕ごと切り落とす。

 追撃を入れようとするが流石にそこまでのチャンスは貰えず間合いを離された。


「近距離戦は反応が遅い……やれるな」

「防衛ライン後退、友軍損害拡大」

「ここで足止めされている訳にもいかないか……」


 恒例の拡散レーザーライフルを敵の足元に打ち込むと上空に飛び上がりソニックトランスシステムを最大稼働させた。

 機体の熱量を音を介して電力に変換する独特の音が鳴り響く。


「ソニックトランスシステムのフルドライブスタート。システム臨界点まで60セコンド」

「一気に敵部隊を叩く。ミラージュ・バーストを使う」

「ミラージュ・バーストの効果計算……敵殲滅80%以上の予測」

「問題ないな、行くぞ」

「ミラージュ・バースト了解。【ミラージュ・トレース】とのコンタクト……完了。第1次マルチロック……完了」


 両手に構えたレーザーライフルとシールドウイングに付属する複数のレーザーガンでマルチロックした複数の敵を一斉に射撃する。

【ミラージュ・トレース】を用いたマルチロック、ソニックトランスシステムで出力を向上したレーザーガンならば、複数の敵を一撃で撃墜する出力を回す事が出来る。俺はその一連の攻撃をミラージュ・バーストとコマンド名を設定した。


「悪いが運良く脱出してくれよ、ミラージュ・バースト発動」


 照射と再マルチロックを繰り返し、次々と敵機を落として行く。

 それは関西軍からすれば地獄絵図とも言えるだろう。


「敵を前線部隊の9割の戦力を奪取」

「ソニックトランスカット、後は奴か……」


「なんと言う事だ……よくも……」

「可能な限りコクピット外してある、アンタらの巨大レーザー兵器の大量虐殺に比べたら良心的だろ?」

「我が軍のヤマト砲を引き合いに出すとは、ガンマ兵器を放つ貴様らに言われる筋合いはない」

「ガンマ兵器だと」


 その名の通り、ガンマ線を用いた兵器の環境影響は従来兵器の比ではなく人道的に考えて非難される傾向にある。



「圧倒的物量に乏しい関東軍が今日まで我が軍と競り合っているはガンマ兵器にて、なりふり構わぬ虐殺によるものではないか」

「サガ情報は?」

「関東軍の情報にはないが、SGAの情報網に関東軍のガンマ線兵器エクスカリバーの情報あり」

「ガンマ線が照射された領域は人が住めなくなるな……」

「我らが大儀果たす為、引くことは許されん」

「成程、アンタらが言う事も理解できた。確かにあれは地球では不要のものだな」


 だが、SGAが既に情報は掴んでおり、関西軍の巨大レーザー兵器は破壊して、謎のガンマ線兵器をSGAが破壊しないのは恐らく例の奴らとの戦いに必要だからであろう。

 同時に既に何らかの管理下に置かれていると推測される。


 ともあれ、この男は非常に面白い男である。是非生き残って貰いたいものだ。

 俺は機体を上空に羽ばたかせて離脱した。


「逃げるのか」

「エネルギーを使い尽くし、俺は自分の役割は達成した……離脱が定石」


 俺は、浅井と名乗ったパイロットを結果的には見逃した。


「高速接近する機影あり、SGA機動兵器、ZEROタイプと確認」


 ZEROタイプ、それはアヴュー・ウィンが乗る機体である。


「天城ユーゴだな」

「アヴュー・ウィン……あなたか」

「過剰な力を手にした様だな」

「それは元々持っているあなた達に言われても……」

「やはり子供だな……力の使い方を誤る可能性がある」


いや、実年齢は貴方より上であるのだが……今はそんな言い分は通らないだろう。


 アヴュー・ウィンのZEROは超高速の熱線ワイヤーで牽制するとそのままレーザーソードで斬りかかってきた。

 俺もソードで受け止めるが、十分に張り合える出力を得られていた。


「ソードのパワー負けは無い」

「この短期間で…一体お前は何者だ」

「ちょっと操縦の上手い高校生ですよ」


 鍔迫り合いを抜けて、中距離でのライフルの撃ち合いとなるが機動力面でも互角である。

 だが彼にはまだ、赤く機体が発光する謎のシステムがある。


 恐らく、あれを使われると機体性能差を垣間見る事になる。こちらは既にソニックトランスシステムは使用済みである為対抗手段はない。

 以前の戦闘での例のシステムは、1分以上持続していた事を確認している。既にこの点では劣っている。


 アヴュー・ウィンは機体の翼を広げると不思議な粒子を散布させながら飛行する。

 これはレーダーに対するジャミング効果を持つ粒子を散布している様だ。

【ミラージュ・トレース】の前ではジャミングは対して意味は成さない。だが、それは彼も理解している筈だ。


「遅い!」


 これはジャミングでは無い。本当に動きが一段と速くなった。

【ミラージュ・トレース】で見えたが、急な動きの変化で反応が追いつかなかった。

 バランスを崩し姿勢制御を失い落下寸前でバランスを建て直した。


「翼を広げた事でスピードは失うはずだが、逆に速くなるとは」

「散布した粒子で空気抵抗を減らし、更なる高機動を実現している模様」


 俺は追いついたと思っていたがこの半年間でSGAのレベルも上がっている様だ。俺達と戦っている世界が違う事も関係しているかもしれない。


 予想は越えられていたが

 俺はアヴュー・ウィンを退ける事が出来るのか


大分期間が空きましたが1話から読み返して誤字の荒らしを少しずつ修正しています。初めて読んだ時は問題ないと思うのに抜け落ちる間抜けさに我ながらあっぱれと思います。

今回は強くなったつもりのユーゴくんでしたが、相手はもっと強くなって居たという話でした。切り札を使ってしまったなか切り抜けるにはやはり魔法でしょうね。

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