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魔法は歴史上の産物となっていた件

 SGAに任意同行した俺は海中の敵軍の母艦へと案内された。海中とあっては迂闊に脱出する事も出来ない。


 輸送コンテナから降りるとあっさりと拘束は解除された。


「暴れ出すかも知れませんよ?」

「どうなるかも分からない様な子供なら初めから用はない」


 アヴュー・ウィンに着いて行くと1つの部屋に通された。そこには男が一人座っていた。


「ようこそ、我が艦へ。キャプテンのバダムス・ウィンだ」

「敵かも知れない相手に簡単に自己紹介して大丈夫ですか?」

「小さな括りでは我々は敵同士なのかも知れないが、もっと大きな括りでは、この星全ての人類は味方なのだ」

「大きな括り?」


 バダムス・ウィンはこの惑星に迫る危機について話し出した。


 これは元の世界でもあった話だ……確か何年か先に宇宙より、災いが飛来すると時の預言者と呼ばれる賢者が訴えていた事を記憶している。


「我々ははMOTとFOTを回収し来るべき大戦に備えるものである」

「MOTとFOT?」

「MOTとは発掘されしオーバーテクノロジーつまり過去の遺産だ。FLOとは敵となりうる宇宙から得たオーバーテクノロジーを指す」

「貴方達の圧倒的な機動兵器の性能は過去と未知なる敵からのオーバーテクノロジーを搭載した機体であると言う事ですか?」

「概ね間違いない。感のいい少年だ……ただ感がいいだけなら良いが……」


 確かに、別世界からやって来た俺はただの子供では無いだろう。


「さて、リリスや君のもつ未来を見通す力だが……君は何処で手に入れた?」

「詳細な記憶のない幼少期と思われます」

「成程、その力はMOTの一種で相当昔に流行った魔法と呼ばれる類のものだと思われる」

「昔?」

「詳細な記録は無いが、過去の人間は今で言う所の奇跡を人為的に起こす事が可能であったそうだ。未来を見たり、炎を自在に呼び出したり出来たらしい」

「そんな事が……」

「単刀直入に聞く……君は過去からの転移者か?」

「過去から……転移?」


 そこで俺は1つの仮説にたどり着いた。俺の魔法が科学的に再現されているのは、俺のいた世界こそが、この世界の相当の昔であり、俺は相当の未来に跳躍してしまったのではないか? と言う仮説である。


 その結果、俺達が使った魔法がMOTとされている。過去にマジックブースターと呼ばれた魔法補助装置が機械的に制御され、今の機動兵器に採用されている可能性が考えられる。


「流石に転移と言うのは冗談ではあるが、何かピンと来たようだな」

「いえ、記憶が曖昧で」

「だが何か引っかかるのであれば、私は人類の代表として頼みたい」

「自分にですか?」


 それはSGAに協力し、未知の敵と戦う同士となるという事だった。アヴュー・ウィンとは言っていることが違う。これは能力者の保護ではなく、利用では無いかと?


 だが、リリスも自分から協力している印象であった。人類の持てる全ての物を利用しなくては勝てない。そういう相手との戦いという事か?


 俺達を圧倒するSGAの機動兵器を持ってしても飛来する宇宙の全勢力と戦えば現状数時間で惨敗するらしい。質的には肩を並べて来たものの、数が違い過ぎるという事だ。

 その為、SGAは関東帝国と関西帝国の戦いに介入し、大量殺戮兵器の破壊やオーバーテクノロジーの保護、特異体質者を保護しながら両国を争わせ、武力強化をさせ、来るべき時に連合し飛来勢力と戦う為の準備をしているらしい。


「だが宇宙の敵とどう戦うのですか?」

「既に惑星間を移動出来る敵と近年やっと飛行戦闘を確立したこの星の文明では、宇宙空間戦闘では勝ち目はない。飛来した敵を地球圏内で仕留めるしかない」

「だいぶ後手の戦いになりますね」

「人類を宇宙に上げる段取りは間に合わなかったからな……」

 

 そう言うとバダムス・ウィンは、映像を映し出す。そこにはアヴュー・ウィンの機体とこの前の可変機に加え、その他の機体も合わせて6機の機動兵器で大気圏外から迫る謎の機体と交戦している映像だった。

 謎の敵の機動性はSGAの機体を凌駕しているが、数の利で勝利している。


「見てもらった通りだ。謎の飛来勢力は日増しにこちらに対して牽制を強めている……今は我々で対処出来ているがいつかは限界が来るだろう」

「その勢力の接近を迅速に察知する為に、リリスさんの力が必要と言うわけですね」

「そうだ」


 この男は恐らく嘘は言っていないが、この映像が合成のものと否定できる訳でもない。だが、そもそも俺を騙す理由も見当たらない為、どの様に今の状況を受け止めれば良いのか判断しかねた。


「バダムス……来ます」


 リリスと言葉を聞いて、俺も【フィールド・トレース】を広範囲に展開する。


 確かに宇宙から何かが迫ってくるのを俺も探知した。

 リリスは方向を伝えようとして倒れ込んだ。


「大丈夫ですか?」

「……」

「君には方向が分かるのか?」

「ここから南の海域ですね、そんなに遠くない……奴らの狙いは……」


【イーグルアイ】に魔法を切り替えると……奴らの狙いが海に接触する事である事が分かった。


「間違いではないかもしれんな、私達も奴らと交戦するのは決まって海上だからな。アヴュー、リクトとライルを連れて南の海域で待機、確認でき次第叩け」

「了解した」


 バダムスの命令で、アヴュー・ウィンは出撃準備に入る。


「彼女を運びながら話を続けよう」


 倒れたリリスを抱き上げでバダムスは歩き出す。恐らく医務室に運ぶのであろう。

 リリスはいつ飛来するか分からない敵に対して、ずっと力を使い続けているらしい。その限界を迎え、極秘裏に関東帝国の医療機関で治療を受けていた所をアヴュー・ウィンが迎えに来た所に俺たちは接触し今回の件に巻き込まれた様だ。

【フィールド・トレース】は並の魔法使いでも使える魔法だが広範囲にかけ続ける事は俺にも困難が伴う。この力を持つものを彼らが欲する理由は受身とならざるを得ない侵略者と戦う為らしい。


「戦いの先に勝利はあるのでしょうか?」

「和解の道が取れればそれが一番だろうな」

「言葉が通じれば?」

「言葉以上の相互理解が必要になるだろうな……だからこそ凄腕のパイロットではなく、敵の意思が分かる君の力が欲しい」


 俺を欲する理由は敵を倒す為ではないという事だろうか? だが人間は…言葉を交わせる相手でさえ交わることが難しい。果たして言葉の通じない相手と分かり合えるのだろうか?


「よく考えて答えをくれればいい。お近づきの印に君に渡したいものがある」


 リリスを休ませるとバダムス・ウィンは不思議な箱を取り出して俺に渡した。指示通りに触れると起動し、光を放った。俺の網膜を認証した様だった。


「ユーザー認証の為、名前を名乗って下さい」


 バダムスが首を縦に振ったことを確認し、俺は自分の名前を名乗る。


「天城・ユーゴ」

「名称変換完了、ユーザー、ユーゴ・アマギを認証」


「これからの連絡はこれで行う事とする」


 この箱はAI搭載型のディバイスでSGAとのコンタクトをとることができる媒体でらしい。また、SGAの技術などについても情報が搭載されており、俺がSGAの活動に対して協力的であるとAIが判断するとある程度の情報提供をシステムの判断で行ってくれるとの事だ。


 その後、色々と程度説明を受けた気もするが突然目の前が真っ暗になった。


 目が覚めるとアヴュー・ウィンに担がれて、スミト大尉に引き渡された。

 意識が朦朧とする中で、二人の会話が聞こえる。


「条約通り捕虜は開放した」

「あぁ、本人で間違いない様だ」

「関東帝国も学生に対して随分と過保護な対応だな」

「拉致したそちらの方が彼の価値に気づいているのではないか?」

「だったらさっさとこっちに引き渡せ」

「まだ早い、この子は戦闘は一流だが世界の事を知らなすぎる」


 俺の事を話している様にも感じるが、アヴュー・ウィンとスミト大尉の間に一体なんの関係があるのだろうか?

 そもそも「イーグルアイ」を発動している俺が何故倒れているのか?全く想像がつかない。


 再び意識が途絶え、次に気が付くと学園の医務室だった。


 そばにはアオイがいるようだってこの光景は見覚えがある。

 俺が目を覚ましたことに安堵したアオイは医師を呼び行った様だ。


 掛けられた衣服があったので手に取るとSGAでもらった箱が普通に入っている。検査などを受けてチェックをされなかったのであろうか?パッと見るとただの電子端末なのだが…気にしろよ軍の関係者達よ。


 だが、改めてあの一連の出来事が夢ではなかったことが裏付けられた。


 SGAは陰から宇宙と戦える部隊を作るために暗躍している部隊。その資金の流れや後方支援など疑問が多数残る所ではあるが説得力はあった。これから俺はどうするべきか……


 このまま関東帝国の特待生として新型機動兵器を開発し戦闘に身を投じるのか……

 SGAと協力して未知の敵と戦うのか…


 何か知らない方が幸せだったともとれる状況に追い込まれたが俺だが、行動を起こすまでに少しばかりの休養を取る事とした。


 アオイが戻ってきて、医師から簡単な診察を受けると俺は開放された。


 俺に抱き着いて離れないアオイ。そういえばアオイは無事戻ってこれたのか……もしかすると俺もアオイと同じ何かを打たれたのか……完全にAIが判断して俺に対して麻酔針を打った場合、イーグルアイでは察知できない。「ミラージュ・トレース」を用いて未来予測をしていれば回避できたかも知れないが十分に考えられる事だ。


 これからの戦いではミラージュ・トレースを常時発動することも視野に入れなくてはならない。魔法の修行もし直さなくてはならないな…


 しかし、泣きじゃくるアオイさんを見て……この子を守るためにやっぱり関東帝国に残っても良いかなっと思ってしまう若い体の俺であった。

今回は仕事が重なり投稿がかなり遅くなってしまいました。物語の方向性を決める大事なところの方向性を決めあぐねてました。(昔ゲーム化した時にはマルチエンディング仕様でったのでどのルートを選択するか悩んでました)と言いつつ決めきれなかったのですが…。また少し続きますのでお時間ありましたらお付き合いの程よろしくお願いします。

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