7月19日
読んでくださっている方
更新が不定期で申し訳ないです。
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いつものようにログインして転移クリスタルを使うと、領地は様変わりしていた。
丘の上には、城と呼ぶには不格好なレンガ造りの建物が立っており、その周りに高さ3mくらいの壁が迷路のように広がっていた。
とりあえず城へ向かって歩き出すこと1時間、まったくたどり着けない。
今自分がどこにいるのかさえも分からなくなってしまった。
なんとか壁の上に登り見渡してみると、壁を建築中のビルドベアを発見したので、壁伝いに近づき城に案内するように命令する。
さらに歩くこと20分、ようやく到着した。
城のドアを開けると、エントランスから2階に上がる大きな階段があり、途中から2股に分かれていた。その真ん中には5mくらいの自分のキャラクターにそっくりな像が立っていた。
像は精巧にできており、見ているとなんだか恥ずかしかったのでスルーして2階の部屋に入ると、かなり広く、奥の方が一段高くなっており玉座のようなものが置いてあった。
玉座に座ってみると石造りのためかゴツゴツしていて座り心地はよくなかったが、持っていた熊の毛皮をかけることでまずまずの座り心地を確保することができた。
ビルドベアたちを2階に集めてこれからの建築計画を立てていく。
迷路はこれ以上の拡張を止めるように伝えて、一つの入り口を残して迷路を囲むように円形状に壁を作り、それが終わったら入り口の前の通りを大通りとして左右に商店街のようにいろいろな建物を建てるように指示を出す。
次は各店の主人となるモンスターを作成しようとアイテムを出したところで、ガロンさんからフレンドチャットが入った。
「久しぶりだな、ちょっといいか?」
「どうしたんですか?」
情報交換がしたいと言うことだったので、直接会うため指定された場所へ向かうとガロンさんともう一人、エルフのような格好をした女性がいた。
「久しぶりですね。そちらの方は?」
「はじめまして、私はソフィアといいます。」
「おう、言ってなくて悪いな。
こいつも魔王の一人でな、あの後知り合ったんだ。」
こちらも自己紹介をして話の本題に入った。
どうやら2人とも≪魔王≫は5に上がったようで、領地をゲットしたらしい。
そこで現時点での情報交換をしたいとのことだった。
とりあえず各領地を回ってみようということで、ガロンさんの領地にやってきた。
どうやらプレイヤーごとに領地の地形や気候などが違うようで、荒野が広がっていた。
その中にある大きなクレーターの中心に楔を使用して闘技場のような仕様にしたらしく、モンスターが一匹中心近くでこちらを待ち構えていた。
ガロンさん曰く、今のスキルレベルではBクラスのモンスターを1匹出すのが限界のため、10種類の中からランダムでポップするそうだ。
ちなみにBクラスの強さは初級ダンジョンのボスクラスだそうで、素材もそのあたりのを使用しているそうだ。
試しに戦ってみるか?と言われたので挑んでみることにした。
モンスターの見た目はライオンのような体に、頭がワシと熊とトカゲの三つが横に並んでいて、名前はワクトキメラと言うそうだ。
頭の動物の頭文字をつなげたらしい。案外いい加減だ。
流石はボスクラスらしくプレッシャーが凄い。今すぐ逃げ出したいくらいだ。
まぁ折角なので、いつものように刀を鞘に納めて前傾姿勢で間合いを詰めるため駆けていくと、相手もこちらに気付き真ん中の熊が大きく雄たけびを上げた。
ビリビリと痺れるような感覚が全身を通り過ぎる。
時間にして1秒にも満たない間だったが、スタンしていたようで先手を譲ることになってしまった。
飛びかかってくるワクトキメラの前足から繰り出される致命的な攻撃をなんとか刀で受け流し、後ろへ飛ぶことで回避することに成功した。
再度間合いを詰めて切り付けてみるが、毛皮で刃が止まってしまう。
多少柔らかそうな腹などを狙わないとキツそうだが、そこまでのプレイヤースキルを持ち合わせていないので打撃武器にシフトした。
距離を取りヘビーメタルピックハンマーに持ち替えて【バインド】を唱える。
影から無数の触手が生えて捕らえていくが、ワクトキメラは腕力でもって触手を引きちぎっていくため、拘束時間がどんどん短くなっていく。
慌ててハンマーを構えて近寄り、熊の頭めがけて垂直に振り下ろし、更にアーツの【フルスイング】で横合いから思いっきり殴りつけると、丁度【バインド】の効果が切れたのか5mくらい飛んで仰向けに倒れた。
こちらが硬直で動けない間に相手も体勢を立て直す。
熊の頭はつぶれたようでHPも30%くらい減っている。
あと2つ潰せば勝てそうだと思ったが、甘かったようだ。
頭を潰されて怒ったワクトキメラは、先ほどよりも素早く動き回り、前足での攻撃に加えワシの口からは炎弾を吐いてくるし、トカゲのほうからは毒液を飛ばしてくる。
10秒もしないうちにボロボロにされたところでガロンさんとソフィアさんに助けられた。
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