7月18日
あれから数日、ダンジョンと鍛冶スペースを往復してスキルレベル上げに従事したことにより、ようやく≪魔王≫が5に上がったので、エルナさんのところへ向かう。
「お待ちしておりました。
案外時間がかかったんですね」
エルナさんは笑顔でそう言い放った。
おっ、いきなり嫌味か?
「それではこちらをお受け取りください」
そう言って紫色のクリスタルを渡された。
「これは?」
「そちらはあなたの領地へと転移するためのアイテムになります。
準備ができましたらお使いください」
さっそくクリスタルを使用すると、強烈な光に包まれた。
気がつくと、だだっ広い平原の真ん中にぽつんと小さな家があるフィールドにいた。
とりあえず家へ向かって歩く。
モンスターはいないようで、戦闘もなく到着した。
ドアを開けて中に入ると、宝箱と一冊の本が置いてあった。
まずは本を手に取り、読み始めた。
魔王指南書
ようこそいらっしゃいました。
このエリアは、魔王さまの領地となります。
建物を建てることも、モンスターを配置することも自由に行うことができます。
まずは手足となるモンスターを作り出す≪モンスター作成≫についてお教えいたします。
宝箱を開けて中のものを取り出してください。
ついに≪モンスター作成≫が解禁されるようだ。
ワクワクしながら宝箱を開ける。
魔王の楔
領地に魔王の魔力フィールドを定着させるための楔
モンスター作成装置
素材アイテムと魔王の魔力により、僕となるモンスターを作ることができる
本の続きには、手に取った2つのアイテムの詳細が記されていた。
≪モンスター作成装置≫
2つ以上の素材となるアイテム(モンスター素材・鉱石系など)を入れることで、外見と基礎能力を決定。
使用するMPに応じて得られるボーナスポイントによって、能力強化や≪スキル≫習得をすることができます。
モンスターには魔力コストというものがあり、各能力やスキルのレベルに割り当てられたコストなどの合計によって算出されます。
強いモンスターほど魔力コストは高くなり、能力の合計コストによってF〜SSの8段階に分類されます。
≪魔王の楔≫
楔を使用した場所を起点に魔力フィールドが広がり、作成したモンスターを発生させられるようになります。
魔力フィールドの広さは≪魔王≫スキルレベルに比例して広くなり、魔力濃度も濃くなります。
魔力濃度は楔との距離に比例して薄れていきますので、モンスターの魔力コストによっては発生できる場所や数などが限られます。
なお、≪魔王の楔≫はスキルレベル10ごとに一つ入手することができます。
一通りの説明を読み、楔を使うべく良さそうな場所を探すと、小高い丘を発見した。
丘の上に行くと見晴らしもよく気に入ったので、さっそく楔を使ってみると、楔を中心に紫色の魔力の波が広がっていった。
魔力フィールドの設置が完了したようなので、次は発生するモンスターを造ってみよう。
まずは建築スキルを持ったモンスターで魔王城を建てられないだろうか?
≪モンスター生成装置≫は、大きなガラス製の筒の前面に操作用のタッチパネルのモニターのようなものが付いている。
作成ボタンを押すと蓋が開いたので、持っていた熊の皮と鉄鉱石などを入れてみると、モニターに外見の選択画面が表示された。
熊の獣人のような外観を選択し、建築スキルを習得させるためにパネルを操作し、全MPを注ぎ込むと能力強化画面に切り替わった。
すべてのボーナスポイントで≪建築C≫を付けることができた。
スキルレベルもF〜SSで分類されるようで、Cというのは中級の後半くらいのようだ。
最後に名前を決めて、初めてのモンスター作成は終了した。
ビルドベア
HP:E MP:F ATK:E DEF:E INT:F SPD:F DEX:F
≪建築C≫
魔力コスト:D
スキルのコストが高いようで、ステータスの割に魔力コストが高くなってしまった。
発生数も設定できるようで、10匹に設定した。
現在の≪魔王≫スキルでは、魔力コストDのモンスターを発生させるのはこれが限界だったためだ。
ビルドベアを集めて丘の上に城を作るように指示を出すと、方々に散っていった。
しばらくすると、大量の土を抱えて帰ってきたビルドベアたちは、土をこねてレンガを作り出した。
モンスターたちはオートで動くようなので、今日はこのままログアウトしよう。
ヨウ
装備スキル
≪魔王5≫≪初級鍛冶47≫≪中級採掘5≫≪幸運35≫
控えスキル
≪初級革加工15≫
読んでいただいてありがとうございます
やっと魔王として動き出しました。
スキルの説明が難航してしまいました
上手い言い回しを思いついたら修正するかもです。