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妖狐、神楽坂文のコンサル譚10 【重慶幽鬼】  作者: 非常口どん八
第二章

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10/20

10 アインシュタインが『神はサイコロなんか振らねぇよ』とキレ散らかしたように……


 いっぽう、

「はぁ、」

 パク・ソユンが、いちど曖昧な相づちを入れながら、

「まあ、いいんじゃない? ちょうど、『重慶に行きたい』って話になってたし。私も、今週はヒマだし」

 と、意外なことを言った。

「うむ。そしたら、重慶に、調べにいこうか? みんな」

 カン・ロウンも、便乗して乗り気になると、

「へ――? そんな、急に、」

 と、ドン・ヨンファと、 

「おいおいっ! まった、そんな適当に決めやがって、」

 と、キム・テヤンのふたりは、突然の決定に困惑してみせた。

 それでも、

「いや、行こうよ。テヤン、ヨンファ」

「うん。行くぽよ」

 と、カン・ロウンとパク・ソユンは、もう行く気でいた。

「あぁ”?」

 キム・テヤンが、顔をしかめるも、

「ふむ。この、ウザいポーズしたふたり組は、おそらく、幽鬼から逃げているのだろう。なので、なるべく急いでヤツラを探しだし、接触したほうがよかろう」

 と、妖狐が言い、

「ええ……」

 と、カン・ロウンが、うなづいた。

 そのまま、カン・ロウンはSPY探偵団の三人のほうを見て、

「これで、重慶に行くのは、確定でいいか? みんな」

「ぽよ」

「ま、あ……」

 と、パク・ソユンと、しぶしぶドン・ヨンファはうなづいた。

「けっ、」

 キム・テヤンだけは、舌打ちだったが。


 とりあえず、そんなこんなで、重慶行きは確定した。

 火鍋は食べ終えており、冷たいスイーツに、キンキンに冷えた酒を飲みながらも、妖狐も、まだ屋台の席に腰かけていた。

「ところ、で……? こんな、事件を調べたり……、まあ、いろいろと協力してもらっているんだけど……」

 と、ドン・ヨンファは、妖狐に、何かを聞こうとする。

「う、ん?」

 妖狐が、スイーツを手にしたまま、反応する。

 ひと呼吸おいて、


「――そのぉ……、そっちの目的っては……、何か、あるのかい?」


 と、ドン・ヨンファは、質問をしてみた。

 一見すると、協力してもらったこちら側はありがたいが、妖狐に対してのメリットは何なのか、気になった。

「ふ、む……?」

 妖狐が、考える仕草をしながら、

「まあ、我が異世界――、何というか、“こっちの宇宙”を含めて、数多ある世界というのを、“設計”しててな――」

 と、“世界の設計”などという、すこし中二病くさい言葉に、

「……」

 カン・ロウンは、沈黙したまま、

「は――?」

 と、ドン・ヨンファは、ポカンとし、

「あ、ぁ”……?」

 と、キム・テヤンは、やはり顔をしかめた。

「ぽよ」

 パク・ソユンは、相変わらず『ぽよ』で反応しながらも、

「何、それ? 何か、創造主――的な、感じ?」

「うん。そんな感じ」

 と、妖狐がうなづくと、

「いや、また相変わらず、軽いノリだな」

 と、ドン・ヨンファが、すこし呆気に取られた顔をした。

 妖狐が続けるに、

「まあ、我々が作った世界というのは、アインシュタインが『神はサイコロなんか振らねぇよ』とキレ散らかしたように……、どれも、確率じかけで、できていてな――」

「……」

「……」

 と、SPY探偵団の四人は、沈黙したまま耳を傾け、

「――それで、我々というのは……、創った世界で、賭け事をして……、遊んでいるともいえる」

「……」

「……」

 と、また沈黙をはさみ、

「まあ、こっちの――、脆弱な確率じかけの世界でいえば……、貴様たちの――、人間の、世界の行く末を、な――」

 と、妖狐はグラスを手にしながら、意味深な顔で言い終えた。

 ドン・ヨンファも、グラスを手にして、

「それは、玩具(おもちゃ)にしてる――って、感じ、かい?」

 と、聞いた。

 ほかの三人が、

「……」

「……」

「……」

 と、沈黙する。

 その、沈黙を破って、


「――ま、あ……? そう、とも言える……」


 と、妖狐は、すこし考えるようにしながらも、答えるさまは、やはり意味深そうだった。

 まだ、グラスを手にしたまま、

「それで……、その、脆弱な世界の行く末に、な――。創造主である我々を、殺しうる存在というのが現れるのか――」

「……」

「……」

 また沈黙をはさみ、妖狐のターンになり、

「まあ、ワンチャン……、“それ”というのが、“人間”、なのかもしれないが――」

 と、言った。

「……」

「……」

「……」

 カン・ロウンとキム・テヤン、ドン・ヨンファの三人が沈黙し、

「……」

 と、言った本人の妖狐も、沈黙した。

 両者ともに、


 …………


 と、対峙するように、沈黙をはさんでいたところ、


「ぽよ」


 と、やはり、パク・ソユンだけは『ぽよ』と言った。

「……」

「……」

「……」

 三人が沈黙したまま、パク・ソユンのほうを見て、

「……」

 と、妖狐も同様に、ジッ……とした表情で、パク・ソユンを見た。


(((ああ、もう……、ほんと? 何? こいつの、『ぽよ』って、)))


 と、締まりのないパク・ソユンの『ぽよ』に、皆はつっこみたかった。

 こうして、SPY探偵団の四人だが、重慶に行くことになった。

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