剣の試練とコンプレックスについて
そこは真っ暗な空間だった。
自分が眠りについているのが理解できている・・・ならばやはりココは夢の中なのだろう。
明晰夢というものがある。
「ああ、これは夢なんだな・・・」
と寝ながらにして分かっている夢のことである。
でも何でいきなりこんな夢を見ているのだろう・・・?
俺は明晰夢なんてほとんど見た事はない。
なのに何故?
その答えはすぐに知れた。
目の前に突如として黒い光が現れたから。
その光からはあの気配がした。
アゾットから感じていたあの禍々しい気配が。
徐々に形を変えていく光はとうとうその姿を現し、俺を戦慄させた。
蝙蝠の様な翼と、天使の如き翼を持つマッチョな羊の獣人らしき姿。
愛らしさは全くないのにそんな姿で現れた。
「貴様が新たな我等の所有者か・・・?」
頭に直接響いてくる声にやはり鳥肌が止まらない。
こいつが剣から感じていた気配の持ち主か・・・。
そいつは言った・・・俺が自分を振るうに相応しい者かを試練によって判断すると。
不合格ならばアゾットはどうなるのかと尋ねてみれば、どうにもならないとの答えが返ってきた。
じゃあ試練の意味が無いような・・・。
その疑問の答えもすぐに返ってくるのだが。
どうやらアゾットとは試練を受けなければ最低クラスの力しか発揮できない上に、振るうたびに魂の力とも言えるウィルとやらを削り取るらしい。
最低ランクの威力であれだけ切れ味鋭いのか・・・。
俺は試練を受け入れる事にした。
だってそうだろう?
俺は弱い・・・他の皆は戦えるチカラを手に入れているのに、俺だけがそうではない。
是が非にでもチカラは必要になる。
きっとこれからはアゾットですら威力が足りなくなるに違いない。
ならば試練を乗り越えてチカラを発揮するのは生き残る大前提になるだろう。
試練の内容は一体どんな物なんだ。
「簡単であろう。それは・・・」
告げられた試練は俺には最悪な内容・・・。
それは、俺自身の暗部を打ち倒せというものだった。
俺の暗部・・・それは言うまでもなく、力ない事が全てのコンプレックスだ。
それを打ち倒すということは、即ち何らかのチカラを得る事になるはずだ。
それって所謂『コロンブスの卵』ってヤツじゃないのか?
卵が先か鶏が先か・・・チカラを得るのが先か打倒が先か・・・。
ちょっと違うか?
!!
始まりやがった!
まるで影のような外見をした俺がアゾットを逆手に走り寄って来る。
まるでじゃないか・・・俺自身の暗部なんだからな。
だが、舐めてもらっちゃ困る。
・・・伊達に魔物達と戦い抜いて来てないんだぞ!!
後ろに少し下がってやり過ごして反撃しようと考えていると、アゾットが輝いた。
ん?伸びてる??
直後、俺の視界は真っ黒に染まった・・・。
唐突に目覚めてしまった。
あれ?試練は・・・?
・・・まさか負けた?
マジかよおい、躱し切れてなかったのか!?
一瞬アゾットが光って・・・そうだ、伸びたんだ。
刀身が伸びれば射程も変わって来る。
そういう可能性を考慮に入れずに動いた俺が間違ってたのか・・・。
でも普通思わないだろう、短剣が伸びるとか!
だが、実際俺は負けた。
挑戦権がこれで無くなるのかは分からないが、それが事実だ。
第一回目の試練。
俺は何も出来ないままに敗北した。
投稿が遅くて申し訳ありませぬ。
ネット回線が安定せず・・・。
ぐぬぬ・・・




