個人的な能力と少女について
ダンタリオンが去ってから30分程が経った。
俺は奴との会話を整理する為に考え込み、少女はダンタリオンの気配のせいで疲れ果てたのかグッタリしており、彼女は生物兵器を連れて化け物達の動向を探っている。
俺が気にしているのはあのプート・サタナキアが・・・連合国家クラスでなければ手も足も出なかったあの魔神が単なる劣化コピーでしかないという、衝撃的な言葉だ。
それが本当ならあそこにいるのは正真正銘の化け物だ。
勝ち目なんてカケラもありはしない。
でもそうなると気になることが一つ出てくる。
アレは傷ついていた。
誰がアレを傷つけて一時的にとはいえ退けた?
アチラで見たサタナキアは勇者や各国の聖騎士が力を合わせてどうにかかすり傷を負わせるといった怪物ぶりだった。
更に攻城兵器や複数の大魔道師の合成魔法をそれこそ地形が変わるくらいにぶち込んで、その上で多大な犠牲を払って追い返したぐらいだ。
それよりも圧倒的に強いはずのサタナキアにダメージを負わせるなんて、想像もできない。
どんな強大な人物による戦闘だったというのか・・・。
この疑問は少女から聞いた話で氷解したが、その話を聞いて俺は更なる衝撃を受けることになる。
それはまた後で述べることにする。
彼女が帰って来たからな。
どうやら化け物連中は西へ引き上げていったらしい。
何かを探しているようだったらしいが、探し物は見つからなかったらしく周囲に八つ当たりしながらの引き上げだったようだ。
あんなのが探し物にくるとはついてない町だとしか言えないな。
とりあえず、俺たちがここで生き残っていくには各々の能力を完全に把握し、強化を行う必要があるのではないかと提案してみる。
あんなのが平然とうろついている大陸で無防備に移動なんて自殺行為以外の何物でもあるまい。
全員が賛成してくれたので次の議題だが、如何にして強化を行うのかが問題になる。
能力の把握すら未だ終わっていないのに気の早いことだが、仕方ない。
今まで黙っていた少女が強化方法について発言してきたので、聞いてみると面白い事が判明した。
曰く、野生動物や魔物を殺害することで誰であっても身体能力の向上が期待できるとのことだ。
判然としない理屈だが、殺した相手の生きてきた証を取り込めるが故に能力が上がるらしい。
多分、相手の保有していた魔素を奪うという事なのだろうが、それだとアチラでのレベルアップ方法とも矛盾しない。
ここがアチラと大元を同じくする世界だとしたら尚更の話だと思う。
後は、客観的に能力を評価する方法があれば楽なんだが、スキャンポテンシャルみたいな能力が無いものか・・・。
スキャンポテンシャル(以後SPと表記する)とはそのまま、相手の大よその能力を数値として教えてくれる魔法だ。
自分よりも格上の相手の解析はほぼ出来ないが、その場合でもある程度の情報は得られるのでアチラの冒険者や騎士の必須スキルと言える。
もちろん農夫である俺は習得していないが・・・。
それを話すと、誰も出来ないことが判明した。
ただし、少し南下した所にある神殿跡地には同じような効果のある石版があるらしい。
俺たちの目的地はそこに決まったな。




