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【第4話】オリンポス山強行軍と、魔改造プラズマ重機

「ガッハッハ! 見ろよ凪、こいつが俺の最高傑作『スサノオ・ドリル』だ!」

赤道ドームの格納庫で、須佐さんが巨大な掘削重機のレバーを叩いた。

WEAから支給された旧式の地殻調査用重機は、須佐さんの手によって、原型を留めないほど無骨で凶悪な姿に変貌していた。

先端に取り付けられた超大型の超硬質ドリルからは、バチバチと青白い電磁プラズマが火花を散らしている。大学時代に彼が没頭していた「電磁波プラズマ爆発」の理論を組み込み、岩盤を文字通り『分子レベルで融解させて穿孔する』ための魔改造マシンだ。

「凄い……。これならオリンポス山の強固な玄武岩の地殻も、数日でマグマ溜まりまで到達できるよ」

奈美が分厚い丸メガネを指で押し上げながら、感嘆の声を漏らす。

『クエスト更新:惑星の心臓を穿て』

『目標:オリンポス山カルデラ直下の臨界圧力ポイントへ到達せよ』

『残り時間:120時間』

『現在の火星開拓率:0.15%』

脳内に響くシステム音。タイムリミットは刻一刻と迫っている。

俺たちギルド『マーズ・フロンティア』のメンバーは、魔改造重機に乗り込み、太陽系最大の火山オリンポス山へと強行軍を開始した。

火星の地表は過酷そのものだ。時速数百キロに達する猛烈な砂嵐(ダストデビル)が容赦なく重機の装甲を叩き、強烈な宇宙放射線が容赦なく防護服の限界を試してくる。

だが、俺の脳内にある『開拓ツール』の未来予測シミュレーションが、砂嵐の薄いスポットと、最も地殻が薄い最短ルートを正確に弾き出していた。

「須佐さん、左前方から巨大な突風が来る! 右へ回頭してクレーターの影に滑り込んでくれ!」

「おうよ! 凪のナビなら、目をつぶってでも突っ込めるぜ!」

重戦車のような重機が、赤い砂を巻き上げながら猛スピードで激走する。

3日間の不眠不休の行軍の果て、俺たちの目の前に、天を突き刺すような巨大な黒い壁が現れた。高さ2万2000メートル。直径600キロ。かつて火星のすべてを支配していた神の山、オリンポス山だ。

「よし、到着だ。……奈美、キノコの仕込みはいいか?」

俺が振り返ると、奈美は緊張で青ざめた顔をしながらも、力強く頷いた。

「うん……! 炭疽菌の『芽胞コード』とメラニン盾を組み込んだハイブリッド・カーボンキノコの胞子、重機の散布タンクに満タンに入ってる。爆発の熱風が起きた瞬間、火星の全土へ自動で噴射されるようにプログラムしたよ」

「がっはっは! 役者は揃ったな! 行くぞお前ら、火星のドテっ腹に風穴を開けてやる!」

須佐さんが咆哮し、スサノオ・ドリルのプラズマが最大出力で輝いた。重機はオリンポス山のカルデラ中心部へと突き進み、死せる惑星の深層へと、その凶悪な牙を突き立てた。

(第5話へ続く)

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