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『異世界』漫画の設定

「私が興味深いと思った設定は、魔力が存在しない世界の話、でしょうか。

 そうなれば当然、魔法や魔術も存在しませんよね。

 となると、動力といえば風力や水力に頼ると思いますよね?

 でも違うんです。そこに火力や電力という、ちょっと私には理解できない動力まであるんです。

 とても信じられない話ですが、漫画の話ですもんね。

 それはそれでありだと思います」

 それ、オレの世界の話……

 でもオレも電気という存在はわかるけど、どうやって電力でいろんなものを動かしているのか? という原理は知らない。

 昔、理科の実験かなにかでやったような気もするけど、思い出せないなぁ。

 そういえば、異世界に関する話だけは絶対にダメ、とアイリにも釘をさされているから、共感したら怪しいだろうか?

 でも今トオリさんが話しているのは、あくまでも漫画の話だし。

 ま、いいかな。適当に相槌打っておけば、バレたりしないだろ。

「しかも魔物が存在しないので、私たちのような討伐協会職員という職業もありません。

 それはそれで平和でいいかもしれませんが、私たち協会職員は別の仕事を探さなくてはいけませんね。

 私は、心眼さえ取り戻せば『裏の組織』なんて場所で働けるかもしれませんが。

 魔力がない世界でも、物騒な『裏の世界』はあるんですよね」

 それはそうかもしれないし、ヤの付く職業とか、今では闇バイトなんてものもあるし。

「討伐協会に近い職業は、強いて言うなら猟師でしょうか。

 しかし使っている魔術……いえ、武器は猟銃といって、例えるなら物理型魔力弾のようなものですね。

 でも決定的に違うのは、弾丸の中に魔法が装填されておらず、猟銃側で爆発を起こして弾丸を発射させることです。

 それによって弾丸は驚異的な威力を持ち、魔物……害獣を討伐するという。

 発想としてはとても面白いと思いますが、ただの物理弾で仕留められるものなのでしょうか?

 魔物相手にただの物理弾では、皮膚に傷をつける程度ですし、ある程度の魔力防御が使えるなら人間でも防げます。

 絶好調時代の私なら、指二本でもつかみ取れる程度でしかありませんし」

 ……この人、怖すぎなんだけど……

 つまり、普通の拳銃ではトオリさんは仕留められないってことか……

「漫画の設定に突っ込むのもなんですが、これにはもっとリアリティがあってもよかったかもしれませんね」

 普通に仕留められるんです。しかも人間が持つ武器としてはとても強いです。

 というか、この世界の魔物……だけじゃなくて、魔力が扱える人間にも普通の拳銃が通用しないってこと?

 オレにとっては、そっちのほうが震え上がる事実なんだが……

「医療に関しても、小さな傷程度ならあまり手間は変わらないかもしれませんが、大きな怪我だとだいぶ時間も変わってきますね」

 それは興味ある。

 魔物の話を聞いて余計に思うけど、万が一、日本では医者にさじ投げられる瀕死の重傷を負っても、この世界では助かるのだろうか?

「医療魔術がない世界では欠損した場合の手術は、場合にもよりますが数時間以上かかる大手術だそうです。

 だから漫画にした時もドラマになりやすく、医療系の漫画は意外と多いんですよね」

「このせ……」

 危ない……この世界、なんて言ったらアウトだ。

「ええと、討伐協会がお世話になる医者だと、そんなに時間はかからないんですか?」

 これは結構重要だ。

 怪我しないことが一番だが、万が一のこともある。痛みなく、すっと治してくれるのが一番いいに決まっている。

「そういえばコウキさんはまだ入ったばかりでしたね。

 普通の病院にはかかったことはないんですか?」

「擦り傷切り傷や風邪なんかはありますが、基本的には健康が取り柄で、病院には行ったことないんです」

 これは本当の話。

 詩音のおかげか、詩音のせいなのか。体は頑丈でたまに風邪をひく程度。

 その度に詩音のとんでも治療を受けることになるが、不思議と回復は早い。

 あとはお嬢様たちのおつかいで焦りすぎて、ずっこけて打撲を負うぐらい。


 痛いの痛いのとんでいけー、とかやられるけど、あんたのお使いのせいで転んだんだが!?

「そうですか。討伐員は危険な仕事もありますから、もしかすると今後はお世話になるかもしれませんね」

「……ならないよう気をつけたいです……」

 アイリも回復魔法は使えないらしいから、結果的に自分担当の歴代勇者を葬ってしまったようだし。

 アイリと行動してたら、マジで死ぬときは死ぬ。

「でも安心してください……とまでは言えませんが、運良くミハラさんが治療してくれることになったら、例え腕の一本失ってもすぐに治療して元どおりですよ」

「あの人、そんなにすごい人なんですか!?」

 仕事はできるんだけど常に気怠そうな印象だし、そもそも治療に携わるとは思ってもみなかった。

「ふふ。確かにただ単に事務的に仕事をこなしているように見えますけど、治療分野ではスペシャリストですよ。

 なぜこの地方協会に配属されているのか、不思議に思うレベルです」

「もしかして、本部だとこき使われるのが嫌だから、とか?」

「かもしれませんね」

 割と本気で言ったが、トオリさんは笑顔で同意してくれる。

 でもそれこそ漫画の設定だよな。

 タイトルをつけるなら『落ちこぼれと判断された私。実は超有能な治癒術師。大怪我したから戻ってきてほしいと言われても、もう遅いわ』かな?

「そ、それで……腕の一本にかかる時間って?」

 これが大事。

 でもオレみたいな一般人が腕の一本ぶっ飛ばされたら、ショック死してしまうかもだけど。

 生きてて治してくれるならありがたい。

「綺麗な切断だと5、6分。魔物に噛みちぎられたような傷跡だと2、30分って言ってましたね」

「マジスカ!?」

「マジですよ。粉々になっても、残ってさえいれば時間をかけて縫合できるらしいです。

 さすがにその状況は見たことはありませんが」

「……すげぇ……」

 これはさすがに魔法のある世界なだけはある。

 どういう技術かは想像できないが、ゲームでいうところの、全回復魔法ってところなんだろうな。

 というかミハラさん、マジチートでマジで漫画の主人公だよ。能力が強すぎる。

「そんな医療を見ているから、魔力が存在しない世界の医療はあまりにも遠い話なんですよね。

 まぁあくまでも漫画ですから、仕方ありませんけど。

 かつて私が怪我をさせた討伐員も、次の日には元気に立ち向かってくるのが普通ですし」

 ……漫画談義で忘れそうになったけど、トオリさんって討伐協会と対立してた人だったっけ……

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