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42話「決勝前夜」

SCARLET42:決勝前夜


・夜になった。

「・・・ふう、」

「いやあ、痛かった。」

何とか数時間で回復した俺と久遠。

ちょうど部屋には赤羽が会場から戻ってきた。

「赤羽、どうだった?」

「はい。何とか勝利しました。

そしてこれが明日のベスト8の決勝トーナメントです。」

赤羽が撮影した映像をスクリーンに拡大して表示する。

第一試合:甲斐廉VS馬場雷龍寺、

第二試合:佐久間清隆VS伊藤野治

第三試合:赤羽美咲VS白夜カズマ

第四試合:栗見ライラVS伊王野十海

となっていた。

「・・・いきなり馬場雷龍寺とか。

・・・いやそれよりも赤羽の相手は・・・」

「・・・はい。マスターホワイトです。」

「・・・気をつけろよ。あいつは普通じゃない。

危なくなったら棄権するんだ。レベルが違い過ぎる。」

「・・・でもやれるだけのことはやってみるつもりです。」

「・・・そう言えば遠山との最初の試合の時や

久遠との試合の時も俺は君に棄権を勧めていたな。

結局どっちの勝負にも負けていたがそれでもいい勝負にはなっていた。

・・・分かった。ならば俺もその時と同じようにこれ以上何も言わない。

自分が納得できる試合をしてくるんだ。

・・・そして、もしも二人揃って勝ち進むことが出来たなら

その時は決勝で会おう。」

「・・・はい。」

「いい試合並びになってるよね。」

「久遠、どっちを応援してくれるんだ?」

「そんなの死神さんに決まってるじゃん。

うちのバカ兄貴に痛い目を味わわせてやってよ。

あの自信過剰でデリカシーのないバカ兄貴にさ。」

「・・・出来たらな。」

実際俺と奴の実力差は明白。

何も縛りのない通常の試合で勝てる見込みは薄い。

・・・どこまでやれるかだな。

「でも廉君も赤羽ちゃんももし戦う事になっても

あまり仲間内で怪我させ合いさせないでね。

さっきの久遠ちゃんとの試合でも僕なんか心臓止まりそうになったもん。」

「・・・あれはああしないと久遠には勝てなかったから。」

「触れずに殴るなんてよく分からない

フィクション攻撃しておいてよく言うよ。

私の方が真っ先に死神さんの両手封じないと勝負にならなかったよ。

って言うか足でも青龍打ててせっかく久遠ちゃんが白虎を破るために

考えてものにした新技をいきなり破るなんて。

もしかしたら死神さんに逆転勝利出来るかもって思ったのに。」

「・・・弱点を全力でつけたとしてもこの道に入って

1年も経っていない小学生が俺を

あそこまで追い詰められる方がおかしい。」

「でもライ君はもっと強いよ。」

「・・・分かってるさ。」

・・・そう言えばあいつから無用な怒りを買っていたような気がする。

・・・情けないがそこを突けばもしかしたら・・・。

「さあ、今日の晩御飯はすき焼きだよ。

あ、久遠ちゃんの分まで用意しちゃったけど大丈夫かな?」

「全然大丈夫だよ。久遠ちゃんはもうここの子なんだから。」

十二分に食っていく気マンマンのようだな。

まあ、今更どうこう言うつもりはないが。

「死神さんは去年のカルビ大会には参加したの?」

「いや、俺は年末から始まる実戦の世界大会に参加するつもりだったから

去年のカルビには参加しなかった。」

「世界大会?」

「ああ。テレビで年末とかにやってるだろ?」

「え!?あれに死神さん出てたの!?」

「まあな。」

「・・・今年は出ないのですか?」

「ああ。まだ完全に調子が戻ったわけじゃないし

参加受付が9月までだったからな、俺はその時まだ治ってすぐだったし。」

「僕もテレビで見たよ。それまでは実際に見に行ってたんだけどね。」

「・・・死神さんいつから空手やり始めたの?」

「ちょうど10年くらい前だな。

キーちゃんや希亜ちゃん・・・

キーちゃんのお姉さんとこの街で暮らし始めてからだ。」

「・・・お姉さんは本名出してもいいんだね。」

「まあ、もういないからね。」

キーちゃんが代わりに答えてくれた。

あまりこのことは俺の口からは言わない方がいいと思うが・・・。

「ねえ!もっとふたりのこと教えてよ。」

「久遠、少し失礼ですよ。」

「えっと、僕は気にしないよ?」

「・・・キーちゃんが言うなら・・・」

「じゃあさ!キーちゃんって結局何歳なの?」

「それはNG。」

「いきなりNG!?」

「・・・お前がそんなこと聞くからだろう。」

「えぇ~!?だってあまり死神さんとは変わらないよね?」

「まあ、それは本当だね。とりあえず君達よりは年上かな。」

「学校は行かなかったの?」

「小学校と中学校は行ってたよ。高校には行かなかったけど。」

「・・・ふぅん。じゃあさ!出産予定日は!?」

すぐさま疾風の拳で久遠の頭を小突いた。

「な、何するの!?」

「小学生がそんな事を言うんじゃない。」

「だってしてるでしょ!?絶対死神さんと!夜な夜な!!ここで!!!」

「青龍ゲンコツ・朱雀ゲンコツ・白虎ゲンコツ・玄武ゲンコツ」

「いだっ!いだっ!!ちょっ!あ、がふっ!!」

「・・・甲斐さん、少しやりすぎでは?」

「それ以外の方法でこの耳年増を黙らせるには俺はまだ未熟すぎる。」

「廉君も久遠ちゃんもそろそろご飯なんだからおとなしくしてね。

あ、それと久遠ちゃん。来月だから。」

「・・・・へ?来月?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええええ!?

本当にしちゃってたの!?」

「ま、まあ恋人同士で年頃で親公認なわけだから・・・」

「ちょ、ちょっと待って妊娠でしょ!?

キーちゃんそんなことしてて大丈夫なの!?」

「ここのマシンで体調整えてるから大丈夫だよ。

僕ご自慢のスタイルも崩れる心配はないし。

あ、でもちょっとおっぱい大きくなったかも。」

「・・・・・・・・・・・」

こういう話をされると非常に困るのだが・・・。

「・・・時期を計算するとちょうどキーさんが帰ってきたあたりですね。」

「赤羽も冷静に計算しないでくれ。」

「ねえねえ!産まれたら赤ちゃん抱かせてよ!

私末っ子だからさ!身近な人の赤ちゃん見たことないんだ!」

「うん、いいよ。」

「よ~し、久遠ちゃん頑張っちゃうもんね!」

「久遠はもう負けたじゃないですか。明日は試合ありませんよ?」

「そ、それはそうだけど・・・。

って言うか久遠ちゃん無敗伝説が・・・」

「・・・落ち込んだりはしゃいだり忙しい奴だな。」

「でも廉君はそんな久遠ちゃんが好きなんでしょ?」

「えっと、キーちゃんまだ怒ってますですか・・・?」

「えへへへ、死神さん。久遠ちゃんとも子作りする?」

「出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「だから二人共、そろそろ御飯だってば・・・」

それから明日に響かない程度に遅くまで騒いだ結果

久遠も赤羽もここに泊まっていくことになった。

・・・もちろん子作りなんてしていないが。

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