第2話 新たな出会いと少しだけ変わる日常
ミコト「どうした?あの子でも気になるのか?。」
コウ「いやなんとなく見ただけだ。ただ絵になるなとはおもったけど。」
とそんな事を口にしながらまた前に向き直り、歩を進めた。
二人は高校の校門をくぐり、玄関横に学生がクラス分けされた掲示板に集まっていたのをかき分けて自分がどのクラスか名前を探していると後ろから声をかけられた。
?「すみません掲示板がよく見えないので前にいかせていただけませんか?。」
コウ「んっ?ああどうぞ。」
そう言いながらミコトと自分の間を通れるように道を開けた。
?「ありがとうございます。ほらアカネ前に行こう。」
アカネ「カナちゃんちょっと待って!あっありがとうございます。同じ1年みたいですね!もし同じクラスならよろしくお願いします。」
コウ「あぁその時はよろしく。さてミコト、俺達はBクラスみたいだから行くか。」
ミコト「なんだBクラスか。んじゃあ行くべ。」
そんな会話を前にいたアカネは聞こえていた。
そしてアカネは歩きだそうとしていた二人に声をかけた。
アカネ「あっあの待ってください。」
コウ、ミコト「なんだ?」
アカネ「一緒のクラスみたいなんで一緒に行きませんか?。」
コウは少し考える素振りをみせミコトと目を合わせる。
ミコト「どっちでも良いよ。」
コウ「そう。んじゃあ一緒に行こうか。」
アカネ「ありがとう。」
4人は人をかき分け下駄箱に向かった。
アカネ「ふぅまずは自己紹介ね。私は赤田茜音。んでこっちは志田香苗ちゃん。カナちゃんって呼んでね!」
カナエ「初めましてよろしくお願いします。そしてカナちゃんとは呼ばないで!なんか恥ずかしいから。」
コウ「あぁよろしく。俺は中村公康。そして横のこいつは脳筋バカって名前だ。」
ミコト「脳筋バカは名前じゃない。松内命だ。よろしく。」
コウ「なに!?バカは名前じゃなかったのか!!」
ミコト「いやなにびっくりしてるんだよ!とりあえずコウ…えーと志田さん赤田さんクラスに行こうや。」
アカネ「コウ…?きみやすって名前じゃないの?」
コウ「それは…」
コウが説明しようとしたときミコトが割り込み説明を始めた。
ミコト「公康って漢字だと公園の公に健康の康でどっちもコウって言うからそのまんまコウって呼んでる。ちなみに俺が付けた!」
コウ「っとまぁそんな感じで呼ばれてるから二人も好きに呼んで良いよ。」
アカネ「なるほど。そういうことでコウって呼ばれてるんだ。」
コウ「まぁこいつとは中学から一緒でいきなりコウって呼んできて最初は意味が分からなかったけどな。」
カナエ「二人って面白いね。なんだかんだで楽しい1年になりそうね。」
アカネ「カナちゃんもそう思う?私も楽しい1年になりそうって思ってた。」
4人で自己紹介と雑談をしながら歩いているとクラスにいつの間にか着いていた。
4人はそのままクラスに入り、黒板に貼られた席をみたら席はあるのに名前がなかった。
コウ「名前がないぞ?」
カナエ「なんかクジ引いて席に着くみたい。ここに書かれてるよ。」
3人はカナエの指差す方へ目を向ける。
ミコト「なになに?席はクジで決めてください。最前列は勇者と呼び、最後尾は愚者と呼ばせて頂きます。最前列の勇者はドンマイ!先生のオススメは最後尾の窓際か廊下側。何故なら先生がそこで寝たいから!。だとよ。」
コウ「なかなか面白そうな先生だな。」
アカネ「とりあえずクジを引こうよ。誰が勇者になるんだろうね。(笑)」
そう言い4人は順番にクジを引いた。
ミコト「あっ俺ラッキー7だ。」
コウ「俺は5番だ。紙に書かれた席の番号は随分ランダムだな。えーと後ろから二番目の窓際か。ってかミコトは最前列の窓際から二列目か!勇者の称号おめでとう。」
ミコト「ありがとう。俺は勇者として頑張る!。」
カナエ「私はコウ君の後ろだ!やったぁ寝れる。アカネはどこになったの?。」
アカネ「私はコウ君の斜め前だよ。良かった勇者列じゃなくって!。」
カナエ「勇者列って!!(笑)」
みんなで席の確認をしたあとそれぞれ席に着いた。
カナエ「コウ君、改めてよろしくね。」
コウ「あぁよろしく。アカネもよろしくな。」
アカネ「よろしく。ミコト君だけ遠くなっちゃったね。(笑)カナちゃんまた勉強でわかんない所は後で教えてね。」
カナエ「良いよ。横だったらすぐ教えれたのにね(笑)」
コウ「カナエってそんな頭良いのか?。」
アカネ「カナちゃんは全国模試1位の才女だよ。」
コウ「お前って見た目はバカそうなのにそんな凄いのな。」
カナエ「えっ何?そんなバカそうに見えてたの?ショック…これは精神的苦痛だパワハラだ。訴えてやる。」
コウ「ワリィワリィ訴えるのは勘弁。」
そう言いながら両手をあげ、降参のポーズを取り笑い合ってるとチャイムがなった。
チャイムが鳴り終わると前の扉が開いた。だが開いただけで誰も入ってこないのでみんな首をかしげていると後ろの扉が開き怠そうな20代後半の男性が入ってきた。
?「よう。今日からみんなの担任になった先生だよろしく。」
そう言いながら前へと歩を進めるとクラスメートの一人が手をあげた。
クラスメートの一人はそんな先生に質問をした。
生徒1「お名前は何ですか?それとなぜ前を開けてから後ろの扉を開けてはいってきたんですか?。」
先生「名前は教えん。呼びたきゃ先生、先公、名無し先生とか呼べ。それと普通に入るのはつまらんと思ったから以上。」
先生が質問の答えを出すとチャイムがまたなり響いた。
先生「入学式行くぞ…廊下に適当に二列になって並べ。」
生徒はゾロゾロと廊下に並び始めた。
先生の号令に従い体育館に向かい歩き始めた。
体育館に到着し入学式が始まるのを待った。
入学式が始まると校長の長い話を聞き、偉い人の話を聞き、1年生代表の挨拶を聞いて立っているのが辛くなってきた時、入学式は終わりそれぞれクラスに戻った。
先生「みんな入学式お疲れさん。立っているのが辛かっただろ。先に言っとくぞ。大人の世界の入り口にようこそ。お前たちはこれから大人の世界の洗礼を浴びる。どういう意味かはそれぞれ考えろ。とりあえず今日は午前で終わりだからあと少しで帰れるぞ。
さて少し真面目な話をするぞ。」
そういうと名無し先生の雰囲気が変わりクラスに緊張が走った。
先生「お前たちは今日から大人へ成長するために3年間で学ばなければいけない。
この3年間を無駄に過ごすな。
たった今、大人の世界に足を踏み入れたことを自覚しろ。
大人の世界はどこまでも汚い世界だ。
子供で居られる時間はもう残されていない。だからこそ子供で居られる今を大切にしろ。
その命つきるまで、いやいつその命が尽きるか分からない世の中だからこそ、青春を全力で楽しめ。そして永遠とも言える大人の世界を学べ。
最後に私達教師は君たちにある言葉を送る伝統がある。その言葉を調べるなりして、大人の世界をより理解しろ。心して聞け。」
先生の声が一段と低くなり、より恐く感じる声色で先生は告げた。黒板に見慣れない言葉を書きながら。
先生「ようこそ。本当の社会蠱毒の入り口へ。ガキ共。」
クラスはシーンと静まり返り、唾を飲み込む音が異様に響いた。
チャイムが鳴るまで息をするのも忘れ、先生の話にクラス中の子供が大人の世界を垣間見たのだった。
先生「チャイムが鳴ったな。んじゃあ今日は帰れ。んじゃあなあ~。」
先程の恐い雰囲気はなくなり怠そうな声で先生は教室を後にした。黒板に《社会蠱毒》という文字を残して。
コウ、カナエの所にミコトとアカネが集まり先程の先生の言葉を考えていた。
ミコト「コウ、あの社会蠱毒ってどんな意味だと思う?。」
コウは少し考え答えた。
コウ「社会とはすなわちこの世界の事だろう。それは分かるな?」
コウはミコトに問い直し、ミコトは首を縦に振り先を促した。
コウ「蠱毒ってのは、呪術。いわば呪いの一種だ。」
カナエ「蠱毒は毒を持つ生物を大量に集め、一つの壺の中に入れて最後の一匹になるまで、戦わせ、食わせて強い毒を持つ生物を作るってやつだよ。」
コウ「流石全国1位。補足だが最後の一匹は神霊とも呼ばれてる。」
アカネ「それは分かったけど社会蠱毒の意味が分からないよ。」
コウ「つまり地球を一つの壺として捉えると人間を毒虫として表現しているんだよ。」
カナエ「つまり世界は悪意善意という強力な毒に満ちているから用心してそれに備えてしっかり学び対応しなさいって事を伝えたいんだと思う。
ちなみに大人の世界は皆が毒を持ちあがき苦しみ嘘をつき騙し喰うか喰われるかの命の取り合いをしてその最後の一匹になるまで戦う世界だと言ってるんだと思う。」
ミコト「なるほど。なんとなく分かった。」
アカネ「でもあそこまで脅すような口調で言わなくてもいい気がする。」
コウ「まぁ先生は先に大人の世界を見て生きてるからあえてきつい口調で言うことで俺達にこれからの人生の心構えを促したんだと思うよ。」
アカネ「そうなのかなぁ。まぁ良いけど。」
そんな事をコウは発言しながらも思考することはやめてなかった。
コウが思考していると後ろからカナエが話かけてきた。
カナエ「コウ君。コウ君ってば!」
コウ「ん?なんだ?」
カナエ「どう考えてるの?」
コウ「んあ?さっきの社会蠱毒の話か?」
カナエ「そうそう。あの二人にはとりあえずわかりやすく簡単に言ったけど…なんかそれだけじゃない気がするの。」
コウ「そうだな。今現状で分かる事は、俺達はこれから頭を常にフル回転させて学び、遊び、そして臨機応変に対応出来るようにするしかないかな。」
カナエ「ん~…そうだね。今は考えてもしょうが無いし調べたりして知ることを優先的にかな。」
コウ「そうだな。とりあえず帰るか。おい二人とも帰ろう。」
ミコト、アカネ「帰ろうか。」
コウ母「コウ、ミコト君待っていたわ!」
ミコト母「あぁ私達の息子二人が高校初日で女の子を連れて居るわ。」
ミコト父「私達の息子二人がこんなに早く女の子に手を出すなんて全く今日は赤飯だな母さん。」
コウ父「そうだな。今日はお祝いだな。家でパーティーを開こう。買い出しに行こう母さん。」
コウ母「行きましょう。今日は何を作りましょう。早くスーパーに行きましょうみんな!」
コウ「待て待て。大人4人で盛り上がるな。そして子供4人を置いてけぼりにするな。
アカネ、カナエすまない。この4人組は俺とミコトの両親だ。
こっちの二人が俺の両親でそっちの二人がミコトの両親だ。
そして二人の息子ってのが両家共に俺とミコトをそれぞれ息子として認知しているらしいんだ。
息子の俺達より両親達の方が仲良くなりすぎてしまったみたいなんだ…。」
呆気にとられたアカネとカナエはコウの説明でようやく話についてこれた。
アカネ「初めまして。私は赤田茜音と言います。」
カナエ「志田香苗と言います。よろしくお願いします。」
4人親「よろしく~。」
コウ母「私達は買い物に行くからコウとミコト君は女の子を送ってから先に帰ってなさい。
送り狼になっては駄目よ!んじゃあねぇ。」
コウ「はぁわかったよ…」
ミコト「分かった。」
ミコト母「香苗ちゃん茜音ちゃんまた会いましょうね。バイバイ~。」
そう言って大人組は買いものへと向かった。
そんな大人の後姿を子供4人はただ見てるだけだった。
コウ「悪いびっくりしただろ?。」
カナエ「ある意味びっくりした。なんか嵐に遭遇した気分。(笑)」
アカネ「なんか楽しいご両家だね。」
コウ「中学でミコトと友達になってお互いの家を行き来して居たらいつの間にか親同士まで仲良くなっちゃったんだよ。」
アカネ「なるほとね。なんか羨ましいな。」
カナエ「そうだね。」
二人はどこか遠くを見ながら意味ありげに話をしていた。
ミコト「なぁ早く帰ろうぜ。」
コウ「そうだな。二人とも家の近くまで送るよ。」
アカネ「あっ大丈夫!私達電車だから。」
コウ「なら駅まで送るよ。」
お互いの顔を見合わせながら笑いあい駅まで二人を送り、それぞれ帰路についた。
アカネとカナエと別れた二人はコウの家についた。
親が帰ってご飯が出来るまで二人はたわいもない話をし、呼ばれた二人は食卓に並ぶ贅沢な料理に歓喜していたが赤飯が何故か今日の話の流れからか異彩を放ってるようにみえたとかなんとか。
二人はご飯を食べ、風呂に入り、それぞれ眠りについた。
両家の親は遅くまで飲み酔い潰れていた。
翌日起きたコウはリビングに来て酔い潰れていた親を見て呆れていたが仕方なく起こしてリビングを片付け始めた。
そこにミコトもやってきて何も言わず片付けを手伝い始めた。
少し時間がたった頃、ミコトのお腹から盛大にご飯を催促する音がなった。
それを聞いたコウとご両家の親は笑い、ご飯の準備を始めた。
そんな幸せな一時を過ごしまた一日が始まる。
これから先、大変な日々が待っているとも知らずこんな日々が続くと良いなとコウは思っていた。
それからコウ、ミコト、アカネ、カナエは日々を一緒に過ごし、学校ではしっかり学び、外ではいっぱい遊んで高校生活を楽しんでいた。
それから時には喧嘩もしつつも平和な日々を過ごしあっという間に月日が流れた。




