第1話 普通の日常
山間からゆっくりと優しい光が世界を照らし始めた。
そんな朝の風景を見ながら一人の少年が窓から入る光を浴びていた。
?「ふぅ…今日から高校生か。どんな日常が待っているのかな?(笑)」
?「コウ…眩しいし、起きるの早すぎ…フワァ」
コウと呼ばれた少年の名は中村公康。
公康という漢字からそのままコウと呼ばれている。
コウ「ミコト、今日から高校生だし入学式なんだから早く起きて準備しとこうよ。」
ミコトと呼ばれた少年の名は松内 命(まつうちみこと。)
コウとミコトは中学の頃に出会い親友である。
ミコト「はぁ…眠い。まぁそうだな。その前にご飯をくれ。」
コウ「全く人の家でご飯をねだるなよ。自分ん家に帰って食えよ!(笑)」
ミコト「帰らずこのままお前ん家から高校に向かうし、そのために制服と着替え持ってきた訳だし、なによりおばさんの飯が旨いから嫌だ。」
コウとミコトは笑いながら雑談を交わし、洗面所に向かい歯磨きと顔を洗った。
?「コウ、ミコト君、起きたのね!おはよう!」
コウ「母さんおはよう。」
ミコト「おばさんおはようございます。ご飯をください!(笑)」
母「んっ?おばさん?おばさんって誰のこと?そんな事を女性に言う子にはご飯はあげません(笑)」
ミコト「お姉様、麗しき女王様、忠実なるこの臣下にご飯を頂けないでしょうか?(笑)」
母「ふふっありがとう。流石にそこまで言われるとは思ってなかったけど気分が良くなったからご飯をあげましょう!」
コウ「母さん。ミコトをあまり揶揄うなよ。馬鹿なんだから真に受けるだろ。」
母「ミコト君は反応が面白いからついね。ご飯出来てるから準備したら来なさい。」
コウ「全く母さんときたら…はぁミコトあまり母さんにおべっか掻かなくて良いのに。」
ミコト「えっ?だってご飯食べたいからあういうことで気分良くご飯を貰えるなら言うだろ!あとバカは酷くない?(笑)」
コウ「まぁいいや。とりあえず制服に着替えて飯行こう。」
お互い笑いながら部屋に戻り制服に着替え、リビングに向かう。
母「あら来たわね。ご飯よそっておいたからしっかり食べるのよ。」
ミコト「ありがとうございます。頂きます!」
コウとミコトはお礼を言い、席に座り、ご飯を食べ始める。
ミコト「やっぱりおばさんの飯は旨い!ウチの母さんはご飯さえ炊けないし料理しても異次元物体で食えた物じゃないからな。」
コウ「お前ん家のおばさんは料理以外は全て出来るよな。逆にウチの母さんは料理以外は出来ないし、やっても部屋をなぜか散らかるし、本当に困る。お前の母さんとウチの母さんが合わされば完璧なんだよな(笑)」
母「コウ~何か言ったかしら。手が滑って手に持ってる物が飛んで行っちゃうかも~。(笑)」
手には鈍く光る物を切るためにある刃物が握られ、それをうっとりとした目をしながらコウに聞こえるように独り言を呟いた。
コウ「アハハ(汗)お母様、私はミコトにウチの母さんは世界一の母だと自慢していただけですよ。」
母「あらそう。それじゃお母さんの空耳だったのかしら。うふふ」
コウは額に汗をかきながら必死に取り繕いご飯を食べた。
ミコト「ご飯おかわり。それと卵焼きってまだありますか?」
母「ないけど作ってあげるから少し待っていて頂戴。」
ミコト「うす。んじゃあご飯よそって待っています。」
そう言いながらミコトはご飯をよそい、冷蔵庫を開け、卵を二つ取り出し、手渡す。
ミコト「ついでに納豆を貰って良いですか?」
母「ありがとう。食べても良いわよ。」
許可を貰い、ミコトは冷蔵庫から納豆とマヨネーズを取り出し席に戻り、納豆をかき混ぜ始めた。
コウ「全く自分ん家みたいに過ごすなミコトは。」
ミコト「えっ?だって過ごしやすいし何かね(笑)」
コウとミコトはお互いの家を行き来するようになってから、親同士も仲良くなり、今となっては家同士で旅行にも行くようになっていた。
母「出来たわよ。食べたらお父さんを起こしてきて頂戴。そしたら学校に行きなさい。私たちはあとから行くから。」
?「起こしに来なくていいぞ。」
そんなときリビングに野太く低いが優しい声が響いた。
母「あらあらあなた起きたのね。」
父「あぁ今日は二人の息子の入学式だからな。」
コウ「いつからミコトはウチの子になったんだよ!」
父「ん?あぁ二人は知らなかったな。私達とミコト君のご両親公認でお互いの家では二人とも息子として認知しているんだよ。だからコウもミコト君ん家では息子として認知されているぞ(笑)。」
母「そうそうミコト君のご両親と今日一緒に行くからね。」
コウ「えっ?えぇー!びっくりなんだけど!」
父「アハハ!向こうも息子がもう一人出来たって喜んでいたぞ!」
ミコト「って事はどっちが長男になるんだ?」
コウ「今はそれどうでもいいだろ…」
とたわいもない雑談でリビングに笑い声が響き、和やかに時間が過ぎていった。
コウ「とりあえず食べ終わったし学校に行くわ。」
父母「あぁ気をつけていってらっしゃい。」
二人は靴を履き、玄関の扉を開き学校へと向かい始めた。
道を歩いているとちらほらと同じ制服を着た人を見かけては、二人は同じ1年かな?と話ながらこれからの高校生活に期待しながら歩いていると桜の木を見上げている少女にコウの目は止まった。




