魔法石
まるで世界の心臓。
圧倒的な魔力を放ちながら静かに浮かんでいる。
その輝きだけが、この空間を照らしていた。
「これが……世界の魔法石。」
ゼノスが恍惚とした表情で呟く。
そしてルカの前へ歩み寄った。
「封印を解く。」
ルカの手を掴む。
抵抗できない。
そのまま魔法石へ触れさせた。
次の瞬間――
キィィィィィン……
あたり一面の夜空が広がる。
無数の星々。
眩い光を放つ聖なる夜。
ルカの夜魔法が勝手に反応した。
「うっ…」
ルカは魔力が魔法石に吸われるような感覚を感じる。
魔法石と共鳴している。
星々の光が降り注ぐ。
魔法石は眩く輝き始めた。
やがて。
巨大だった魔法石は徐々に小さくなっていく。
そして。
最後には。
ルカの手の中に収まるほどの大きさになった。
「成功だ。」
ゼノスが笑う。
その手から魔法石を奪い取る。
「これで。」
その瞳に狂気が宿る。
「世界は俺のものだ。」
ゼノス高らかに笑う。
「ハッハッハッハー!!今に見てろよ!!」
「全てを破壊しつくしてやる!!」
「全てを作り直す!!」
「俺の理想世界になーっ!!」
…だが。
その瞬間だった。
魔法石が異変を起こす。
ドクン。
黒く脈打った。
ゼノスが魔法石を握った
次の瞬間。
魔法石は黒く染まり始めた。
「ぐっ……!」
大量の血が口から溢れる。
ゼノスは膝をついた。
「なぜだ……!」
魔法石を握る手が震える。
「なぜ俺を拒絶する!」
その顔には焦りだけではなかった。
怒り。
悲しみ。
そしてどこか諦めにも似た感情が浮かんでいた。
「俺は……」
血を吐きながら呟く。
「俺はただ……」
その先は聞き取れなかった。
だがルカには分かった気がした。
ゼノスは最初から世界を滅ぼしたかったわけではない。
何かがあった。
何かが彼をここまで追い詰めた。
何かが彼を絶望させた。
だから世界そのものを憎むようになった。
そんな気がした。
しかし。
それでも。
ルカは拳を握る。
「だからって……」
震える声で呟く。
「みんなの未来を壊していい理由にはならない。」




