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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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戦闘に向けて

一方その頃。


地下通路を進むアルクたちも異変を察知していた。


全員が足を止める。


空気が震えている。


壁が軋む。


遥か先から伝わる異常な魔力。


アクアが息を呑む。


「今の……。」


ビルが顔をしかめた。


「敵……?」


セドリックも表情を険しくする。


キラは紫の瞳を細めた。


「違う。俺が先程相対した相手…」


「敵のボスだ。」


その場にいた全員が目を見開く。


先頭を歩いていたアルクが立ち止まり、全員へ振り返った。


「聞け。」


場の空気が引き締まる。


「この先にいる。」


誰も言葉を発さない。


アルクは続けた。


「おそらく敵のボス。学園長。そしてルカたちだ。」


全員の表情が変わった。


アルクは地面へ簡易地図を描いた。


「ここから先は別行動だ。」


全員の視線が集まる。


「敵のボスがどんな能力を持っているかわからねぇ。」


アルクは険しい表情で続けた。


「だから全員で突っ込んで全滅するのだけは避ける。」


静まり返る地下通路。


アルクは三つの役割を示した。


「先発隊。」


「待機隊。」


「後方隊。」


ハジメが眼鏡を押し上げる。


「具体的には?」


アルクは即座に答えた。


「後方隊はハジメとマリア。」


二人が顔を上げる。


「何かあれば即座に地上へ報告しろ。」


「警察隊への報告、案内と上にいる生徒会との連携、生徒の状況確認も任せる。」


ハジメは頷く。


「了解です。」


マリアは少し不満そうに唇を尖らせた。


「前行きたかったんだけどなぁ……」


「だからこそだ。」


アルクは真剣な表情になる。


「お前らは冷静に状況判断できる。」


マリアも最終的には頷いた。


「……ちゃんと帰ってきなさいよ。」


次にアルクは別のメンバーへ視線を向ける。


「待機隊。」


「アリス。」


「オーランド。」


「アクア。」


「雪梅。」


四人が顔を上げた。


アクアは驚く。


「俺もですか!?」


「当たり前だ。」


アルクは睨む。


「お前まだまともに回復してねぇだろ。」


「でもルカが――!」


「だからこそ待機だ。」


アルクの声が強くなる。


「お前が倒れたらルカが悲しむだろうが。」


アクアは言葉を失った。


雪梅も静かに頷く。


「今のあなたは無理をしちゃ駄目。」


アリスも優しく微笑む。


「ルカくんを助けるためにも、今は我慢よ。」


オーランドは肩をすくめた。


「俺はいつでも出られるようにしとくさ。」


そして。


アルクは最後の五人を見る。


「先発隊。」


セドリック。


レオ。


ビル。


エディ。


そしてアルク自身。


その名前が呼ばれた瞬間、空気が変わる。


ビルは炎剣を肩へ担いだ。


「やっと前線か。」


レオは静かに拳を握る。


「ルカたちを連れて帰る。」


セドリックはアーサーから預かった魔法書を握り締めた。


「必ず。」


そして。


エディも前へ出る。


拳を強く握りながら。


エディの表情はいつになく真剣だった。


「ソジュンのこと。」


静かな声。


「俺、自分の目で確かめたいんです。」


同じ二年生でこの一年と少し、


共に学び。


共に過ごした仲間。


その裏切りを。


まだ受け入れられていなかった。


ビルは何も言わずエディの肩を叩く。


レオも小さく頷いた。


アルクはため息をつく。


「……勝手に突っ込むなよ。」


「はい。」


力強い返事だった。


その時。


地下深くから再び巨大な魔力が漏れ出した。


ゴォォォォォ……


空気が震える。


全員が思わず息を呑む。


セドリックは拳を握った。


(ルカ……。)


レオは杖を構える。


(絶対に助ける。)


エディは前を見る。


(待ってろ。)


アルクが口を開く。


「行くぞ。」


その一言で。


先発隊は巨大な魔力の中心へ向かって走り出した。


待機隊と後方隊は、それぞれの役割を果たすためその場へ残る。


決戦の時は、もうすぐそこまで迫っていた。

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