表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/94

ブラックの始まり

背後で扉が閉じた音が、静かに響いた。


その瞬間。


「――ルカ!」


勢いよく響く声。


振り向いたルカの視界に飛び込んできたのは――


「やっぱり一緒だったー!」


アクア・フォーサイス。


茶髪の少年は、いつものように無遠慮な距離で詰め寄ってくる。


そのままルカの腕を掴んで、顔を覗き込んだ。


「遅いよ。ずっと探してたんだから」


明るくて、距離が近くて、遠慮がない。


でもそれは昔から変わらない。


初等部の頃からずっと一緒だった。


そして――

誰よりもルカのことを見ていた人間。


「……アクア」


名前を呼ぶと、彼は満足そうに笑った。


「ねえ、聞いて」

「もしルカと別のクラスだったら、この学園ぶち壊すところだったよ」


「……お前な」


軽く言っているが、冗談じゃない。


彼は重力魔法の使い手。


本気でやれば、この建物ごと歪ませることもできる。


「だって嫌じゃん」


アクアはあっさり言う。


「ルカいないとか、意味ないし」


肩をすくめる。

これがいつものアクアなのだ。




「……三人、か」


低い声が空気を切る。

先程の獣のような眼光をしたあの男だ。


その視線が、最後の一人へと向けられる。


ルカとアクアも、自然とそちらを見る。


そこにいたのは――


白髪の少女。


短く整えられたショートヘア。

透き通るように白い肌。


小柄で、どこか儚い。


目線は少し下がり気味で、声をかければ消えてしまいそうなほど静か。


「……」


少しだけ迷うように視線を上げる。


そして、小さく口を開いた。


「……よろしく、お願いします」


か細い声。


だがその奥に、確かな芯がある。


静かで、おとなしそうで――


でも、“弱い”わけではない。


むしろその逆。


(……この子も)


ルカは直感する。


ブラックに選ばれる理由が、必ずある。


「レオ ヘルキャットだ。このブラックの寮長だ」


少しの沈黙のあと。


レオがふっと空気を緩めた。


さっきまでの鋭さが消える。


まるで別人のように。


「……いいな」

「三人とも、問題ない」


そして、わずかに口元を緩める。


「歓迎する」


さっきとは違う声音。


今度ははっきりとした――


“受け入れ”の言葉。


「ブラッククラスへ」



案内された扉が開く。ブラッククラスの寮へ繋がっていたのだ。


中から、声が飛んできた。


「お、来たか」


「今年は何人?」


「三人か、今年はまだ多いな」


ラウンジには先輩たちがいた。


それぞれがこちらを見る。


鋭い視線。興味深そうな目。観察するような視線。


だが――


敵意はない。


「ようこそ」


一人が軽く手を上げる。


「ブラックへ」


それだけで十分だった。


歓迎は派手じゃない。


でも、確かにそこにある。


アクアが小さく笑う。


「……思ったより普通だね」


「普通じゃねえよ」


すぐに返される。


「ここは、“普通じゃいられなかった奴ら”の集まりだ」


その言葉に。


ルカの中の“夜”が、静かに揺れた。



物語は、ここから動き出す。当然のように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ