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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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夜魔法 覚醒と進化

ルカはゆっくりと杖を構えた。


――星空の杖。


その名の通り、深い夜を閉じ込めたような意匠の杖に、彼は静かに魔力を流し込んでいく。


最初は、ほんのわずかに。


だが――


次第に、空気が変わり始めた。


ざわ……。


周囲の光が、じわりと薄れていく。


昼間のはずの演習場が、ゆっくりと暗く沈んでいった。


「……なに、これ……」


誰かの声が震える。


見上げれば、そこには――


無数の星。


演習場一帯が、まるで本物の夜空に覆われたかのように変貌していた。


「結界か……?いや、違う……」


アルクですら、その変化に目を細める。


わずかに、動揺が滲んでいた。


ルカは気づいていた。


自分の中に、何かが“流れ込んでくる”感覚。


――夜の声。


静かで、果てしなく深い。


(……これが……俺の力……)


星々が囁く。


その力は、夜空に散らばる星のエネルギーを集め、形にするもの。


ルカは自然と理解していた。


杖に、光が集まっていく。


淡く、しかし鋭い輝き。


「――星光弾」


呟いた瞬間、光は解き放たれた。


一直線。


まるで刃のように鋭く、アルクへと突き進む。


「……!」


アルクの本能が警鐘を鳴らす。


(これは――受け流せねぇ)


即座に身を翻した。


次の瞬間――


ドォンッ!!


背後の岩壁に直撃した星光弾は、岩を貫通し、その一部を崩壊させた。


瓦礫が崩れ落ちる。


静寂。


「……はは、やるじゃねぇか」


アルクの口元がわずかに歪む。


次の瞬間、彼の姿が消えた。


「来る……!」


ルカは反応する。


だが速い。


アルクの魔剣が振り下ろされる――


その瞬間。


「――星壁結界」


ルカの周囲に光が広がる。


キィン!!


剣が弾かれた。


「防御もか……!」


アルクがわずかに目を見開く。


だが、ルカの呼吸は荒い。


(……まだ……足りない……)


杖を強く握る。


さらに、星の力を引き寄せる。


集まる光。


増していく圧力。


(もっと……)


星々が応える。


限界を超えるように、力が流れ込む。


「――星の嵐」


その言葉と共に、無数の光が解き放たれた。


暴風のように、無差別に降り注ぐ星の弾丸。


しかし同時に――


「……っ」


ルカの視界が揺れる。


立っているのもやっとだ。


魔力が、一気に削られていく。


めまい。


息苦しさ。


それでも止まらない。


「はっ……!」


アルクは魔剣を振るい、星の嵐を次々と弾き返していく。


だが、その一部が軌道を変え――


生徒たちへと向かう。


「危ない!」


その瞬間。


「ブラックホール!」


アクアが咄嗟に魔法を展開した。


歪んだ重力の穴が現れ、弾かれた星の光をすべて吸い込んでいく。


轟音が消え、場が静まる。


「……助かった」


アルクが短く言う。


だが、その視線はすぐに別の場所へ向いた。


――ルカ。


その場に、崩れ落ちていた。


「ルカ!」


アクアが駆け出す。


アルクもすぐに後を追った。


「おい、大丈夫か」


反応はない。


浅い呼吸だけが続いている。


アルクは一瞬だけ様子を見て、言った。


「……心配すんな。ただの魔力切れだ」


その言葉に、アクアの表情がわずかに緩む。


「よかった……」


「治療班呼べ。保健室に運ぶぞ」


「……はい!」


アクアはすぐに声を上げ、指示を飛ばす。


担架が運ばれてくる間も、彼はルカのそばを離れなかった。


その様子を見ながら、アルクは低く呟く。


「……あいつの力、何者だ……」


アクアは悔しそうに唇を噛む。


「……わかりません」


それが本音だった。


演習場では、まだざわめきが収まらない。


「今の……何だよ……」

「岩、貫いたぞ……?」

「結界まで張ってた……?」


中には腰を抜かして座り込む者もいた。


誰もが理解していた。


――あれは、1年生の域じゃない。


担架に乗せられたルカが運ばれていく。


その姿を、全員が無言で見送っていた。


この日。


1年1組の中で――


“ルカ”という存在は、完全に別格として刻み込まれた。

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