最悪の発覚 '裏切り'と"仲間"
「クロマさん」
「…なんだ?」
「…いや、何でもありません」
そのまま、俺らは先輩たちが帰ってくるまで言葉を交わさなかった。
「クロマー! 聖武器取ってきた…よ…?」
「…あ、先輩」
程なくしてエン先輩が帰ってきた。エンはカホが居ないことに気がつくと、何かしらの異常を悟ったらしかった。
「…一応聞く、何があったの?」
「……」
「…カホは?」
「…あいつは、俺らを裏切った」
「か、カホが?」
「闇…ミユウっていうやつと一緒にどっか行きました」
「…なるほどね」
エン先輩は妙に納得したような顔になった。それに俺はは驚いた。
「先輩、何か知ってるんですか?」
「うん? いや、カホの事だからって思ってたけど、これはそういうわけでも無いのかなって」
「どういう?」
「いいの。警備中の二人とも呼んでこようか」
「そうですね」
俺はアタルを連れてユナの方へ。先輩はシノリの方へ行った。
「それ、カホが裏切ったってこと…だよね?」
シノリが、そう言う。
「ウソ、だよね? クロマ! 嘘だって、私をからかっているんでしょ!?」
必死に、シノリは俺に叫ぶ。
「…俺だって、嘘だって信じたい。首に当たったあの冷たい感触も夢だって思いたい」
「でも、それが現実。クロマもシノリも逃げないの。ユナも泣いてるけどさ。受け入れないと前には進めないよ」
「ミナ…お前はなんで、そんなに強いんだ」
「希望を持ってるから。カホが裏切るわけないじゃない。あの天才ちゃんが。私たちを裏切って、勝ち目のない方へ行くわけがない。だから、信じる」
ミナは笑顔でそう言う。確かに、そうだ。カホが、俺らを裏切るわけがない。
「…そうだな。すまない。ほら、シノリも泣き止めよ」
「…うん。…ひっぐ」
シノリは時間がかかりそうではあったが、なんとか立て直したみたいだった。
「そこですんなりと受け入れられ方が強いと思うけどね」
「先に進む以外に道がないからな。先輩、聖武器はなんだったんですか?」
話を戻して、聖武器へと移る。
「ん、あ、これだよ」
そう言って、先輩は一本の剣を構えた。
「一応、持って帰って櫻井集団にでも渡そう。あそこなら鞘とか色々作ってもらえるし」
「じゃあ、早く地上に「あー!」
「!?」
俺たちは、俺たち以外の声を聞き、驚いてその方向を向いた。
「その剣、守ってたんだが」
赤で長髪の男が立っていた。