↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拾った猫と転移したら聖女になりましたが  作者: はるくうきなこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/17

7王宮から出ます


 アリサは部屋に戻るとベッドに突っ伏して泣いた。

 ひとしきり泣くと何だか気持ちが落ち着いた。

 日本でが両親が生きていた頃は楽しかった。でも大学生の時両親が事故で亡くなるとアリサの生活は一変した。

 保険には入っていたが父がお酒を飲んでいた為保険金はおりなかった。確かにちお酒を飲んで運転した父が悪い。でも!

 そのせいで大学の費用も部屋代も食費も全てが自分の肩にかかった。学費は奨学金制度を使いバイトと大学で忙しくした。そんな時優しくしてくれたのが恋人だった。そして就職。アリサにはわがままを言う暇がなかった。奨学金の返済もあった。生活費も。だから働いていた時はいつも自分が我慢した。

 そして召喚。ここに来たら頼られ人からもてはやされ気分が良かった。嫌だったのはレオンハークとの関係。婚約者なのにいつも遠くにいる人みたいだった。

 日本に戻れないならせめて夫婦となる人と信頼関係を築きたいと思った。

 そして今日、レオンハークの気持ちをはっきりと知った。確かにこの異世界での常識は婚姻関係に恋愛要素は関係ないのかも知れない。利害関係の一致があれば結婚して夫婦となり子を作り次の世代へと繋いで行く。

 でも、私にいい事は何もない。聖女として召喚までされて国の為にといいように使われて国の為に王太子と結婚までさせられる。

 そこまでやらないといけないの?

 そう思ったらもう限界だった。

 嫌だ。絶対に嫌だ。聖女としての使命は果たしたいと思う。でも、あいつとの結婚だけは死んでも嫌だ!

 こんな気落ち日本にいた時でもならなかった。ここまで人の尊厳を傷つけられた記憶はない。

 

 そこにアンドリューが帰って来た。いつもは扉からをノックしてアリサが返事をするまで入って来ないのに今日は違った。きっと事情をメイからでも聞いたのだろう。

 「申し訳ありません。どうしても騎士団に用があったので‥聖女殿、何があったんです?」

 アリサは泣き腫らした目をしていた。

 「アンドリュー、私、わたし‥殿下と結婚なんか嫌です。あの人となんか絶対結婚しません!」

 「一体どうしたんです。俺の留守中何があったか話してください」

 アリサは殿下に呼ばれて執務室に行った事を話した。

 「殿下に呼ばれたと言いましたね」

 アリサはこくんと頷く。

 「きっと、ロージェンナ様がわざと呼んだんでしょう。そして殿下とのやりとりを見せつけた。以前からあの二人は関係があっていつかはこんな事になるのではと危惧していたんですが」

 「アンドリュー様は何も感じないんです?結婚する相手に恋人がいるんですよ!」

 「まあ、日本で暮らしていたあなたには信じられない事かも知れません。ですが日本でも不倫とか結婚していても浮気する人もいるんですし、割り切っている夫婦もいたはずです」

 「まあ、そうかも知れないけど、私は嫌なの。そうでなくても無理やり召喚術でこの世界に連れて来られたのよ。結婚まで無理強いされたくないわよ」

 「お気持ちは分かりますが、これが国の方針なので俺の一存ではどうする事も出来ません。許して下さい。その代わり兄には聖女殿に誠意を尽くすよう説得します。ロージェンナ様の事も国王に話して兄とは別れるようにします」

 アリサはアンドリューが平然とそんな事を言うことがやり切れなかった。

 「もういいわ!私、ここを出る。聖女も辞める!」

 「そんな事を言わないで、俺が何とかするから」

 アンドリューが何とかしようと言うたびに心ガキシキシ音を立てた。

 「結構よ!私の勝手にするから止めないで!」

 アリサはその日アンドリューが止めるのも聞かず王宮を出た。

 もう、レオンハークの婚約者でいるつもりはなかった。その為にも王宮にいるのはおかしいと思った。

 アリサはその日のうちに神殿に行った。



 アリサは神殿に行くとここで寝泊まりしたいと言った。

 「ですから聖女様、そんな事は勝手に決められないんです。どうか、お気持ちを沈めて王宮にお戻り下さい」

 出て来た神官も困った。


 そこに大神官が現れた。

 「これは聖女様、どうされました?」

 「大神官様、私もう王宮にはいられません。殿下はロージェンナ様と関係があってあんな人と婚約なんて、大神官からもこの婚約を解消するように話して下さい!」

 「そんなことが?それはあなたのお気持ちも尤もだ。聖女様の気持ちの整理が着くまでこちらに滞在して頂こう。神官、急いで部屋の支度をしなさい」

 「いいんですか?ありがとうございます」

 とりあえずアリサは王宮にいなくても良くなった事にホッとした。



 それから一週間が過ぎた。

 アリサは相変わらず聖女をしての仕事をこなしていた。朝にはお祈り、治療院、街の浄化や騎士団への顔出しなど忙しく働いた。

 アンドリューは出かけるたびに付き添い護衛をしてアリサに付き添い神殿に戻ると引き上げるようになった。神殿には別の護衛がいて近衛兵とは管轄が違ったのだ。

 その日も帰り際にアンドリューが話をした。

 「聖女殿、兄とロージェンナ様の関係は今すぐににはちょっと‥いや、でも、国王には話をしている。だからもうしばらく待って欲しい。兄にはロージェンナ様との関係を切ってもらうつもりだ。だから」

 「アンドリュー様、もうそのお話は結構です。私の気持ちは変わりませんから。このまま神殿で聖女としての仕事をやって行きます。結婚はしません。話は終わりです、では、失礼します」

 アリサのアンドリューへの期待はこの頃にはもうすっかり無くなっていた。







 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。