14ライトナー辺境領へ
アンドリューとアリサは王都を脱出してライトナー辺境伯の保護下に入って数日が経った。
辺境伯領は日増しに魔獣が増え辺境伯騎士団も限界が近かった。
「アンドリュー、聖女殿、申し訳ないが力を貸して欲しい」
ライトナー辺境伯はこんなつもりでは無かったが、ここまで魔獣が多いともう無理だと判断したのだ。
「ライトナー辺境伯、ここに来て数日。皆さんがお困りな事はわかっています。どうか私に出来る事を手伝わせて下さい。私に出来る事は何でもしますので」
どうやらアリサはあんな目に遭ったのに困った人を放っておく事は出来ないらしい。
「聖女殿、感謝する。今まではここまでひどくは無かったんだが、そう言えば聖女殿が偽物だと言われた頃から被害が増えているんだ」
「それは本当ですか?やっぱりロージェンナ嬢が聖女ではないと言うではないでしょうか?」
すかさずアンドリューが口を挟んだ。
「ええ、確かにこの所の瘴気の事を考えれば‥だとすれば王都は大丈夫なんだろうか。いや、うちは今もう手一杯だ。王都の事は王都が何とかするべきだな。とにかく聖女殿がここにいてくれて良かった」
ライトナー辺境伯は、ほっと安堵するように息を吐いた。
それから後は話は早かった。
まずは結界を張る。騎士の治癒。魔獣討伐に参加して後方支援をした。
アリサのお陰でライトナー辺境伯領の魔獣被害はすぐに収束して騎士達も回復して行った。
*〜*〜*
その頃王都ではカイル達監査官は神殿内と大神官私邸と宰相であるフォンビュート公爵への立ち入り調査を同時に行った。二人の金の流れが繋がり二人が寄付金や不正な手段でお金を手に入れた事が分かった。
ロージェンナ嬢の毒の入手先もフォンビュート公爵家の傘下にある商会から手に入れた毒と分かった。
カイル達がシャルマート大神官とロージェンナを逮捕に向かおうとしている時、王都で大きな地震が起きた。
震源は神殿の地下だった。
騎士団が駆け付けるとシャルマート大神官とロージェンナが腰を抜かしていた。
ロージェンナは生気を吸い取られたかのように頬はこけ顔色はどす黒く息も絶えだえだった。
胸にあった青白い石から出る光が彼女の身体に張り付くように放射状に身体に纏わりついていた。
「お願い。この石を外して!こんな事になるなんて知らなかったのよ。ヒェ、石が私の命を吸い取ってるみたいだわ。早く!何でそこに突っ立てるの?騎士でしょ、何とかしなさいよ!」
青白い光がさらに広がってロージェンナの力を奪う。
「きゃぁ、助けて、聖女だって言ったのは嘘よ。石の力で聖力があるように見せただけなのよ。もう、いや!早く何とかして〜」
ロージェンナは喚き散らし狂ったように地面を転げ回る。
騎士が近付いて彼女のネックレスを外そうとするが石が張り付いたようにくっついて離れない。
「助けて、お願い。助けてちょうだい!!」
王都に異変が起きている知らせを受けてアリサ達はライトナー辺境伯家の執務室で相談をした。
「私、王都に行きます」
「アリサ、良いんだ。あいつらが勝手な事をした罰だ。シャルマートもフォンビュート公爵もロージェンナも君が同情する必要はない」
「でも、結界陣を何とかしなきゃならないんでしょう?」
「アリサその話をどこで聞いた?」
「ライトナー辺境伯が教えてくれたわ。彼も王都の秘密を知っている一人だって、聖女が現れる時は結界陣に歪みが現れているからだって言ってたわ。女神が作った結界陣を修復する力が聖女にはある。だから召喚された女性には聖女の力が宿るんだって」
「ライトナー辺境伯は全てをご存じだったんですか」
「ああ、これでも辺境伯だからな。国の秘密を知る権利がある。だから聖女殿の事は最初から信じていた」
「ロージェンナが嘘をついている事も、シャルマート達が結託している事もですか?」
「ロージェンナ嬢が聖女だって話は最初から信じていなかった。それにシャルマートと宰相が金の亡者だって事は有名な話だが、まさかこんな事になるとは想像もしなかった」
「無理もありません」
「ああ、全て確かな証拠があった訳では無かったからな。だが、どんな事があろうと神殿の結界陣は何とかしなくてはならん。国が滅ぶ。聖女殿すまんが力を貸して欲しい。もちろん、私達も一緒に協力する」
そしてライトナー辺境伯率いる辺境伯騎士団と一緒にアリサとアンドリューは王都入りした。




