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説明が少なかったので書いておくと、トルン−人、リム−龍 です。この世界では人とその半身の龍はニコイチなんで生涯一緒に行動します。それは親友よりも近い存在で、自分自身です。
龍友族は半身とする龍の種類で飛龍系、陸龍系、水龍系、岩龍系、光龍系、華龍系、魔龍系、黒龍系、古龍系と系統が分かれる。
分かれたからといってある事に特化していることや、絶対に何かができるということなどはなく、個性の面が優位に立つのだが、それでもそれぞれに特徴がある。
飛龍系、陸龍系、水龍系はそれぞれ空、陸地、水中で行動しやすくなり、体力も他の場所より高い記録を出せる。逆に、それ以外の場所ではパフォーマンスが下がってしまう。
岩龍系はパワーと耐久力に優れ、重量のある岩をふっ飛ばしたり、金属を砕いたりすることだってできる。ただし動きは遅い。
光龍系は光を扱えて、光弾で暗闇を照らしたり、植物の成長を促したり、光の力で熱を発生させたりすることができる。
華龍系は植物と共存する。花をきれいに咲かせたり、農家の品種改良なんかも華龍系の人の手を借りれば即座に片付く。もっとも、農家の九割は華龍系の人が営んでいるのだが。
魔龍系はこれと言って能力はないが、半身である人と同じように魔力を使うことができる。するとできることの幅が広がるのだ。
黒龍系の特徴は視覚、感覚の伝達だ。自分の見えている物を人に見せたり、体の一部を飛ばしてドローンのように扱える。半身同士で視覚を共有できる故に生まれるコンビネーションと、その高度な索敵能力で、輝龍の集いにはこの黒龍系の者が多かったらしい。
そして、最後に古龍系なのだが、この古龍系には特徴は判明していない。個体によって力を持っていないこともあるし、なにかしらの力を持っていても用途がはっきりしない者だったりしたらしい。
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「学校行こう、トルン。」
「うん、ちょっと待って。いま準備する。ちょっと遅れそうだから飛んでいける?」
「そりゃあもう、歩いたら間に合わないもんね。」
「ごめんごめん、助かる。」
慌ててトルンが準備する。
リムにトルンが乗っかる。リムはトルンより身長が短いので、トルンは肩にしっかり捕まる。
「よし!行こう!」
「OK。用意出来た。乗るよ!」
街の上空に飛び上がる。風を切って進む。
「やばいやばい!遅刻遅刻!あ、トルンじゃん。」
「リムだ!おはよー。」
「あ、ミリアと「セリスだ。おはよー!」」
声をかけて来たのは幼馴染のミリアとセリス。ちょっとうっかり者の彼女は飛龍系。そして風魔法使い。風魔法と飛龍は相性が良い。そこに彼女の才能も相俟って、彼女は学園でも十人に入るほどの速度で空を飛べる。飛龍系は学園に200人くらい居るのだが、その中で十番なのだからどれだけすごいかが分かると思う。
「うんうん、おはようおはよう。ちょっと立ち話でもって言いたいところなんだけど、宿題終わってないんだよ。トルン!また後で。セリス!飛ばして〜」
「おおう…また後で〜!」
颯爽と空を飛び去って行く。
「流石、セリスは速いなぁ……。」
「そういえば、今更だけどリムはなんで飛べてるの?飛龍系じゃないのに。風魔法使ってるとか?」
「違う違う!飛行魔法なんて高度なことは無理!でも、僕も分からないなぁ。もしかしたら飛ぶのが下手な飛龍系なのかもしれないけど…でもだとしたら僕は陸とかも普通に走れるしなぁ。やっぱ神殿で鑑定してもらったみたいに古龍系で間違い無いんじゃないかなぁ。」
リムが軽く笑いながら言う。
「でも古龍系なんて滅多に居ないって言うじゃないか。だったら鑑定が外れた可能性もあるなぁって。」
「うーん…まあでも僕はなんとなく自分が古龍系だと思うし、そうだった方が嬉しいかな。」
「なんで?特にこれと言って古龍系って得意なこともないじゃん。」
「でも…やっぱ珍しいってかっこいいよ!それにあの名将クルセウスも古龍系だったって言うじゃん。やっぱその能力を使って素手で戦ってたんじゃないかな。そしたら僕にもなんか能力があるんじゃないかって希望が持てるじゃんか。」
「うーん、確かに!僕もリムの能力が何なのかって気になるなぁ。」
♪キーンコーンカーンコーン
「「あ」」
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慌てて学校に(門は閉まっていたけど)飛んだまま駆け込む。教室には
「こら!遅刻だぞ!トルン、リム!」
「「すみません…」」
「全く…ほら、席付きなさい。」
「「はーい…」」
「ヘヘーん、結局遅刻してやんの、結構速く行ってたじゃん。」
ミリアにちょっとからかわれて、
「返す言葉もございません。」
「ねえねえリムー、なんで遅れたのさ、急いでたのに。」
「ちょっと悠長に話してて…」
「全く、リムのマイペースも程々にね。」
「うん。」
「1時間目の科目は,,,算法か。うわー…いやだなぁ。」
「リムは計算が嫌いだよね。」
「もう数字見るのも嫌かな。」
「ふふっ、それは嫌い過ぎ。」
授業が始まる。トルンにとってもやはり授業時間は退屈なようでぼーっと窓の外を眺めていたりしている。先生はせっせと黒板を書いていく。しかしリムはすでに船を漕いでいる。
「ちょっと、リム。寝るの早すぎ。起きなよ!先生そろそろ回ってくるよ!」
「むにゃむにゃ…もう食べられないよ。」
「ちょい!リム!あー、もう!最近寝てなかったのに…昨日寝るよって声かけたのにずっと本読んでたから!」
「ずいぶん楽しそうだな。君たち。」
気だるげな顔に作っているとしか思えない微笑みを称えて、先生が見下ろしていた。
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(リム視点)
ふと威圧感を感じて目を開ける。
すると、案の定先生がボクの前で仁王立ちしていた。
「えーっと…」
「おはよう。リムくん。良く眠れたかい?」
「はい!それはもうバッチリ。」
ボクは精一杯の虚勢の笑みを添えて先生に返事をする。周囲から笑いが起きるけれど気にしない。でも、そういえば今日は遅刻もしていたんだっけ…
「よし!じゃあ遅刻も居眠りもして元気になったリムくんには、庭園で雑草を抜いてきてもらおうかな!」
弁解をする間もなく刑が執行された。
容赦なく火の照りつける中で雑草を屈み込んで探して抜くというのは気が滅入る。それこそ居眠りじゃなく意識を失いそうになる。2年くらい前にトルンが書類を無くしてやらされたから二回目か。近頃はまあまあ優等生でいられているつもりだったんだけどな。
「そっちは?終わった?」
トルンが汗を流しながら尋ねてくる。
「うん、終わった。いや、ほんとゴメン。こっちとしても授業が何語で話されてるのか分からなくて…算法はもうトルンに全部任せてるからって油断してた。今日はちゃんと夜寝るから。」
「はぁー、全く、次から気を付けたまえ。」
「すみませーん…」
トルンがやれやれと立ち上がり校舎に向かう。僕も付いていこうとして、その前に自分たちがどれだけ庭園をきれいにできたかを見ようと振り返った。
その時、地面で何かが光ったのが見えたのは何故か。そこにメダルがあって、僕らが草むしりの末にそれを見つけることがまるで計算されているかのように、目立たない位置にメダルは埋まっていた。拾い上げるといつから埋まっていたのだろうか、その白金色のメダルが磨いたばかりのように太陽光を眩く反射する。
「どうしたの?リム?行くよ。」
「メダル。」
「え?メダル?遂に日差しにやられたかい?水かけようか?それより日陰入りなよ。」
「違う違う!このメダル!見てよ!」
「どれどれ…。」
その白銀のメダルには我が家ーグランドル家の家紋が掘られていた。
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