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セイルーク  作者: Mt.danple
第一章
2/6

 僕達龍友族は、もう一人の自分を龍の姿で持ち、いかなる困難も二人で乗り越えていく。


 運命共同体。いや、その関係はもっと深く、重い物だ。片方の死はもう片方の死も同時に意味するのだから。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 「リムは冒険したいと思う?」

 「どうしたの?藪から棒に。」

 「そんなん。男子の憧れじゃないか!」

 「まあ、確かに旅をしたいなとは思うよ。でも、僕らはまだ2年は普通の学生だし。それにお金とかはどうするのさ?現実的に難しいんじゃない?」

 「まあ、そっかあ…」


 トルンは言葉を濁す。彼ら龍友族の通う学校では日常生活で必要な知識や、自衛のための戦闘技術、龍と人の生態の違いなど、基本的な事を学べる。そこから、自分がなりたい職業への特殊な知識を得るためにその職の人に見習いに行くのだ。平和故に高度な戦闘技術は必要なく、皆性格は穏やかでいじめなども無い。龍友族の里の一つであるスペリアルは、そんな辺境に位置している。


 だが、龍友族の戦闘能力は本来とても高いものだ。それ故に今まで様々な戦争で大きな活躍を上げてきた。エルフと人の百年に渡って続いた戦争に終止符を打ったのは第三勢力である魔王軍率いる龍友族だった。個々の龍が持つそれぞれの能力を器用に扱い、言葉も無く龍とアイコンタクトで合図を取って挟撃する。そんな戦い方だった。


 第百六代魔王であった名君スラスドフリアの時代のことだ。龍友族は、魔王軍の中でも仁義に溢れ、捕虜になるはずの他種族の民を助けるような部隊だった。彼らは一部のエルフや人間からも支持され、輝龍の集いという名で呼ばれた。輝龍の集いの圧倒的な戦闘力、その人望で、勝負は魔王軍の圧勝となるかと思われた。


 そこで現れたのが「勇者」と呼ばれる存在だった。彼らは元は普通の人間だった。そして、彼らの扱う魔力は透明だった。魔力は持つ者によって色相は違うが、魔力の力は強くなればなるほど薄くなっていき、最終的に白になるという事。しかし、その法則に反して彼らの魔力は透明だった。突如現れたイレギュラーに龍友族は戸惑い、しかし、巻き返し、それを繰り返して長い戦いとなった。数人の勇者と、それに太刀打ちする魔王軍の精鋭。一ヶ月にも及ぶ死闘の末、龍友族は勇者の意志を汲みとって和解することとなった。


 結果として、今は魔族、エルフ、人間から交代で世界の首長を決めることとなった。始めは受け入れ難かった他種族同士も、今は共存することが当たり前になった。そういう意味で、今は最も平和な時代となっている。


 「でも、なんで急に冒険したいなんて言い出したのさ?」

 「うーん、別に深い理由は無いんだけれども…なんか、その、経験がほしい的な。」

 「なんじゃそりゃ。」

 「あ、でも強いて言えば、僕らの家系図には名将クルセウスがいるでしょ。だからそれに見合う子孫でありたいなって思って。」

 父さんは普通に学者だけどね、とトルンは付け加える。


 クルセウスは輝龍の集いの中でも三指に数えられる名将だ。トルンの曾曾祖父に当たる人物なのだが、彼は龍友族の中で唯一武器を持たなかった。それは断じて、彼は戦わなかったというわけでは無く、武器を持たずに戦っていたのだという。白金の魔力と彼の龍の能力であろうと言われている。本来魔力は光沢を持つ色にはならない。彼は死ぬまで自分の魔力の色の秘密について、そして彼の龍スレイピアも自分の能力について一切言及せずにこの世を去った。


 「ああ、それについては僕も気になる。何か書物とか残されてないのかな?」

 「ね、だから僕は世界を回ってそういうことを知っている人に話を聞いてみたいんだよ。それこそ、勇者の末裔とか。」

 「なるほどね。グランドル家の名にかけてってことか。」

 「うん!」

 

 彼らの冒険譚が幕を開ける。

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