4話(改)
紅葩が生徒会に入った当日の授業…初めに数学、次に英語と続くが。
「剣様…ス・テ・キ。」
剣は入学テスト学年トップの主席だった。
女子生徒は全員目がハートだった…剣の前では男子が霞みまくりだ。
次の授業は体育、隣のクラスと合同で、隣のクラスの雫と一緒になる。
「紅葩〜今朝の人誰?知り合いみたいだったけど高校生活早々彼氏が出来ちゃったっ?」
「ありえない、変な奴だから雫は気にしなくていいよ。」
体育の種目はバスケ、紅葩は雫と一緒で剣とは違うチーム。
ちなみに今、剣のチームが試合している。
「剣様っ。」
女子生徒の呼び方に色々と違和感がないわけでは無いが…剣はパスを受け取りそのままレイアップシュート、お手本のようなシュートに歓声が沸く。
その試合は剣の活躍により圧勝、次は紅葩のチームの番。
「行くよ、雫。」
「いつものパターンだね。」
始まってすぐ、紅葩はボールをパスカットし雫にパスして即リターン、紅葩はドリブルで1人、2人とかわし剣同様レイアップシュート。
「「うわぁぁぁぁ。」」
鮮やかな2人の連携プレーに剣とは違う種類の歓声。
「ナイッシュッ、紅葩。」
その後も雫と紅葩のコンビは止まらない、
雫は運動が得意ではないが紅葩の望むところにパスを出せる、紅葩が自由にプレイできるのは雫のおかげである。
剣のチームと同様に圧勝する紅葩たち。
「やるな、紅葩。」
チームが入れ替わるとき剣は紅葩の背中を軽く叩く。
「剣とやるのが楽しみだね。」
挑戦的な笑み、紅葩も同じ笑みを剣に返した。
試合は白熱し最後の対戦…剣vs紅葩。
「負けないからね剣。」
「こっちのセリフだな。」
試合開始のジャンプボール…剣のリーチが勝り剣のチームの速攻、
剣にボールが渡りシュート、と思いきや紅葩がブロックする、雫にボールが渡り今度は紅葩のチームの攻撃。
そんな攻防が続き残り時間もあとわずか…得点は同点と接戦だ。
「紅葩っ。」
「…っ、しまっ。」
雫のあてずっぽうのシュート、はシュートではなく剣は気付くが遅い…紅葩の高い跳躍力、アリウープとまではいかないが、タップしてゴールリングへ。
紅葩のシュートで紅葩のチームが勝利を収めた。
「ナイスシュートッ。」
「ナイスアシスト。」
2人のハイタッチは体育館に響きわたった。
「紅葩。」
「剣…私の勝ち。」
満面の笑みの紅葩に剣の口角が上がった。
その後も授業も剣の活躍で終わり下校時間…。
紅葩は帰宅部だが雫は茶道部に入っている、
今日はミーティングだけらしく、教室で雫を待っているわけだが…。
「紅葩、まだ残っていたのか?」
「剣…雫を待ってるの、そっちは視回り?」
「そんな所だ。」
教室に入り机に腰かける剣…紅葩は剣が来た時に椅子から立ち上がったので、今は紅葩のほうが背が高く剣が見上げている状態。
「…雪乃とは仲がいいのか?」
「まぁ、ね。中学からの仲だし…1人暮らしの私の家に弟とよく遊びに来てくれててね。
人付き合いの苦手だった私にはもったいない位の親友なんだよね………。」
「………苦手だったのか?」
生徒会のメンバーとはすぐに打ち解けていたと思う剣だったが。
「昔は色々と尖ってたからさ〜だから雫には感謝してばっかりなんだよね。」
照れたように頭を掻く紅葩。
中学時代、親がいないだの記憶喪失はただのネタだの言いがかりを付けられた…まぁそいつらは1人残らず制裁を加えたが。
「……………そうか。」
いつもより間が多い剣…その顔はいつもと同じ無表情に近いモノだったが、紅葩には少し不機嫌そうに見えた。
「もしかして…雫に嫉妬してる?」
「……………。」
前屈みになり剣の顔を窺う紅葩…剣は顔を背けた。
もちろん紅葩は冗談だった。
いくら剣が男っぽいとはいえ剣も女子で、しかも知り合ったのはついこの間の事、紅葩の中学時代等知らなくて当然。
「………?あきっ「した、と言ったら?」…へ?」
立ち上がった剣は紅葩より高い、今度は剣が前屈みになり紅葩の顔を覗く。
「………剣、さん?」
「嫉妬したら…どうしてくれるんだ?」
頬に添えられる剣の手…夕暮れになりつつある教室のワンシーンはまるでドラマの様。
予想していなかった出来事に紅葩の頭はパニック。
「あ…剣…。」
「………紅葩。」
余裕の少し口角の上がった剣と余裕の無いパニックな紅葩…剣の顔が紅葩の顔に徐々に近づき…。
「〜〜〜っ。」
紅葩の顔は茹蛸の様に真っ赤だ、剣の口角がますます上がる。
「紅葩ーお待たっ…凰間さん?」
教室の扉を開けた雫。
「雫〜〜〜。」
心底安心したような紅葩の声。
「………フッ。」
剣は笑いながら紅葩から離れた。
「〜〜〜っ、ひどい剣っ、からかったのねっ。」
「先にからかってきたのは紅葩の方だが?」
妖艶に笑う剣…頬を膨らませ子供っぽく怒りをあらわにする紅葩。
その綺麗な顔が先程まで自分のすぐ近くにあって、もし雫が来なければどうなっていたか…。
「知らないっ、行くよ雫っ。」
「えっ?ちょっと紅葩〜。」
雫の腕を掴み、足早に教室から出て行く紅葩の顔の熱はまだ引いていなかった…。
剣はしばらく紅葩たちが去った扉を見つめた後、前髪を掻き上げ優雅に教室を去った。
優雅な剣とは裏腹な紅葩の帰り道、紅葩は…。
「まだ拗ねてる〜本当に紅葩って子どもなんだから。」
「童顔の雫に言われたくないんだけどっ。
それに拗ねてないっ、からかい返されてムカついてるだけ…。」
(それを拗ねてる、っていうんだけどな…。)
苦笑する雫と頬は膨らんでいないがまだ拗ねている紅葩の前方に見知った人影が。
「姉さん、紅葩さんっ。」
「時雨…部活中?お疲れ様。」
2人の帰宅路には2人が通っていた中学を通る、その門から出てきた袴を身につけた少年、雫の弟の雪乃 時雨。
茶色の髪に黒い瞳、ほのぼのとしたオーラがそっくりである…紅葩には出来すぎた知り合いだ。
「紅葩、時雨ね…部活動推薦でウチの高校狙ってるんだってー。」
「………時雨ならもっとレベル高いところ行けるんじゃないの?」
時雨は弓道部に所属していて黒天学園にも弓道部はある、が時雨は大会で何度も優勝する実力を持ち頭も良く成績優秀。
もっと強豪校の学校や頭の良い高校に行けるはずだが…。
「僕は紅葩さんと一緒の学校が良いんです。」
「そっかぁ〜知り合いがいる方は良いもんね、じゃあ頑張ってね。」
時雨の頭を撫でる紅葩、時雨は嬉しそうに微笑み学校の中に戻って行った。
「………我が弟ながらいつもストレートな愛情表現で…。」
「姉として慕ってるだけでしょ?時雨はシスコンだからね。」
(………違うってこの鈍チンが。)
鈍感すぎる我が親友に溜め息しか出ない。
「それにしても…紅葩が生徒会か〜頑張ってね。」
「うん、私は…自分を取り戻す、あの中に居たら出来る気がする。」
「…何か言った?」
紅葩の呟きは雫に聞こえることは無かった。
「ううん…なんでもない。」
誤魔化すように笑う紅葩。
その笑顔を血のように赤く輝く夕日が照らしていた…。




