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27話

紅葩と秋葉の死闘、そしてスサノオとの因縁の再会のあった永い1日から翌日。

あれから秋葉は保健室のベットでずっと眠り続けている。

秋葉は紅葩との死闘で致命傷ではないが核に傷を負った。

あの後すぐ天照による治療が行われた・・・が。

傍目には容体が安定して眠っているように見えるが、

前回の蓮の様には行かず、正直いつ消滅してもおかしくない現状だ。

紅葩は治療中からずっと秋葉の手を握っている。

 やっと分かり合えたのに・・・2人に残されたのは別れの道だけ。

そう思うと仲間達は紅葩に声をかけることができなかった・・・のだがその沈黙を破った1人に人物が。

「おい紅葩。」

「・・・蓮。」

「母親が起きた時・・・そんな表情かおを見せんのか?」

そんな表情・・・すべてを諦め、何もする気がない、生気の無い人形。

「お前は母親に何を言われた?今そうしてることが求められた姿か?」

「・・・っ、蓮っ言い過ぎだよっ。」

「わたしも咲良に同感。」

少なくとも今言うことではないと璃莉も反論する。

 生徒会の目的は「スサノオを倒すこと」それは変わりない、

紅葩という仲間も増えスサノオが姿を現した今行動しないことに理由はない。

「紅葩。」

「・・・・・。」

もう一度名前を呼ぶ蓮、紅葩は秋葉から手を放し立ち上がった。

「ありがとう咲良に璃莉、でも私は大丈夫。」

その言葉とは裏腹に全然大丈夫そうに見えない紅葩。

「それと蓮。私はお母様のことで悩んでたわけじゃないしウジウジしてたわけでもない。

分かってるくせに悪者ぶらないでくれる?」

紅葩は保健室から出て行く・・・その後を追う者は誰もいない。

「剣が紅葩の事で何も言わないの珍しいじゃん。」

蒼葵は頭で腕を組みながら剣に問う。

「紅葩を焚き付けるのはアタシの役目じゃないからな。」

蓮の言い分に反論した2人も剣と同じで口を出さなかった双子も何となくだが分かっていた。

紅葩は母親との別れを惜しんでいたわけではないと・・・。

死闘の前の紅葩の覚悟、アレは本物だった。

母との別れを悲しみはするも後悔することはないだろう・・・では紅葩は何を悩んでいたのか。

その答えも皆薄々分かっていた、というよりは全員が思っていたことは一緒だった。

(このままじゃスサノオには勝てない・・・それどころか居場所すら。)

紅葩達が悩んでいたこと、それはスサノオの圧倒的な強さ。

 それは対峙した紅葩が1番分かっていた。

秋葉を護る為にスサノオに向かっていったが、紅葩はあの時スサノオを一歩動かすのも敵わないと悟っていた。

さらにスサノオは言った「もっと闘い強くなれ。」と、スサノオが再び姿を現すのは難しいだろう。

(・・・天照なら。)

同じ神である天照なら分かるかもしれない・・・いやずっと分かっていたのかもしれない。

 分かっていて何も言わなかったのだとしたらこれから先も紅葩達に言うことはないだろう・・・。

それから紅葩が気にしていることはもう1つ。

秋葉が言った自分ならスサノオを探せると・・・スサノオは言った「お前なら闘いに勝ち上がるだろう」と。

スサノオはこれまでに2度紅葩と接触し、あろうことか自分が開催したゲームの邪魔をしてまでも紅葩を助けた。

 それだけでなく自分の力の一部である″神の輪″を紅葩に渡ることは無かったが贈り、わざわざ秋葉と接触し紅葩と会わせ闘わせた。

このことからスサノオは紅葩に何らかの思いを持っているのは間違いない。

 だがその理由が紅葩自身分かっていない・・・自分は玩具として不完全なはずだ。

それが逆にスサノオに興味を抱かれている理由なのか、紅葩は勘だが違う気がした。

「・・・・・ココ、は。」

考え事をしながら歩いていた場所は学園の校舎裏。

黒天学園は小中高大学一貫のとても大きな敷地を所有している、その一部は木が生い茂り森の様になっていて生徒達の一部では″迷いの森″と呼ばれている。

 紅葩が今いる場所はそこである。

冬が近づく今、葉のほとんどが落ち殺風景ではあるが周りを見ても木々だけの空間。

「・・・戻ろう。」

ひとりぼっちで寂しいというわけではない・・・紅葩は誰に言い訳をしているのか元来た道を戻ろうと踵を返すが。

(・・・っ、何だろうこの″気配″。)

紅葩は気配の感じた森の奥へ進む・・・そこには。

「嘘・・・・・。」

そこに広がる景色に驚愕した・・・裸の木々が広がる中その空間だけ春の様に暖かな陽光と生い茂る木、そう中心にあるのは。

「・・・神社?」

紅葩は惹かれる様に神社の扉を開けた。

その瞬間不思議な風が紅葩の身体を包んだ。

(優しい暖かい風・・・。)

神社の中にいたのは瞑想をしていた天照大御神・・・天照を中心に風が吹いている。

『紅葩どうしてここに?』

背後にいる紅葩に声をかけた天照。

 紅葩は無駄に緊張してしまう・・・いつもと雰囲気が違う天照にやや畏怖の感情を抱く。

『ふふっ、″やっぱり″紅葩には分かっちゃうのね~。』

瞑想を解いた天照は紅葩の知る天照だった。

「・・・・・天照やっぱりって何?」

『・・・・・。』

「お母様は、スサノオは・・・天照は、何を知っているのっ?」

紅葩の問いに天照は黙ったままだった。

「・・・っ、天てらっ『普通は・・・。』。」

『普通は神に対してそういう態度は取れないものよ。』

人間にとって神とは抽象的存在であり崇拝し、時として畏れるモノ。

 神の力で造り変えられたとしても人間は人間、人は自分の想像以上のものと対峙すると困惑し竦み上がってしまうもの。

しかし紅葩はどうだろう・・・。

『あの時蓮達は咄嗟に武器を出していたけどスサノオには向かって行けなかったでしょうね~。』

でも紅葩は向かっていた。

『そして紅葩が感じている気配、″神の気″は普通なら分からないもの。』

それが分かる紅葩は普通ではないということで・・・。

「私は・・・・・何?」

『紅葩は、というより紅葩の一族がその昔神の声を聴く者たちだったのよ。』

神の声とは実際には神の気の事で、神の気が感じ取れる場所は神が気に入った土地でありその神によって豊穣がもたらされる。

 椿の一族はそうやって繁栄していき世界でも有名な富豪になった。

『紅葩はスサノオの力をその身に宿してその力が飛躍的に強くなっただけよ~。

今じゃそういった人間がいないからスサノオが興味を示したんじゃないかしらね~。』

〘あの弟は闘い以外の感情には疎いから・・・今はまだ。〙

そう思考していた天照だがすぐその考えを取り消した・・・自分は愚弟に何を期待しているのか。

「なら・・・私ならスサノオの居場所が分かるってことだよね。」

『・・・そうよ~。紅葩の記憶が戻ればいずれは目覚めると思っていたんだけど、今は後悔しているのよ~。』

「何でっ『紅葩達じゃスサノオには絶対に倒せないからよ。』っ。」

スサノオ、素戔嗚尊は天界にいた時も暴れ放題で他の神を寄せ付けない強さだった。

『正直に言うとね~皆をスサノオに会わせる気なんてまったくなかったのよ~。』

天照が蓮達を救ったのは偶然だった・・・スサノオに敗れ神の力を失い、地上に降りた時たまたまそこにいたのだ。

 この人間達は自分と同じ様にスサノオの被害者なのだと、気まぐれだった。

『本当なら人間なんてどうでもいいのよ~。人間を助ける理由なんてあたしにはないんだから。』

そう吐き捨てた天照に今までの天照とは思えない位とても冷たかった。

 それに比例してその場の空気が重苦しいものに変わったと紅葩は感じた。

『何ならあたしが紅葩の力を奪っちゃえば紅葩は何も出来ないわよね?』

そう言って天照は一瞬で紅葩との距離を詰め妖しく微笑む。

「・・・私は諦めないよ。」

『・・・・・。』

「例えスサノオの居場所が分からなくても私は・・・私達は逃げないよ。」

―――「これは俺の問題だ・・・逃げるわけには行かない。」―――

それは数百年も前の出来事の事・・・天照が初めて興味を、愛情を抱いた人間の言葉。

〘あぁ・・・これだから人間は。〙

今目の前にいる紅葩、そして生徒会の仲間達を愛しいと想っている・・・だからこそ。

『勝ち目の無い闘いに行かせると思ってる~?』

「私はそう思いませんわ、天照大御神様。」

紅葩と天照以外の第3者の声・・・この声は。

「・・・っ、お母様っ。」

そこには秋葉と生徒会のメンバー。

「この学園にこんな所があるなんて・・・。」

幼い頃から過ごしてきた場所だけに驚きは紅葩以上だろう。

『どういう意味かしら~。』

天照は正直紅葩達以外の人間は基本的に興味が無い。

 紅葩の母だろうと飲み仲間だった秋兎の妻だろうと関係が無くその声色は冷たいものだった。

「私は相手が人間だからこそ、人間如きに負けるはずが無いと思っている事こそ勝機だと考えますわ。」

同じ神として天照と闘ったスサノオに油断や隙など全く無かっただろう・・・でもそれが人間相手だったら。

「天照様はそう考えたからこそ紅葩を、この子達を闘わせてきたのではないのかしら?」

『・・・・・。』

天照は図星なのか無言・・・いつも言い負かすことができない天照を黙らせる秋葉はやはり只者ではない。

「紅葩。」

「はい。」

秋葉に呼ばれ紅葩は近づく・・・愛おしそうに紅葩の頬を撫でる。

「神だろうと椿の一族をいいように利用されるのは許さないわ。勝ちなさい。」

そういった後、秋葉は光となって消えた・・・秋葉らしい最期だ。

「あの人普通にここまで歩いてたよね・・・。」

「「やっぱ怖~~~。」」

「紅葩を貰う人の夢に普通に出てきそうね・・・蓮さん、剣頑張ってくださいね。」

「・・・・・。」

「・・・俺には関係ない。」

紅葩は静かにネックレスを握っていた・・・それを見つめていた天照。

『よ~~~し、みんなっ打倒スサノオよ~~~。』

「「「おぉ~~~~~~。」」」

生徒会の絆がまた一段と深くなった・・・。


お久しぶりです。

パソコンを心機一転させまして、これから更新頑張ります。

よろしくお願いします。

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