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26話

「「・・・・・。」」

武器を構える紅葩と武器を構えないどころか優雅に顎に手を当てている秋葉。

 前回と同じパターンである・・・この後紅葩は逆上し攻撃を仕掛けるが全く当たらず、

何で攻撃をされたかも分からず武器を真っ二つにされたのだ。

 心配そうに見守る生徒会のメンバー・・・予想通り全く動かない秋葉に変わって紅葩が動く。

 大鎌を上下左右斜め、流れるように攻撃を繰り出す紅葩だが秋葉には当たらない。

「あーこの間と同じじゃんかっ。」

「・・・嫌、よく見ろ。」

確かに秋葉は紅葩の攻撃をすべて避けてはいるが・・・。

「あの時と動きが違う。」

前回は逆上していて動きが単調だったこともあるが、それを抜いても動きが段違いだ。

「はっ。」

大鎌を一閃、秋葉は避けて紅葩の背後に回る・・・が紅葩はそれを読んでいた。

 大鎌を地面に立たせそれを軸に回転し秋葉に蹴りを入れる。

「・・・っ。」

腕でガードした秋葉だが前回とは違い余裕は見られなかった。

「いつまで手加減してるつもり?」

「ふふ覚悟を決めて動きが良くなったのは褒めてあげるさすがは私の娘ね。

  でも・・・わざと攻撃を外しているのはいただけないわね。」

当てられる攻撃はいくつかあった・・・だが秋葉はほぼ無傷。

「・・・・・。」

「私の出方を一人前に窺っているの?生意気な子・・・お仕置き、しないとね。」

「・・・っ。」

手を紅葩の方に向ける秋葉・・・ただの動作だが紅葩に悪寒が走る。

 頭上から風の切る音、紅葩は鎌で咄嗟に飛んできた何かを弾いた。

弾かれたそれは弧を描き秋葉の手に納まった。

「・・・ブーメラン?」

それは紅葩の漆黒の大鎌とは対極だった。

 大きさは片刃が秋葉の手に納まる大きさで色は真っ白、単純にみればおもちゃのような、優美な秋葉には似合っていない。

だが忘れてはならない・・・それは秋葉の武器であり、それで紅葩の大鎌を斬ったのだ。

「水上邸でのダンスはとっても下手だった。」

「・・・・・。」

前回の紅葩の闘いの事といい、あの日秋葉も睡蓮の屋敷にいたのだろう。

「私もダンスは苦手だったのよ?他人に合わせるのがどうも向いていなくて。」

理由が秋葉らしいと何も知らない生徒会も思ってしまった。

「だから何?」

ダンスと今の闘いとまったく関係ないはずだ。

 秋葉が両手を交差させる・・・その手にはたくさんのブーメラン。

「今回は上手く踊って頂戴ね?1人で。」

一斉に投げられるブーメラン、1つ1つ意識を持つように四方八方から紅葩に向かっていく。

「・・・くっ。」

1つを大鎌で斬り1つを柄で弾き、1つを身体を反らし避けるが数が多く1つまた1つと紅葩に傷が出来る。

「はぁ・・・はぁっ・・・っ。」

嵐のような連撃が止んだ頃には紅葩の制服は切れ赤黒く血で染まっていた。

「くそっ。」

まったく読めない不規則な動き・・・傷付き動き回って息が上がっている紅葩とは逆に、

戻ってきたブーメランを次々と投げる秋葉はその場から1歩も動いておらず、傷も無く息も上がっていない。

「もう終わりかしら?」

「ま、だまだ・・・私は負けないっ。」

そう叫ぶ紅葩に秋葉は愛しげに見つめた。

「紅葩はお父様に似たのね。」

「・・・・・。」

「私に勝てる事なんて何1つ無かったのに毎日の様に勝負を挑んできて・・・。」

聞いたことのない両親の馴れ初め。

―――2人が出逢ったのはラスベガスのカジノ。

椿家の跡取りとして育った紅葩の父、名を椿 秋兎あきと

 跡取りとして英才教育は完璧に熟した秋兎だが1つだけ、秋兎は賑やかな場所が苦手だった。

苦手というか人を動かすのが出来なかった、秋兎にはカリスマというものがなかったのだ。

 秋兎の両親は何とかしようと秋兎を人の多いカジノに連れてきたのだったが上手くはいかず端で人混みを見ているしか出来なかった。

そんな秋兎の前に現れたのが・・・。

「運が勝負のゲームでも貴方たちは私に勝てないのね。」

ルーレット台の前、悔しそうにしている数人の男達と優美に髪を靡かせ積み上げられたコインと男達を見下す美人な女性、ハリウッド女優の秋葉。

 当時秋葉に言い寄ってくる男達はごまんといたが誰にも靡くことは無く、

いつしか「彼女を負かした者が彼女と結婚できる。」という噂が広がり次々と勝負を挑まれるのだが秋葉は負け無しだった。

「・・・・・。」

秋兎はどうしようもなくその女性に惹かれた・・・自分には持っていないそのカリスマ性に、彼女なら自分の足りないところを補ってくれると。

 すぐに彼女に話しかけた、自分は椿家(海外でも有名)の次期当主だと。

しかし彼女は「お金にも家柄にもまったく興味は無い。」と一刀両断。

それから秋兎は秋葉に勝負を挑む。

 ルーレットを始めポーカー、ブラックジャック、丁半、スポーツではテニス、陸上、水泳、仕舞にはジャンケンや次に通るのは女か男かだの持ち込んだが秋兎は1回も秋葉には勝てなかった。

「いい加減にしたら?貴方椿家の跡取り息子なんでしょ?

  私なんかに構っていないでどこかのご令嬢とディナーでもしてきたらどう?」

初めて会った時から1年が経過しようとしている・・・秋兎は日本に帰らずアメリカにずっと滞在していた。

 秋葉のオフの日はもちろん映画の撮影の合間にも秋兎は勝負を仕掛けてきた。今ではスタッフと秋兎は顔馴染みだ。

「僕は君以外一緒になりたい人はいない。」

ここまで一途に想っている相手に少しは情を見せるものだが秋葉は見せない。

 秋葉は誰にも頼らず自分だけの力で今の居場所を手に入れたのだ、想うだけでは秋葉の心は動かない。

「・・・で?今日の勝負は何かしら?」

「コレだ。」

秋兎が差し出したのは一凛の白い椿だった。

「僕と結婚″する″か″しない″か。」

「花占いってことね・・・。」

秋葉は1枚1枚花びらを千切っていく・・・結果は″する″だった。

「私の負けね・・・こんなので負けるなんて。」

そう言う秋葉だがとてもスッキリした表情だった。

「秋葉、君の好きな花を教えてほしい。」

「花束なんて数えきれないくらい貰っているわ。」

「・・・・・「これで良い。」秋葉?」

「たった今から私の好きな花は″椿″になったから、これで良いの。」

その後、秋葉は電撃引退をして秋兎と結婚。

そして・・・紅葩が産まれたのだった。―――

「優しい癖に負けず嫌いで、芯が強くて折れない所・・・私が惚れた人。」

「じゃあどうしてお父様は死んだの?

  私は人間じゃなくっても3人でならっ。」

紅葩の目からは涙が零れていた・・・拭わないところをみると無意識に流しているのだろう。

「甘いわね紅葩・・・そんな不安定な状態で生きていると言えるの?

  椿家は消えてはならなかった、椿家は再び世界の中心になるべき家。」

「・・・・・。」

「それを邪魔するものはたとえ家族だったとしても・・・。」

「・・・・・あ。」

話が中心になり油断していた・・・いつの間にか投げられていたブーメランは紅葩の横腹を捉えた。

 崩れ落ちる紅葩・・・そんな紅葩に秋葉はゆっくりと近づいた。

「貴女がこんなに弱かったなんて予想外。

  そんなことじゃ私に勝ったとしても他には勝てないわよ。」

紅葩の目の前に立つ、ブーメランが秋葉の上に上げられる

「紅葩・・・さようなら。」

振り下ろされる瞬間・・・紅葩の身体が光りに包まれる。

「・・・っ、何?」

秋葉は急いで距離をとった。

「この感じ・・・。」

「あぁ、あの時と同じだ。」

学園祭・・・蓮がやられ睡蓮が紅葩を殺そうとした瞬間と。

「・・・・・。」

秋葉は光が納まらない内にブーメランを四方八方に投げた。

 先程と同じ死角の無い攻撃・・・が次の瞬間光から出てきたのはまるでかまいたちの様な衝撃刃が一閃、

秋葉のブーメランを蹴散らしさらには離れていた秋葉の横腹を斬った。

「・・・何なの?」

やがて光が納まり現れたのは・・・雰囲気が一変した紅葩。

「貴女・・・誰かしら?」

「嫌ですわお母様、私は″椿″紅葩ですよ。」

あの時と同じ・・・無感情で抑揚の無い喋り方。

「・・・成程、貴女は私達が産み出したモノなのね。」

「貴女がその気で無い内は出るのを止めておこうと思ったのですけど・・・先程本気で殺そうとしていたみたいだったので。

  お母様がムキになられるだなんて・・・そんなに3人で暮らすのが嫌だったんですか?もう絶対に叶わないのに。」

「・・・・・っ。」

秋葉は目を見開きブーメランを投げた。

「お母様らしくありませんね・・・こんな単調的な攻撃。」

紅葩は大鎌を振り回しブーメランをすべて叩き落すと再び衝撃刃を放ち秋葉に確実に傷を作っていく。

「強い・・・。」

「アレが・・・紅葩かよ。」

蓮は始めて見るあの紅葩を・・・。

 始めてとは少し語弊があるかもしれない・・・似ているのだ蓮と出会う前の椿家の令嬢として心を閉ざしていたあの紅葩と。

「あの紅葩なら勝っちゃうよなっ。」

「うんうん。」

メンバーは紅葩が勝つ可能性が出来たことに喜ぶが反面・・・。

「・・・でも。」

「紅葩は喜ぶかしら?」

あの状態は紅葩本人の意識は無い・・・そんな状態で秋葉に勝ったとして紅葩はどう思うのだろうか。

 何とも言えない生徒会・・・見守ることしか出来ないのだ。

彼女たちの闘いはすっかり立場が逆転していた。

息が上がり傷から血が絶えず流れている秋葉と息を上げず静かにその場に佇んでいる紅葩の姿。

(紅葩の傷が消えている・・・。)

常人より傷の治りが速い自分達であるが、一瞬で治るなど異常である。

 先程横腹に出来た傷、他にもいくつもの傷が綺麗さっぱり消えており制服の隙間からは紅葩の肌が見えていた。

「不確かで特別な存在・・・コレを見たかったわけね。」

紅葩は動けない秋葉の前に立つ。

「お母様が悪いんですよ?貴女が本来の目的を遂行するなら私は出てこなかった。」

「・・・本当ね、私もまだまだ若かったってことかしら?」

紅葩の言葉に反応してしまった自分の落ち度だ・・・と秋葉は諦めていた、その手には武器が無い。

「さようなら、お母様。」

ゆっくりと振り上げられる大鎌。

「・・・・・。」

―――「お母様ぁー。」

ソファーに座っている秋葉に抱き付く紅葩、

 その紅葩の横に座り幸せそうに微笑んでいる夫秋兎・・・とても大切で幸せだった瞬間。―――

(私が最後に逢いたかったのは・・・。)

「貴女じゃないわ。」

最高到達点に達した大鎌。

「紅葩・・・。」

振り下ろされる大鎌。

「貴女を、本当に・・・愛していたわ。」

その顔は先程まで見せていた優美な笑顔ではなく、母の笑顔だった。

「・・・・・。」

鎌が完全に振り落される・・・巻き起こる砂煙に蓮たちはどうなったか分からない。

 砂煙が晴れる・・・大鎌は秋葉の横すれすれの地面に突き刺さっていた。

「・・・・・っ。」

大鎌を振り下ろした紅葩・・・その顔には表情が戻り大粒の涙を流していた。

「・・・くすっ。」

秋葉はフラフラの足取りでその場を離れ紅葩から距離を取ると武器であるブーメランを出現させた。

 それは一際白く輝くものだった。

「まだ終わってないわよ紅葩。」

「・・・・・。」

紅葩は涙を拭い己の武器を構えた。

 今にも倒れそうな傷だらけの秋葉と先程の現象で無傷になった紅葩、

どちらが勝つか一目瞭然だが・・・2人は闘いを止めなかった。

「「・・・・・。」」

交わる2つの影・・・倒れたのは秋葉だった。

紅葩は大鎌を肩に乗せ秋葉の方を振り向いた。

「・・・やっぱり甘いわね。

  急所を外す、なんて・・・闘いを何だと思って、いるの?」

急所を外したと言っても秋葉はもう助からない・・・核であるブーメランから光が漏れ出ていた。

「″他人″にだったら容赦はしません。

  でもお母様は″家族″ですから。」

「家族の情を与えなかった私達を家族と呼ぶの?貴女は。」

紅葩は武器を消し膝を付くと、秋葉の背中を上げた。

「貴方達からはたくさんもらいました・・・あの時は苦しかっただけだけど、あの英才教育も情だったんだと今では少し分かります。」

「・・・・・。」

「お父様からはコレも戴きましたし・・・私はお父様、お母様を・・・。」

紅葩は真っ直ぐ秋葉を見つめ、真っ直ぐに伝えた。

「愛しています。」

秋葉の目から涙が零れ落ちた・・・。

「紅葩・・・ごめんなさい、あの人が死ぬ必要は無かったの。」

その言葉に驚く一同だが・・・紅葩は表情を変えなかった。

「分かっています・・・あの人は自分で死んだのでしょう?」

 秋葉はそれに驚くことなく言葉を続けた・・・。

―――秋葉は夜更け、あの海の家を尋ねた・・・そこには愛しい秋兎がいた、秋葉が来るのを分かっていたように。

「お久しぶり秋兎さん。」

「久しぶり秋葉・・・10年経っても君は変わらず美人だね。」

「秋兎さんは少し老けましたね。」

何てことない夫婦の会話・・・だがそこには甘い雰囲気などなく。

「秋兎さん、私が来た理由分かりますよね?」

「あぁ・・・紅葩に会ったよ、すべてを忘れていた。」

忘れているということは自覚もない・・・だがこのゲームが続く限り紅葩は狙われる。

 それもあるが2人が恐れていることは紅葩の記憶が戻ることだった。

2人が彼女に冷たく接し英才教育を授けたのは紅葩のためだったのだが、幼い紅葩にそのことは分かるはずもない・・・きっと記憶を持っていたら紅葩は自分たちを恨んでいただろう。

「私はこの手で何人も殺してきた・・・もうあの子に合わす顔が無いと思っていた。」

しかし秋葉は聞いてしまった・・・紅葩の記憶が戻ったこと、闘う決意をしたことを。

 だから彼女は決めたのだ・・・。

「あの子と闘うわ。」

「・・・秋葉。」

「あの子が殺られないように私があの子を強くしてみせる。」

その目には強い意志をあった・・・おそらく秋兎が何を言っても彼女の意思を変えることは出来ないだろう。

「だから秋兎さんにはこれからあの子を見守って・・・秋兎さん?」

彼の手には椿の花が刃に彫ってある小さな剣が握られている。

「僕は紅葩のことも大事だけどそれ以上に君を愛しているんだ・・・その気持ちはあの時から変わっていない。」

「・・・っ、秋兎さっ。」

秋兎のやることが伝わったのだろう。

 秋兎に近づく秋葉に秋兎は強く抱きしめた。

「紅葩は強い子だそれに彼女には仲間がいる。

  きっと僕たちがいなくても大丈夫、だけど僕は君と紅葩がいないとダメなんだだから・・・。」

秋兎は秋葉を離すと剣を自分の喉元に突き刺し光となって消えた・・・。

「秋兎さん・・・。」

秋葉の目から涙が流れる・・・秋兎の血と混じってそれはまるで血の涙・・・。彼女は決意をより強固にして紅葩に逢うことを決めた。―――

「あの人の言った通り貴女には私達がいなくても大丈夫そう・・・少し妬けるけどね。」

今までの行為は紅葩を強くするため・・・分かりにくい親の、母の愛情だった。

「お母様・・・。」

「紅葩殺して頂戴、私を・・・あの人の元へ。」

紅葩は下唇を強く噛んだ・・・紅葩がどれだけ言ってもこの人は考えを変えない。

「紅葩・・・ある男を探しなさい。

  私に紅葩が記憶を取り戻したと伝えた男、貴女はあの夜彼に会っている。」

紅葩には心当たりがあった・・・泥棒と闘っていて殺られそうになった時助けてくれた男性。

「探せって言われても顔見てないし・・・。」

「いいえ″貴女″なら分かるはずよ。」

確かに意識を失くす寸前、他の人とは違う″何か″を紅葩は感じていた。

 それは仲間が発するモノと似ているが少し違う・・・あの男性は何者なのだろうか。

「その男の先には・・・。」

「・・・っ。」

秋葉との対峙よりも感じる悪寒・・・紅葩は大鎌でその正体を弾いた。

「・・・ほぉ。今のを防ぐか。」

紅葩が弾いたのは一本の刀・・・それは不思議な事に宙を浮いていた。

 母をそっと寝かすと紅葩は立ち上がり武器を構えるがそこには刀が浮いているだけで人影は見当たらなかった。

「・・・我を探しているのか?」

「・・・・・貴方は。」

その影の人物に紅葩と、蓮は驚いた。

 その人物は海の家で紅葩と不思議な会話をし、あの時紅葩を助けたであろう男性だった。

「無様だな、娘に合わせてやったのにその様とは。

  つくづく人間という者は愚かで予想以上だな。」

そう吐き捨てた男の手には先程まで浮いていた刀が握られていた。

「・・・あの人も・・・仲間、なの?」

「・・・・・違う。」

咲良の呟きに反応したのは男性ではなく紅葩だった。

 その紅葩の頭には警戒音が鳴り響く・・・この男と対峙してはまずいと・・・。

そんな中、蓮達の後ろから男性に向けられて何かが投げられる。

 男性は特に驚きもせずそれを受け取る・・・それは生徒会のメンバーも1度見たことのある。

「紅葩の誕生日の時に届いたブレスレット・・・。」

そのブレスレットはある人が紅葩から押収した・・・その人物は。

「「天照っ。」」

しかも人間の姿ではなく天照大御神で、いつものふざけた雰囲気は少しもなかった。

『あたし達神にとって力の源である″神の輪″。

  それを紅葩にあげた理由を教えてくれるかしら?』

男性を指差す天照・・・その腕には投げたブレスレットと同じ物が着けられていた。

『あの時の様に気まぐれ・・・なんて言わないわよね?″スサノオ″。』

全員が驚愕の表情を出す。

「クックックッ・・・。」

男の口角が妖しく上がりその場を光が包む。

 光が納まるとそこには全員が忘れることのできない姿があった・・・。

人では無いモノ、禍々しい・・・がどこか神々しい気を放つモノの名は・・・。

「「「「「「スサノオッッッ。」」」」」」

自分たちをこんな身体にした張本人である素戔嗚尊。

みんな反射の様に武器を出すがスサノオが手を翳した瞬間、衝撃波がみんなを襲い次々と吹き飛ばされた。

「・・・っ、みんなっ。」

離れた場所にいる紅葩はそれ程の衝撃は無かった・・・校舎に激突する直前暖かい風がみんなを包み地面に降ろした。

『フンその位の力は戻っていたか天照。』

『そうこなくては面白くない』と神の姿になったスサノオの手に再び刀が握られる・・・そこに突っ込むのは大鎌を手にした。

「スサノオッ。」

紅葩の振り下ろされる大鎌を刀で受け止めるスサノオ。

(ビクともしない。)

片手で受け止めているにも関わらずスサノオは1歩も動かなかった。

「紅葩よ・・・不完全な玩具であるお前が1番我の力を備えるとは。」

「・・・・・。」

スサノオの顔には厳つい鬼の様な能面が上半分を隠し口元だけ分かる。

 その口は愉悦たっぷりに上がり紅葩の攻撃など毛ほども効いていなかった。

「紅葩、もっと闘い強くなれお前ならこの闘いに勝ち上がるだろう。」

「・・・「その時はまた再び相見えよう我の玩具よ。」・・・。」

そう言い残しスサノオはその場から消えた・・・崩れ座る紅葩。

 そこに駆け寄るメンバー。

「紅葩大丈夫か?」

「うん・・・・・お母様。」

秋葉は静かに眠っていてホッとする紅葩・・・永かった1日が終わった・・・。

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