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14話

夏休みの黒天学園の寮の1室、剣はいつも通りの時刻に起きる。

「・・・咲良?」

隣の咲良のベットは空・・・いつも自分が起きた頃には爆睡している咲良がいない。

(生徒会室か?)

部活に来る人間以外学校いるのは自分たちだけ、剣は制服に着替え生徒会室に向かった。

 廊下に人の気配はなく剣の靴音が響く・・・と思っていたら1人壁にもたれかかる人影。

「ほらよ。」

「・・・・・。」

剣に投げられる何か・・・リンゴだった。

「好きだろ?リンゴ。」

「・・・蓮か。」

剣はもらったリンゴを躊躇いもなく口に含む・・・甘い味が口に広がる。

「お前、今年も忘れてるだろ。」

「・・・あぁ、今日だったな。」

今日は剣の誕生日・・・夏休みにも関わらず、女子生徒が学校に来ていたのを思い出す。(双子が対応していた)

「蓮は毎年リンゴだな。」

「誕生日なんて祝う柄じゃないからな。」

頭を掻く蓮、それでも毎年誕生日には何かしら貰っている。

「紅葩には良い物をやるんだろうな?」

「・・・何でアイツが出てくんだよ。」

「蓮は分かりやすいときは分かりやすいからな・・・リンゴありがとう。」

剣はリンゴを齧りながら生徒会室に向かった。

「・・・可愛くねぇ。」

蓮は剣とは反対方向に足を進めた。

 生徒会室に近づくと廊下からでも聞こえてくる騒がしい声、剣は口角を上げながら扉を開く。

クラッカーの音が剣の耳に届く。

「「「「誕生日おめでとうっ。」」」」

蓮以外の生徒会メンバー及び天照の歓迎。

「ありがとう。」

素直に嬉しい剣は綺麗に微笑んだ。

「うちからはコレ~剣手入れ大変そうだから奮発しましたっ。」

それは最新式のアイロンだった。

「ありがとう・・・だがアタシよりも咲良が使った方がいいんじゃないか?」

「うちはこれでいいのっ。」

最早、咲良の髪形となった寝癖はアイロンでは直らないだろう。

「オレたちは・・・。」

「剣なら絶対モテるよ~。」

双子からもらったのはポーチ・・・その中身は。

「男装道具?」

紅葩は顔を顰めた・・・男装用のメイク道具に、オマケにメイクの仕方まで入っていた。

 どこで売っているのやら・・・。

「使える機会があればいいのだが・・・。」

「使える機会って何だろうね・・・。」

「あたしからはコレね~剣は大人っぽいからきっと似合うわよっ。」

天照からのプレゼントは薔薇の香りがする香水。

「・・・・・。」

剣は大人っぽいとはいえまだ高校1年生・・・男装道具といい使う日はあるのだろうか。

「わたしからはコレ。」

璃莉からのプレゼント、【AKIRA-剣-】と赤色でデザインされた携帯ストラップ。

「ありがとう。」

最後は紅葩から・・・。

「物じゃないからアレなんだけど・・・。」

「うわ~美味しそうっ。」

お店に並んでも遜色ないリンゴのタルト。

「・・・・・。」

剣の普段崩れない表情が崩れた。

「紅葩~何でリンゴなのかしら~?」

「え?だって剣ってリンゴ好きなんでしょ?」

蓮以外の人は知らない剣の好物。

「紅葩・・・何でそう思った?」

「この間フルーツの盛り合わせみんなで食べたでしょ?

  そのとき剣がリンゴ食べてていつもより嬉しそうだったから。」

違った?という風に首を傾げる紅葩に驚きを通り越して感心してしまう。

 自分は自他共に認める程感情が顔に出ないと思っていたのに・・・。

「・・・ありがとう紅葩、すごく嬉しい。

  ケーキも、このタルトも。」

ケーキにも定番のイチゴではなくウサギ型に切られたリンゴがトッピングされていた。

「剣が喜んでくれて良かった。

  でも私だけ形じゃないのはちょっとな・・・他に欲しいものある?」

「他に・・・か、なら。」

「・・・・・?」

剣は紅葩の手を握り、口角を上げた。


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