幕間 一 ある副官の私信
ティトゥス・ラビエヌスより、ガイウス・ユリウス・カエサルへ。
ご健勝を祈る。
貴殿が幕僚へ加えた青年について、報告を求められたので記す。
ルキウス・アエリウス。二十四歳。騎士階級。父は属州で軍需と徴税請負を営む。本人に軍歴はない。剣も使えぬ。馬は乗れるが上手くはない。
結論から書く。私はこの男が好きではない。
理由も書く。
第一に、この男は自分の成果を自分で疑う。赤痢が減った時、私が「偶然だろう」と言うと、あっさり「その可能性はあります」と認めた。功を誇らぬ男は稀であり、通常は美徳とされる。だが軍においては違う。兵士は、迷う指揮官に命を預けない。この男が百人隊長であれば、三日で部隊が崩れる。
第二に、この男は数を数える。それも異様な熱心さで数える。誰がいつ倒れ、どの水を飲み、どの天幕で寝ていたか。私は三十年、兵士の顔を見て動けるかどうかを判断してきた。この男は、その三十年を木の板の上の印に置き換えようとしている。
不快である。
第三に、これが最も厄介なのだが――板の上の印は、当たる。
私は貴殿へ嘘を書かぬと決めているので、そのまま書く。手を洗わせ、便所を移し、病人を分けた天幕では、患者が減った。他の天幕では減らなかった。私が四日と言い、この男が七日と言い、五日で妥協した。五日目に、数字は下がっていた。
もう一つ書いておく。
三日目に、この男は寝ていなかった。四日目も寝ていなかった。書記に聞くと、患者の脈を数えていたという。幕僚の仕事ではない。
私はこの種の人間を知っている。若い頃、同じような百人隊長がいた。彼は全部を一人で背負い、二年で死んだ。部隊は彼を惜しんだが、彼がいなくなった後、何も残らなかった。彼が全部を自分の頭の中に入れていたからである。
この青年も、おそらく同じ道を行く。
貴殿は、この男を使うつもりであろう。止めはしない。有用である。だが一つだけ申し上げる。
有用な人間を壊すのは、たいてい、その人間を有用だと気づいた者である。
追伸。
この男は、私の名を初めて聞いた時、明らかに顔色を変えた。名乗ってもいないのに、である。属州の商人の息子が、なぜ私の名を知っていたのか。
些細なことだ。だが、私は些細なことを覚えておく癖がある。




