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042_ダンジョン『石の塔』虫モンスター

感想・レビューお待ちしております。

雪原エリアにもボスらしき者はいなかった。

ボスがいないので、ボスエリアで少しの休憩を挟む。

マントで体を暖めたとはいえ、雪道を歩くのは体力がいるので体力の回復を図った。

そして、満を持してアウトドアーズこと、エメ・ロザミアコンビが再び出陣するはずだったが。


「今度は少し蒸し暑いですわね」

「緑が一面に…」

「…えっと、木々が鬱蒼と生い茂ってます!」

「次はジャングルか」


雪原の次はジャングルだった。

先ほどの寒さに慣れてしまったせいか、このエリアでは蒸し暑く汗がじわじわと吹き出てくる。

本当にダンジョンとは面白い構造になっている。



「早速、敵性反応がありますね。結構な数が向かってきます」

「早速来ましたわね!わらわらと相変わらず群れをなして…って、む、虫ですわ!?」



【ステータス】

キラーマンティス

年齢:32歳

ランク:B


Lv:43

HP:765/765

MP:278/278

力:734

体力:432

早さ:832

魔力:266

運:24


【スキル】

『捕食』「韋駄天スキル」




【ステータス】

ポイズンスパイダー

年齢:3歳

ランク:C


Lv:31

HP:321/321

MP:115/115

力:345

体力:234

早さ:421

魔力:177

運:20


【スキル】

『捕食』


「キラーマンティスがBランクに、ポイズンスパイダーがCランクか。そんなに強くないモンスターだが、先ほどのエリアに比べると数が多いな」

「ひ、ひぃぃ、気持ち悪いですわ」

「ポイズンスパイダーは名前からするに毒には注意ですね。私はゴーレムボディなので毒は効きませんが」

「クロエは平気なのか?」

「…えっと、はい。奴隷生活が長かったので、蜘蛛やムカデなんか見慣れてますよ」

「そうだよな…。ロザミア、キツかったら変わるけど?」

「だ、大丈夫ですわ!!」


ロザミアはそう言うなり、いきなり魔力強化で魔法剣を振るい始めた。


「おいおい、いきなり本気かよ?」

「魔法剣発動。炎魔法付与!」


虫には炎か。

その姿が気持ち悪いなら一気に燃やし尽くすというロザミアなりの発想だ。


「キ、キシャアアア!」

「シャアァアァ!」

「ギギギギギギギギ!!」


炎剣で、虫モンスターを斬り燃やし尽くしていく。

凄まじい威力なので掠めただけでもモンスターはそこから炎が燃え広がり、その身を焦がしていく。


「はぁ、こんなに暴れられたんじゃ私も入れませんね」

「みたいだな…、しかし炎が木に燃え移ってるんだが」

「…あわわわ、火事です火事!」


ロザミアが一人奮戦したおかげで虫モンスターの群れは倒し尽くしたのだが、その飛び火が木に移り火事になりかけていた。

俺は水魔法が付与されたゴーレム剣を取り出し、消火活動をする。

おそらくダンジョン内の構造物なので、木が燃えてしまっても回復するような気はする。

だが、燃え盛る森の中での戦闘は避けたい。


「うぅぅ、すみませんわ。虫だけは苦手ですのよ」

「…苦手な物は誰にでもありますよ」

「こうなったら俺達も参加でも構わないか?ゴーレムを出せば、近くで虫を見なくて済むしな」

「仕方ありませんわ…」

「…えっと、私もがんばります!」

「ああ、だけど毒持ちもいるからな。気をつけるんだ」


気を取り直して、奥へと進む。

さすがにみんなダンジョンに慣れてきたのか、警戒をしつつも足取りは初期の頃と比べると軽くなっていた。

ただロザミアだけは粛々と俺達についてきていたが。


「…えっと、綺麗ですね!花が咲いてますよ」

「綺麗…」

「…えっと、エメさんも綺麗って思ってくれるんですね!」

「え、ええ。しかし見たことない花ですね。私が記憶してる限りではこの花の種類は知りませんね」

「ダンジョン産の花という事か?うーん、僅かだが魔力を纏ってるな。もしかするとこのダンジョンの魔力当てられた植物が通常とは違う花を咲かせたとかか」

「…魔力でですか?」

「ああ、魔力は生命力みたいなものだからな。そのおかげで花が変わったと考えられるな」

「ダンジョンのモンスターもそうですね。通常とは違う強個体などが発生しやすいのはダンジョンの魔力のおかげとか」

「…えっと、モンスターもですか。けどそのおかげで綺麗な花を見れたのは、ご主人様達についてきて良かったです」


クロエは木に成る花を手元へたぐり寄せると、その香りを嗅ごうと顔を近づける。


「危ないですわ!!」

「え?」


ザシュ


「ギ、ギギギギィィィ…」

「…モンスター!?」

「この花につられて、虫モンスターが集っていますね」

「ひ、ひぃぃぃ」

「防御隊、俺達の周りに陣を取ってモンスターを防げ!攻撃隊は遊撃。エメの邪魔にならないよう殲滅だ!」

「わ、わたくしもやれますわ…!」

「そんな青ざめた顔で大丈夫か?」

「大丈夫ですわ。少しでも慣れませんと…」

「ああ、無理はするなよ。それと」

「分かってますわ。もう火は使いません」


虫モンスターは隠れていたのか、先程の一体が倒されると一斉に姿を現した。

ロザミアはひぃひぃ言いながらモンスターを斬り伏せていく。


「き、気持ち悪いですわね!!」

「キシャアアアア!」

「ひぃぃぃぃ!」


涙目になりながらも、的確にモンスターを相手していく。

さすがに戦い慣れているだけはある。

相手に怯えながらも、反復で体に染み付いた行動で剣を振り回す。


「キシャァァ!!」

「…えい!」

「キシャァッ!!?」

「…捕らえました。ゴーレムさんお願いします」


クロエは的確に距離を取りながら、鎖を振り回していくとキラーマンティスを雁字搦めにして捕らえる。

そしてゴーレムを上手く使いながら、確実に一体一体倒していく。

クロエを連れてきたのは正解だった。

当初の予定していたパワーレベリングはもちろんだが、戦う事に慣れてきていた。

前回の誘拐があったから戦う事に拒否反応を示すかと思ったが、そんな素振りは見せない。

クロエは誰よりも心が強いのだろうと感じた。


「はっ!」

「キギギィ…」

「せいっ!」

「キシャァァ…」

「やぁっ!!」

「グギギギ…」


エメは変わらずモンスターが一瞬でも自分のテリトリーに入れば、的確にモンスターを叩きつけていた。

叩きつけられた虫モンスターはひっくり返り、気持ちの悪い液体を垂れ流しながら死んでいく。


「うっ、ロザミアじゃないがさすがにあれは気持ち悪いな。実物の虫よりもモンスターだと大きいから余計に嫌悪感が…」


俺もゴーレムを操作し、みんなの援護に周る。

何匹かにゴーレムが噛まれる感覚が来るが、問題はない。

ゴーレムの金属体では毒など気にせず戦えるのはありがたい。

エメも気にせず、前へ出て次々と虫モンスターを殲滅していく。


「お、終わりましたわね。これなら、先程のリザードマンの方が十分楽でしたわ」

「その割には見慣れてきたみたいだな」

「ええ、こんだけの数を見ていればさすがに。ですが、嫌悪感までは消せませんわ」


モンスターと言えど、虫故にどこに潜んでいるかはわからない。

今回のを機に、より周りを注意しながらさらなる奥へと進んでいく。




「よし、何もないと思うけど、警戒を忘れるなよ」


俺たちは虫の大群を相手にしつつ、やっとこのエリア最奥の扉を発見した。

このエリアはモンスターの数が異様に多い以外はAランク以上のモンスターは姿を見せてなかった。

その事もあってか、扉を開ける前に確認をした。


「はぁ、もう何が出てきても驚きませんわ」

「…はい、私も大丈夫です!」

「問題ありません」


「よし」


扉を開く。

今までと同じくボスエリアらしく、大きな広間が拡がる。

だが他のエリアと違う点が一つ。


「巨大な蜘蛛の巣!」

「う…、嫌な予感しかしませんわ」

「…あの繭みたいのは、餌でしょうか?」

「そう見えますね。ですが、この巣の主は見えませんね」

「そうですわね。けれど虫はどこにいるか分かりませんから、気を引き締めませんと!」

「ああ、そうだな。って、あの繭動いていないか?」


ボスエリアは巨大な蜘蛛の巣があちらこちらに張られていた。

そして天井からぶら下がるように、餌となる繭がいくつも浮かんでいる。

そのうちの一つが大きく揺れる。

繭は大きく揺れると、ぶら下がる糸がプツリと切れ地面へと落ちる。


「い、一体、何でしょうあれは?」

「…見てきましょうか?」

「ひっ、で、でも何が出て来るか分かりませんわ!」

「何でしょう、あれ?」


上から大きな影がゆっくり降りてくる。

すぐにその正体に気付く。


「でかい蜘蛛だな」

「ひぃぃぃぃぃ!」

「…えっと、ロザミアさん見慣れてきたんじゃないんですか?」

「あ、あんなサイズのは初めてですわよ!」



【ステータス】

ヴェノムクイーン

年齢:59歳

ランク:A


Lv:55

HP:1156/1156

MP:531/531

力:987

体力:723

早さ:1011

魔力:498

運:43


【スキル】

『糸』『毒魔法』『捕食』「韋駄天スキル」



「Aランクか。こいつがここのボス代わりという事らしいな。気をつけろよ、こいつは毒での魔法も糸も使うみたいだぞ」

「厄介ですね。糸は絡められれば動けないですし、毒の魔法も危険な気がします」

「…あれ、エメさんは毒は平気なのでは?」

「以前戦った相手に腐蝕毒という特殊な毒を使う相手がいましたからね。金属を溶かしてしまうのですよ」

「どの道、毒には気をつけないと駄目だという事だな。勿体無いが俺のゴーレムなら幾つか失っても平気だ。俺が引き付ける間に仕留めてくれ」


ヴェノムクイーンは落ちた餌に夢中だ。

今ならやれるかもしれない。

そう思った時、奴が食い散らかした餌の一部がこっちに飛んできた。


「腕!?」

「ひぃぃぃぃぃ!?!?」

「…まさか、あの中身は?」

「人…でしょう」

「冒険者だ、たぶん。異変が起きた際に取り残された冒険者だろう。彼らも冒険者になった時にこうなる事は覚悟してたはずだ。だが…さっきみたく生きてるのなら早く助け出そう」


俺は魔力を込め、いつものように念じる。

幾つもの魔法陣が現れ、光が溢れる。


「召喚!」


数十体のゴーレムを召喚。

膝を着き、主人である俺の命令を待つ。


「行け!」

「「「了解」」」


ゴーレム達は食事中のヴェノムクイーンに向け、攻撃を開始する。

続けて、エメ達も仕掛ける。


「キ、キシャャャアアアア!!」


突然の大軍に襲われ、驚いたヴェノムクイーンは飛び退き蜘蛛の巣へと登る。


「ちっ、厄介だな」

「わたくしがやりますわ」


真眼がロザミアの魔力を捉える。

赤熱の魔力がロザミアの中を駆け巡り始める。


「駄目だ、ロザミア!」

「え、どうしたんですの?ここはジャングルじゃありませんわよ」

「繭の中に人がいたら一緒に燃えてしまうぞ!」

「そ、それは確かにそうですわね。ええい、なら他の魔法で!」


ロザミアは渋々と風の魔力を剣に纏わせ、ゴーレムを足場に蜘蛛の巣にいるヴェノムクイーンに斬りかかる。


「これで如何ですか!?」

「ギシャアアアア!!」


だが、蜘蛛の巣の上にいるヴェノムクイーンの方に分があった。

攻撃を躱したヴェノムクイーンは口から糸を飛ばすとロザミアがそれに絡めとられながら地面へと張り付けられる。


「いやぁぁぁ!」

「まずい!」


ヴェノムクイーンが魔力を高め、何かをしようとしてるのが分かった。

俺はロザミアの近くにあるゴーレムを操作して防御させる。


「シャアァァァァァァ!」


禍々しい牙を広げ、口から毒玉を吐き出す。

ロザミアを庇い、直撃したゴーレムはゆっくりとその体を溶かし始めた。


「エメの言う通り、金属も通す毒か…。また今ので一体損失させてしまった」


ゴーレムを盾にし、クロエが急いでロザミアを救出する。

ともかくあの蜘蛛の巣を何とかして、ヴェノムクイーンを地面に降ろさないと被害が広がるだけだ。

俺は風魔法の込められたゴーレム剣を取り出し魔力を込める。


「俺が蜘蛛の巣を何とかする!」


剣に込められた魔力に反応し、ヴェノムクイーンは俺を標的にし始める。

だが俺もそれを読んで、複数のゴーレムを盾代わりに自身の前方へ移動させる。


「マスター!」

「大丈夫だ、こいつらが攻撃を庇ってくれる!」


とはいえ、今から放つのは高位の風魔法だ。

まだ時間がかかりそうだ。


「…えっと、こっちです!」


突然、クロエの鎖がヴェノムクイーンを襲い始める。

鎖の先端にある刃がヴェノムクイーンに突き刺さる。


「キ、キシャャ!!?」

「私もいますよ!」


隙を取られたヴェノムクイーンに高く飛び上がったエメの一撃がヒットした。


「ギシャアアアア!!」


二人が撹乱をしてくれたおかげで、風魔法の詠唱が完了する。


「二人とも離れろ!」

「「了解!」」


ゴーレム剣の魔力が最大限に高まる。


「喰らえ、ディバインストーム!!」


ヴェノムクイーンの真下から風が渦巻き始める。

風は風を呼び、その勢いと激しさが増し巨大な竜巻を発生させる。

竜巻内は無数の風の刃が飛び交い、中にいるものを切り裂いていく。

蜘蛛の巣はもちろん、ヴェノムクイーンも。


「どうだ、これで厄介な蜘蛛の巣も」


竜巻は徐々に勢いが衰えていくと、中にいたヴェノムクイーンは地面へと落ちてくる。

倒れてるヴェノムクイーンは体中から体液を溢れさせ、脚の幾つかは切り落とされたのかなくなっている。


「ギ、ギギギ、ギシャ」

「まだ生きてるか、渋といな」

「今度こそ、わたくしが!!」


ヴェノムクイーンにトドメをと、タイミングを見てロザミアが飛び出す。

剣にはさっきと同じく風の刃が渦巻いている。


「トドメですわ!!」

「ギシャアアアア…」

「ふぅ、やりましたわね」

「ああ、そのようだ。蜘蛛の巣が厄介とはいえ、地面に落としちゃえばそうでもなかったな」

「さすがに私も蜘蛛はこりごりです」

「…そうだ、救出しないと」

「ああ、手分けして生きてる人がいないか探そう」

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