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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
227/344

-Chapter25-

「な、なんでですか!? 虹魔法使いなら、なんだってできるでしょう!?」

 刀祢は驚きに立ち上がって言った。そんな彼に、弥奈さんは次の言葉を言うべきか迷いを見せていたようだが、

「死んだ人は……蘇らないんです」

 意を決したのか、その言葉を口にした。刀祢はその言葉に驚き、まるで何か助けを求めるように、俺の方に視線を投げかけた。俺は何と答えてよいか分からず、視線をそむける。死人を甦らせるなんて、そんな恐ろしいことがあっていいはずはない。そう思う反面、大切な人を取り戻せるなら、何だってしようとする彼の感情もよく分かるので、うまく応答できないのだ。

「そんな、それは……でも、だって……」

 刀祢は周囲を見渡しながら、何かの言葉を持っているようだった。きっと彼女の今の言葉を否定してほしいのだろう。……だが、彼女の言葉を否定するものは誰一人としていなかった。

「う、嘘ですよね……?」

 彼は光を失った目で、弥奈さんにすがる。彼女は触れられたとき、彼女は一瞬震えたが、そのまま、

「ごめんなさい……できません」

 と言った。そのとき、彼は何かに絶望したような表情を見せる。彼は何かもがくように床にしゃがむ。すると、その床から黒い渦のようなものが染み出て来ているのが見えた。

「な、なんだこれ!?」

 俺は戸惑いの声を上げる。

「これは、まさか……!」

 舞は何かに気付いたのか、魔法を使ってその黒い渦に攻撃しようとしていた。しかし見た感じ刀祢に攻撃をしようと見て取れなくもないので、

「何やってるの!? そんなことしたら今度こそ死んじゃうよ!」

 怜は舞の魔法を放とうとする手を押さえ、彼女の魔法を妨害する、

「え、ええと、なんとか、してみないと……!」

 代わりに弥奈さんがなんとかしようとしてみるが、彼女の放ったシャボン玉は彼の黒い渦にふれるとぱちんとはじけてなくなってしまう。彼女の表情を見ると、あまりうまくいっていないことが分かる。

「ど、どうして……!?」

 彼女はそう言う。

「……」

 杣だけが冷静にことの成り行きを見ていた。……いや、

「何が、起きて……!?」

 冷静ではないみたいだ。今までの杣の様子とは少し異なった表情を見せる。

「う、ぐッ……ア、うぁ……!」

 彼は呻き声を上げる。その声は部屋中に反響する。するとその黒い渦は刀祢を飲み込んで、床の下へと消えていった。

「今のは、一体何だったんだ?」

 杣の表情をみたおかげか、俺の混乱は一足早く落ち着き、話題を切り出すことができた。

「分からない。ただ、なんだかすごく危険なもののような気がしたよ」

 次に我に返ったのは朔らしく、彼は彼の見解を述べた。その後彼は少し頭を押さえたが、頭痛でもしたのだろうか? あの黒い渦の影響……いや、それなら俺も頭痛がするはずだから違うか。

「私の、魔法でも、あれを、取り除くことが、できません、でした……本当に、何だったの、でしょう」

 弥奈さんはどこか責任を感じているようだ。

「渦、黒い……なんだっけ、何かひっかかるんだよね……」

 怜には何か思うところがあるようだ。……もしかして、何か知っているのか?

「……」

 杣は元の表情に戻っていたが、まだ何か戸惑いの感情を抱いているようだった。

何に対してその感情を抱いているのだろう……彼女のことを理解してやれない俺に少し歯がゆさを感じていると、

「あれ……私、一度見たわ」

 舞が唐突にそんなことを言った。杣も知らないことを、彼女は知っているのか?

「あれを見たって……、どこで!?」

 俺がそう尋ねると、ちらと朔と怜の方に向かうと、

「裏通り……と言っても、分からないかしら。いいわ、連れて行く」

 舞はそんなことを言って、部屋に出ていく。朔が彼女に付いて行ったので、俺たちも付いていこうとする。すると、弥奈さんが俺を一度引き留めて、

「あの、これ……」

 と言って、俺の手にシャボン玉を送ってきた。そのシャボン玉は俺の体の中にすうっと中に入る。

「……お守り、です。なんだか、嫌な、予感が、するので……」

 弥奈さんはたどたどしくそう言った。お守り……俺の身に危険が迫ったら、この魔法が発動したりするのだろうか?

「ありがとな」

 俺がそう言うと、弥奈さんは俯き、そそくさと部屋から出て行った。

 俺たちが舞に着いていって歩いている途中、舞が俺と杣の方に寄って、

「裏通りのこと、あんたたちは知ってると思うけど、なるべく知らないふりをしなさいよ」

 そんなことを言った。怜と朔、そして優奈は三人で個別のやりとりをしていたので、この声は聞こえていないようだ。何かを隠蔽したいのか、舞はどうしても俺たちとの関係を隠したいらしい。その点に疑問を感じながら、俺は同意し、裏通りへの道を歩いて行った。ふと、誰かに見られているような気がして振り向くが、そこには何もいなかった。ただ、どこか影の色が濃くなっているような気がした。

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