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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
226/344

-Chapter24-

「別に自己紹介とかいいのよ。最初に要件は話したでしょ? なんであたしたちを襲ったのかって」

 舞は先ほどと同じような質問を繰り返した。……最初の要件があれだけなら、誰だって混乱すると思うのだが。

「お、襲った!? 何言ってるんですか、僕がそんなことするわけがっ!?」

 覚えがないのか、刀祢という少年は事実を否定しようとする。が、その途中で舞が魔法を使って彼の近くに炎を出したため、彼は苦痛の声を上げる。

「しらばっくれてもいいけど、もっとひどい火傷になると思うわよ?」

 舞はどこか冷めたような目で、刀祢を見つめていた。ふと、朔が彼に同情したのか、舞の行動を制止させようと手を伸ばしていた。もし彼が手を伸ばしていなかったら、俺が手を伸ばしていたかもしれない。

「何? 今こいつがあの出来事を覚えているかどうかは別として、こいつは人を殺そうとしたのよ? 別にこれぐらいしてもばちは当たらないと思うけど?」

 舞は朔の方を向いて言う。妙に刺々しい口調なのは、彼女が今苛立っているからなのだろうか? 舞にとっては、俺たちを襲った相手がしらばっくれているのだと思っているのだろう。だが、なんとなくそれよりも複雑な事情が彼の中に隠れているような気がするのだ。

「それは違うと思うよ。彼が望んでしたことじゃないだろうしっ!?」

 朔が説得を試みようとするが、舞は炎の魔法を出してそれを拒絶する。

「だから何? たとえ正当防衛であろうと、大義名分があろうと、人殺しは人殺しでしょ? 十分な報いは受けるべきよ」

 舞はまるで強調するかのような口調で、朔に言った。そこまで強く言う理由は一体何なのだろう? 俺は考えつつも、ずっと炎におびえている刀祢をなんとかしてあげたいと思っていた。しかし、急に俺が動き出しても彼女が炎で制止するだろうし、何かいい方法はないものか……と思っていると、

「ひべっ!? つ、冷たい!」

 急に刀祢がそんな声を漏らした。見ると、彼の全身がずぶぬれになっていた。バケツなんて近くにあるはずもないし、この水は――。

「舞、何やってるの?」

 怜だった。彼女はどこか怒っているように見えたが、その怒り方はどこか不自然さを感じさせる。何か、俺たちと怜の間に何らかの相違点があるかのような……。

「何って、質問してるだけよ」

 舞はあからさまな敵意を持って怜に応答していた。彼女は俺の感じている怜と俺たちとの相違点に気付いているのだろうか?

「それが、質問? ……ううん、そこじゃない。今、何をしたの?」

 怜の声色がどんどん冷たくなっていく。舞の挑発に乗っているのが目に見えて分かるほどだ。その様子に気付いてないのか、それとも気付いている上で話をしているのか、彼女はさらに怜を煽っていく。

「今……ねぇ。邪魔しようとしてる人がいたから」

 その言葉の直後、怜の右手と左手に氷のようなものが現れているのが見えた。まさかここで舞を攻撃する気か? 皆その違和感に気付いてはいるものの、実際に行動を起こしかけていることに気付いているのは、もしかして俺だけ――。

「そういえば昨日、私たちの方で一つ進展があったよ」

 ふと、杣が声を上げた。進展……? 何かあったか? そういえば、弥奈さんが虹魔法使いだと知ったな。ただ、俺はそれを杣にも話していないし、他の進展があるのかもしれない。そう考えながら杣の方を見て話を聞いてると、

「彼女、弥奈さんのことだけど……どうやら彼女、虹魔法使いみたい」

 その言葉に、俺は目を見開いた。もしかして、弥奈さんが杣にも話したのか? そう思って弥奈さんの方に顔を向けたが、彼女は首を振る。……では、どうして彼女は弥奈さんの魔法について知っているんだ?

「虹……魔法使い!? 本当に!? 本物ですか!?」

 俺がそれを聞くより先に、刀祢が縛られた状態のまま起き上がってそう言い、転倒する。しかし彼はすぐに起き上がり、

「お願いします、妹を甦らせてください……!」

 と、言った。彼にも妹がいるのか。

「……妹?」

 同じように妹を持つ人としてなのか、朔が言葉を反復するように反応する。

「はい。僕には妹が一人いる、いえ、いたんです」

 刀祢は後半。顔に暗い表情を見せながら言った。先ほどの言葉からすると、刀祢の妹は既にこの世にはいないらしい。それが原因であのときのような凶暴な行動に出たのだろうか? いや、妹を亡くしたショックが大きすぎて二重人格になってしまったのかもしれない。

「え、えっと……そう、ですか」

 弥奈さんはきまずそうに答えた。最初からあまり口数が少なく、やり取りも幾ばくかの感情を抱いてはいるようだが、あまり表に出すことの無い弥奈さんだったのだが、今は明らかに困った表情をしていた。彼女はしばらく悩んだのち、答える。

「えっと……ごめん、なさい」

 そう言った弥奈さんの表情には、同情と悲しみと自分への嫌悪感が混ざっているような気がした。

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