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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
225/344

-Chapter23-

「あ、す、すまん……」

 俺は弥奈の方を向き、頭を下げて謝る。

「あ、い、いえ、いいんです」

 弥奈さんは手を振って、頭を上げるよう頼んできた。俺が謝っているのに俺がお願いされるというのは妙な気分だが、彼女の言うことには従っておくべきだろう。

「とりあえず、これで一応はそろったのかな」

 杣が確認するように俺と弥奈さんの間に入って言う。俺と弥奈さんは頷く。そして彼女は手を差し出し、俺と弥奈さんはそれを掴んだ。弥奈さんはやはり何かしらの抵抗を感じているみたいだが、少しの逡巡の後に杣の手を取った。視界が暗転すると、そこは商店街のファミレスの前だった。やはり人気は少なく、俺たち以外の人はいないかのように思える。

「――ん、やっぱりこうやって移動してきたのね。まぁ、あたしとしては時間を短縮できていいんだけど」

 ふと、ファミレスの中から、赤いポニーテールの少女が現れた。おそらく彼女が昨日の電話の相手だ。……昨日話したことは分かるのだが、どうしても彼女の名前が思い出せない。

「ん、どうしたの? あたしになんか用?」

 頭を悩ませていると、視線に気づいたのか、彼女が俺に声を掛けてくる。

「あ、いや……」

 おそらく忘れているのは俺だけなのだろう。なかなか言い出せずにいると、

「舞さん、時間を短縮したいなら、今すぐ出発した方がいいんじゃないのかな?」

 杣が彼女の名前らしきものを呼んで、提案をした。そのとき、ちらと俺の方を見たのは気のせい……ではないだろうな。もしかしたら彼女は俺の事情を何かで知って、フォローしてくれたのかもしれない。俺は心の中で杣にお礼を言う。

「……そうね。あと、今からは歩いていくことになるんだけど、いいかしら?」

 舞がそう言うので、俺は少し疑問に思って聞いてみる。

「――ん? あぁ、色々とね……あたしは杣のことを信頼していないわけじゃないけれど、頼りきりってわけでもないから」

 舞はそう言いながら、舞と杣の間には、何らかの関係があるようだ。そういえばこの二人の関係については、ほとんど知らないな……。

「私は別に問題ないよ」

 杣は小さく頷く。ふと弥奈さんの方を見ると、彼女も頷いていた。どうやら彼女は影での移動にあまりよくない感覚を抱いているらしい。もしかして、暗いところが苦手とか?

「そう。じゃあ行きましょ。もしかしたら彼が目を覚ましているかもしれないし」

 舞はそう言いながら、歩き始めた。足早に歩いていく彼女を追いかけるように、俺と杣、弥奈さんは歩いて行った。

 朔の家のチャイムを鳴らすと、上から慌ただしく誰かが駆け下りてくる音が聞こえてくる。ドアを開けて出てきたのは、少し息切れしている朔だった。

「はー、い……って、迅? あ、舞さんもいた」

 朔は周囲を見渡し、俺以外のメンバーを確認する。

「あれ、弥奈さんは?」

 ……どうやら、朔も弥奈さんがここにいることをうまく認識できないらしい。今回は彼女が俺の後ろに隠れているから、仕方ないと言えば仕方ないのだが。

「あ、あの、います……」

 俺の後ろから、弥奈さんが途切れ途切れに声を出す。

「ご、ごめんなさい、気付かなくて……」

 息切れしている朔は、呼吸を整えながら弥奈さんに謝罪した。彼女は俺の服を掴んで、離そうとしない。……彼女はそこまで人見知りだっただろうか? いや、彼女の雰囲気からすると、彼女は朔を警戒しているというより、家の中の何かを恐れているように見える。ふと、リビングから一人の少女が顔を出した。

「お兄ちゃんの友達?」

 お兄ちゃん……おそらく朔のことだろう。ということは、朔の妹か? 朔は優奈に事情を説明するために振り向く。その説明の最中に、舞は躊躇いなく家の中に入る。少なくとも何かしらの挨拶はすべきだと思うのだが……。

「あー、朔、中に入ってもいいか?」

 有言実行という訳ではないが、俺は朔に家の中に入る許可をもらうために声をかける。さすがにこの暑さの中、ずっと外に居たら汗だくになってしまう。ただでさえここまで来るのに飲み物を四本買った――俺と杣の分、さらには弥奈さんの分を俺が買い、最終的にはめられる形で舞の分の飲み物を俺が買うことになってしまった――のだから、また喉が乾いたりして、また飲み物を買うことは避けたい。

「うん、いいよ」

 俺は家の中に入り、どの部屋に行くべきか迷う。すると、朔が階段の上の方を指差したので、俺はそれに従って二階に上がっていく。途中怜とすれ違ったが、彼女は何も言わずに下に降りて行った。

「あんた、なんであたし達を襲ったの?」

 俺が部屋に入ると、ちょうど舞があのとき俺たちを襲った少年と同じ人を問い詰めていた。彼の雰囲気があのときとだいぶ違うのはさておき。

「え、ええと……刀祢です、趣味は料……ひぃ!?」

 ……これじゃどっちが人を襲ったのか分からないな。そんなやりとりを見ていると、朔が部屋の中に入ってきた。

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