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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
222/344

-Chapter20-

「ここで買うとするなら……食料品か? 親に頼まれてるのか?」

 俺はスーパーの中に入り、杣にスーパーに入った理由を聞いてみる。

「まぁ、そんなところかな」

 杣はそっけない返事を返した。もしかして俺の質問を聞いていないんじゃないかと疑ったが、そんなことはない……はず。

「うーん……」

 弥奈はまだ転送の影響を引きずっているみたいだ。そこまで変な感覚はないはずなんだけどなぁ……。俺がそんなことを想っていると、

「ふははははは! これを買っていくぞ! 世話になったな!」

 遠くから、とても大きな叫び声が聞こえてきた。……なぜだろう、この声を聴いただけで俺は嫌な予感がしてくる。今の声は……。

「あー……この人だけは予測できないからなぁ……仕方ない」

 杣が小さく溜め息を吐きながら買い物を続けていた。そのまま俺たちが肉や魚のコーナーにさしかかったとき、

「おう!? 迅殿ではないか! さぁ某と決闘でもしようではないか……」

 先ほどの声の主に捕まった。……なんだろう、なぜ俺は今捕まったという表現を使ったのだろう。

「むん? 返事がないぞ?」

 いきなり知らない人から声を掛けられたら、ふつうは無視したくなるだろう。俺がそんなことを思いながら彼の発言を無視していると、

「迅殿ー? ……はっ! なるほど、本名を呼び捨てにしないと分からない人なのだな!」

 彼が妙な勘違いをしてきた。俺が最初に感じた嫌な予感というのは、あながち間違っていないかもしれない。まだ勘違いされているだけならいいので、俺は何も言わずにやり過ごす。すると、

「むん? まだ返事がないとは……そうか! 先に名乗るのが礼儀であったな! 某は満と申すのである! さぁ迅、某と決闘しようではないか!」

 また変な勘違いをされた上に決闘を申し込まれてしまった。もしかして、彼は俺が返事をするまでこのやりとりを続けるのだろうか?

「むん? なかなか返事が返ってこんな……もしや迅は迅ではないのか!? なんとかしてそれを確かめる方法を……そうだ! 某の拳を迅に当ててみて、迅がかわせたら本物、かわせなかったら偽物ということだな!」

 そう言いながら俺を殴ろうとしてきた満という人物に、俺は慌てて返事をする。

「ちょっと待て! なぜ俺がかわせる前提なんだよ!?」

 なんだか負けたような気がする俺に、満という人物は満面の笑みを見せ、

「おお! ついに返事をしてくれたのだな! まさに迅! さぁ、決闘をしようではないか!」

 とんでもなく強引に話を進めてくる彼に、俺は微妙に辟易していた。

「いや、決闘とか意味が分からないし……!」

 俺が彼の言っていることに異議を申し立てると、

「……む? 何を言っているのだ? 某と迅は毎日のように決闘をしていたではないか! 忘れてしまったのか?」

 いや、毎日どころか一度も決闘なんてしたことが……?

「ん……?」

 俺は頭痛のようなものを感じて、頭を押さえる。なんだ? 何かよく分からない違和感を感じる……。

「まぁいいか! 某は今の迅と決闘がしたいのだ! さぁ、決闘を!」

 決闘と言っても何をすればいいのか分からない俺は、どうすればよいのか分からず戸惑う。そんな俺を見ていると、弥奈が、

「あの、決闘、なんて……危ない、ものは、駄目だと、思います」

 途切れ途切れながら俺の手助けをしてくれた。

「むん? 何を勘違いしている? まぁ、いたいけな少女が決闘と聞いてそう危険なものを想像してしまうのは致し方がない……だがしかし! 安心するのだ! 某と迅の決闘というのは、何よりも至高であり、危険というものとは程遠いものなのだ! いわゆる……すぽーつ? うむ! そんな感じだ!」

 満はよく分からないことを言っていたが、そのよく分からなさに飲み込まれて、弥奈は少しずつ説得されかけていた。

「え、あ、はい……」

 弥奈はどうやら押しに弱いらしい。しかし、今ので一つ分かったことがある。

「決闘って、スポーツ対決なんですね? ……なら別にいいですよ。でも、この買い物が終わってからでいいですか?」

 俺は満にそう言う。すると彼は、

「うむ、了解した! では外で待っているから、来るのだぞ!」

 そう言いながら、彼は外へ走って行ってしまった。彼の走った後はまるで野獣が通り抜けたかのように商品が散らばっていた。

「……厄介なのに捕まっちまったなぁ……」

 俺は深く溜息を吐く。その隣で杣が何かを考え込むかのように腕を組んでいたのはなぜだろうか?

「なぁ杣、杣の魔法でスーパーを出る前に家に帰ったりしちゃ駄目か?」

 俺が杣に聞いてみると、

「別にいいけど」

 考え込んでいるのか、簡易な返事しか返ってこなかった。ふと彼女の買い物かごを見ると、何も入っていない。どうして彼女のかごの中に何も入っていないのか疑問に思いながら、俺は買い物を続けた。

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